にっぽんの知恵「おけいこ①習う過程と変化した自分を楽しむ」
図像:「スズキメソードのロゴマーク」と鈴木慎一さん
「おけいこごと」の「けいこ」は、漢字なら「稽古」と書きます。本来は「昔の物事を考え調べる」ことを意味しました。
それを現代はピアノ、バイオリン、バレエ、あるいは茶道、華道など、幅広い分野にあてはめます。
その「おけいこごと」に、しばしば日本人は多大なエネルギーをついやすようです。その根底には、どんな思いが流れているのでしょうか。
最初に思い出すのは、ぼくの娘が習っていたピアノです。楽譜を見ずに、耳で聴いた音楽をそのまま真似て演奏するのが楽しかったのか、いつも自発的に練習していました。
実際、楽譜が読めなくても、ピアノやバイオリンは弾けるのです。しかも、聴きなれた、好きな曲を演奏するのですから、当然、習う子供たちも、うずうずするほど面白いにちがいありません。
あらためて考えれば、当然なのでしょう。文字の読み書きができるようになるずっと以前に、人は言葉を聞き、話せるようになるのですから……。
ただ、昔は、こんな簡単な事実に気づく人がいなかったのでしょう。それを音楽の学び方にあてはめて最初に提唱したのは、バイオリニストの鈴木鎮一さん(1898~1998)です。
音楽だけではありません。
鈴木さんは「音楽を通じて子供の心を育てる」ことに、その目標を設定しました。それを「スズキ・メソード」といいます。
それを受け継ぎ、今も推進しているのは、長野県松本市に本部のある「才能教育研究会」です。その活動は、日本はもとより、アメリカなどでも広く親しまれています。
そこで、才能教育研究会のバイオリン指導者である鈴木裕子さんの話を聞くことにしました。スズキ・メソードの創始者である鈴木鎮一さんの姪御さんなのです。
今ひとりは、茶道に造詣の深い日本文化史の研究者である熊倉功夫さんにお願いしました。国立民族学博物館名誉教授です。
これからしばらく「日本人とおけいこ」についての記事を書くことにします。
この記事と直接の関係はないのですが、ぼくは、こんなキンドル本を出版しています。
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