総合学習の先駆け、想画と生活綴方の現代的意義(Y)
第33回 想画と綴り方 ~戦争が奪った 子どもたちの"心"〜 | 民教協スペシャル | 民教協の番組 | 公益財団法人 民間放送教育協会 (minkyo.or.jp)
長野市川中島にある『ひとミュージアム』で、想画展に取り組もうと実行委員会ですすめています(5月頃)。
想画は、子どもたちの暮らしや農村の暮らしや郷土の生活をリアルに表現するものです。
昭和のはじめ,山本鼎の自由画教育運動、赤い鳥の児童文学、童謡など、自由教育が長野県で花開きました。
そしてその種子が東北地方に渡り、想画として生活綴方として発展しました。
「児童文学者で教育実践者の故・国分一太郎(同市出身)が携わり、図画と作文を一体化した『想画』教育は、総合学習の先駆的取り組みとされる。子どもたちが自分を取り巻く自然や生活を実直に描いたもので、同市長瀞小に約900点が残る」
本県4人の児童画、80年経てドイツで発見 30日から東根で展示会|山形新聞 (yamagata-np.jp)
実行委員会に参加していた小学校の先生が、このことは知らず、まったく意識せず、総合学習で「図画と作文を一体化した『想画』教育」に取り組んでいました。
文科省のHPでは総合学習について、「総合的な学習(探究)の時間は、変化の激しい社会に対応して、探究的な見方・考え方を働かせ、横断的・総合的な学習を行うことを通して、よりよく課題を解決し、自己の生き方を考えていくための資質・能力を育成することを目標にしている」とあります。
総合的な学習(探究)の時間:文部科学省 (mext.go.jp)
私は4月より大学院で研究するのですが、その先生とやたらと意気投合して、先生の総合学習に呼んでもらえることになったのでした。
私が大学院で研究するのは、かつて経験したことのないような社会の混乱、人間の疎外化など社会環境の激変のなかでの、人間関係の新しい構築や修復です。
コロナ下、コロナ後でとりわけ求められるものではないかと思っています。
『生きる権利』の回復として生活綴方に着目し、『コロナと暮らし実行委員会』(『信州・生活綴方実行委員会』に改称)で2021年12月に発行した『コロナ禍の生活綴方』(ほおずき書籍)。
コロナ禍の生活綴方 | 信州・生活綴方実行委員会(旧コロナと暮らし実行委員会) (seikatsutsuzurikata.com)
前述の国分一太郎は、文集のそえがきで「70年代以後になりますと、わたくし個人は『生活綴方』というよりは、『人間綴方』といいたい…経済の高度成長、消費社会、情報社会、管理者会への動きのなかで、人びとのあいだに『生活保守』の意識がおおきくなり、それが子どもたちにもいちじるしくおよんできて」(1983年4月1日)と記しています。
長瀞小の想画の特徴は、生活にとどまらず、人間が生き生きと描かれているところにあります。
現代の総合学習の先駆けであり、昭和のはじめに、国分一太郎の言う『人間綴方』にすでに到達していたともいえるのではないでしょうか。
昭和の大恐慌、凶作と飢饉のなかで描かれた長瀞小の想画は、コロナ下、コロナ後を生きる私たちに、人間観や生き方のヒントを与えてくれます。