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「御堂筋」と「名阪国道」との『意外な関係』

「道」とは、ある場所からある場所へと繋ぐことにより、人々や自動車、自転車等の往来をするためには必要なものです。

そして、国や自治体は管理する必要上、番号を付けています。管理主体の違いにより「国道」「県道」「市町村道」というような形で区分されます。

今回は、「国道とは何か」という大それたことではなく、「ある場所から、ある場所へと繋ぐ」道が、実は思いがけないところに繋がっていることを示し、道の奥深さに少し触れていきたいと思います。
但し、「国道マニア」をはじめとした、道に対し高い関心を持っている方や、職業上道路に関する知識を必要な方にとっては「常識」であったり「既知のこと」であるかと思います。その点はご容赦願います。

大阪の大動脈「御堂筋」

「御堂筋」といえば、梅田と難波を直線で結び、途中、中之島、淀屋橋、心斎橋といった、有名な地域を通る「大動脈」です。欧陽菲菲さんの「雨の御堂筋」という歌もあり、全国でも名が知られている代表的な大阪の道路といえるでしょう。

余談ですが、私が初めて御堂筋を通った時、「こんなに広い道路が、一方通行なんて…」と驚いたものです。

それはさておき、御堂筋は「キタ」と呼ばれる梅田と「ミナミ」と呼ばれる難波という、主要な地区を結ぶだけあり、交通量も尋常ではありません。
ただ、近年では「側道歩行者空間化」の試みをはじめ、歩行者が楽しめる空間に変える取り組みもあり、御堂筋の姿も変わっていくのでしょう。

「高速道路級」の道路「名阪国道」

名阪国道は、東名阪自動車道・亀山I・Cから西名阪自動車道・天理I・Cを結ぶ自動車専用道路です。
「高速道路級」と書きましたが、無料の自動車専用道路に関わらず、高速道路特有の「緑の看板」の標識があり、かつ、インターチェンジにて乗り降りする道路であることから、高速道路と間違えてしまいそうな雰囲気であります。

現在でこそ、「新直轄方式」による道路建設が始まったことに伴い、自動車専用道路の「無料区間」が各地でできている現状では、それほど珍しいものではないかもしれません。

しかしながら、「新直轄方式」による無料の自動車専用道路が普及するまで、名阪国道並みの無料の道路専用道路は珍しいものでした。道路に関心がある人ならば、「なぜ有料道路にならなかったのか?」という疑問を抱く人も多いのではないでしょうか。

ここからは「国道の謎」(松波 成行 著 祥伝社新書)を基に、無料化した経緯について書きます。

簡単に書くと
①そもそも「名阪国道」は「無料」を前提に建設を進め、用地買収交渉を進めていた。
②後になり「東名阪」「西名阪」という有料道路建設計画が持ち上がり、両有料道路を連結する構想が出てきた中で「名阪国道の有料化」が持ち上がった。
③地元の人からすると、「生活道路」として道路をつくるということで土地を手放そうとしているのに、「有料化」では話が変わってくるため、用地買収交渉を凍結した。
④名阪国道を有料化する場合、並行する道路(※非名阪)を改良する必要があり、そちらも莫大な費用がかかる。
※この「非名阪」は「酷道」と評されるほど、かなり荒れていることで有名です。

このような経緯を辿る中で、「名阪国道」は「無料の自動車専用道路」をして開通したということです。

「国道25号」という共通点

「御堂筋」と「名阪国道」は、道路の性格や位置からしても、関係性が見えにくいかと思います。
ですが、この両者は「国道25号線」として繋がっているのです。

この経緯も、「国道の謎」から引用しますが、そもそも国道25号は大阪市と奈良市を結ぶ国道でした。しかし、「名阪国道」の計画が持ち上がると、該当区間を「国道」として扱う必要があることから、当時大阪市と三重県四日市市を結ぶ国道163号のうち、四日市市と現在の伊賀市までの区間を25号に編入し、さらに伊賀市から奈良県大和郡山市の県道を国道に格上げし、新たに「国道25号」とした、ということです。そして、この道路が「非名阪」といわれる道路です。

この経緯をまとめると、「高規格の国道を建設する前提として、並行して走る道路は国道でなければならない。そして、その国道が荒れていて不便を強いられるため、高規格の国道を作るのだ」という「理屈」が必要だったのでしょう。

このような経緯を考えると、「御堂筋」と「名阪国道」が「国道25号」として繋がっていること自体「不思議なご縁」を感じます。

「身近な道路は、どのような場所に繋がっているのか…。」
このように思いを巡らせることも、「新たな発見」をもたらすきっかけになるのではないでしょうか。


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