田舎に秋が来た。山へ行こう。そして私は藪をこぐ。

ここは幹線道路に程よく近い住宅地。
イオンも映画館もしまむらも少し車で走れば行ける。
無印良品やカルディだってちょっと車で走るけど、
買いに行くことは出来る。
都会ではないけど、ものすごいド田舎でもない。

だけど、近くには里山があって、車で走れば色んな山に行ける場所。

そういう環境ゆえ、地域のトシヨリ達は山菜取りを趣味にしている人が多いんです。自分の家で食べる楽しみだったり、道の駅とかで売ったりするガチな人だったり。
季節になると大勢の人が山でさわぎます（山菜取りで山に行くのを「さわぐ」と表現する。騒ぐからかな）

トシヨリのたしなみだど思ってた山菜取りを
まさか！（平野育ちの）自分が！
長靴を履き、タオルを首に巻き、熊よけの鈴をぶら下げて歩く旦那さんにくっついて、ヒーコラと藪をかき分けて進む日が来るとは！

まぁ、山といっても遊歩道とか整備されてる所がありますので、そういう所をテクテク歩くのは、日ごろの運動不足解消と森林浴。ストレス解消でき気持ちがいい。
あ！こんな所に綺麗なお花が咲いてる～♪
木漏れ日とさわやかな風。。。ｷｬｯｷｬ　ｳﾌﾌ

だんだんと道の脇のその先の地面、周りの木々の植栽をよく見るようになってくる。
あの辺なんかありそうな雰囲気。
あっ！あっちもあやしいぞ！
遊歩道をちょっと外れたその先へ　ガサゴソ　ガサゴソ
…と、結局は何か生えてないか探すのが目的になってしまうのです。

そのうち、車で山道を走りつつ
この辺なんかあるかも。
車をチョット降りて、山道のその脇へ　ガサゴソ　ガサゴソ

野生動物に出会うというレアな体験もあるよ。
さすがに熊は怖いし出会いたくないけど（むしろ出会ってはいけない！）
ニホンカモシカがこっちをじっと見てた時は！！
おぉ！ここはシシ神の住まう森か。
と、まわりの木々のざわめきに「こだま」を感じ取ったり
アシタカ感を楽しんでいました。
ちなみに、旦那さんにはこういうのは通じないので
一人で妄想して楽しみます。脳内もののけ姫再生。
じっとこっちを見ているニホンカモシカを写真に撮りたくって
ポケットのスマホを探そうと手をポケットに…
あっという間に
ピョーンピョーンと何処かに行ってしまわれた。
シシ神様のお姿を写そうと思ったら、荒野のガンマンがピストルを構えるがごとく、スマホを構えられなければならない。
ちなみに、山でスマホや車のキーを落とすとシャレにならないから
チャックがついたポッケとかリュックに厳重にしまうので、荒野のガンマンまず無理。

山の恵みを頂くには、広い山をやみくもに探すのは効率悪いし、危険です。
だいたいの経験則で、どの山に、いつ頃どんな山菜が生えるか、頭の中に山菜カレンダーと山菜マップを持っていないといけません。
山菜とは一期一会。早くても遅くてもダメ。そして毎年同じ場所に同じように採れる訳でもなく、足で探さなければならないのです。
そして、先着順。人が採った場所はおこぼれしかないので、ガチの人にはかないません。
なにより、アテクシのようなヘナチョコで方向音痴は遊歩道や林道から大きく外れた所行ったらダメ絶対。危ない。

がしかし、そのような者にも、山の懐は深い！平等にチャンスをくれたりもするのです。

朝晩の気温に秋の訪れを感じるようになりました。
うん。キノコにはまだ早いけど、山ブドウは熟してるかもね。
この季節、まだ草はボウボウ、棘のあるツル、かぶれる草、葉っぱについた毛虫。。正直、藪に入るのは嫌だ。てか、無理！
林道脇には山ブドウのツルが木にからまってます。
ここなら、道路からすぐだし藪に入らないで山ブドウ！ゲットだぜ！
なんとかツルを引っ張って（ツルを折らないように）収穫する山ブドウ。
飼いならした猿がいれば、簡単に収穫できるのに…と高枝切りばさみの方がよっぽど現実的なのに、アテクシは猿を飼いならす方法を考えずにいられない。

あっ、もうちょっと奥にも山ブドウいっぱい実ってる！
あとチョット手が届かない～
ガサゴソ　ガサゴソ
結局、藪をこいで少し先に進むのです。
山にこなれた旦那さんは、高い枝のブドウも足場を確保しつつ夢中で採ってる。ゴリラですか？

なんだかんだ、ピンポイントの場所でそこそこの収穫。これも経験則。
やったね！とか言いながら家路につく。
だけど、採ってきたものキレイにするまでが、山菜採りです。

スーパーに並ぶキレイな物と違って、野性味あふれる山の恵みは、食べるまで様々な工程が必要なのです。
疲れた身体にムチを打ち(アウー)、もくもくとブドウの房から粒をはずし、キレイに洗い、ジャムにするため煮て、濾して、煮詰めて…
めんどくせー！
ジップロックに冷凍保存して大事に使いましょう。

季節を感じ、旬を味わう。
その為にアテクシは週末に山を歩き、藪をこぐ。
たとえ、カブレか毛虫か、腕がブツブツになっていようとも！(今モーレツに痒い)