日雇いフリーランス医師に「ぜひウチで働いて」後日談
『【医師は副業!?】好き勝手してんのに「ぜひウチで働いて!」嘆願される理由をマーケティングの視点から解説』の後日談です。
こんにちは! 旅するフリーランス女医、えりおです。
今年3月から、働く曜日、場所が一切定まっていない「完全フリーランス」となりました。
まず月5日~10日は海外(だいたい韓国)、残りを東京の自宅で過ごす、という生活パターンを完全に定着させたうえで、“お医者さんごっこ”は日本国内にいる時のスポット勤務のみ、残りの時間はブログ運営、メディア連載原稿作成、医療監修や商品のPR、SNS運用代行やコンサルティングといった、それこそ場所も時間も問わないWeb稼業で回しており、最近、「医師は同業者」という自覚がありません。
「本業」の一つであるm3メンバーズメディアにおきまして、「旅するフリーランス女医・えりおの旅行手引」連載と並行する形で、医師としてのキャリアとブロガー&毒舌コラムニストとしてのキャリアについて、毒を交えながらの記事を展開しております。
この生活も、はや半年目。いやあ、またあれからいろいろわかったことがありますw
冒頭でご紹介した『【医師は副業!?】好き勝手してんのに「ぜひウチで働いて!」嘆願される理由をマーケティングの視点から解説』にて、
完全フリーランスになってから、わずか2ヶ月の日雇い業務にもかかわらず、3箇所の医療機関から「お好きな時に入っていただくので構いません。まず先生のスケジュールを入れさせていただき、先生が入られない日に募集をかけるようにしますから、もっとたくさんウチに来てもらえませんか」とお願い……どころじゃないですね、「嘆願」される事態になった旨、お話しいたしました。
が、実は、このお話、後日談があるのですよ。
この中のどことも、関係が長く続くとは思えないww
現状、
経営陣とトラブって「絶縁」
平日フルタイム出勤の常勤が来たため、募集日数が減ったが、条件に合う日にちがあれば細々と応募(トータルの勤務日数としては減)
今後の依頼はないと思いきや、継続(たまたま依頼のタイミングが私のスケジュール決めペースよりもゆっくりめ、というだけだった)
まあこれまたバランスよく!? 1施設ずつとなっております。
で、今回書かせていただくのは、細々したトラブルがどんなものだったか、ということではなく(大体そんなものは問題の本質ではない)、そもそもフリーランスってこんなものなんだ、という部分です。
細かい部分においては若干、想定外な事態もありましたが、でも、オファーをいただいたところで、関係が末長く続くというわけでもないであろう、ということは「ざっくりと想定の範囲内」ではありましたので。
私は「臨床ができる医師」でも「経営者側が扱いやすい医師」でもない
まず、何よりもの大前提として、別のメディアでアンチエイジング・予防医学ネタの継続依頼を受けるようになって、未来の自分のためにw この界隈の知識をアップデートするようにはなっているんですが、“日雇いお医者さんごっこ”の中核となる「皮膚科学」に対して、知識をアップデートする情熱がありません。
その辺りは『「医師として働くモチベーション」低いですが?』に書いた頃と同じか、むしろ優先順位が下がっているかもしれませんw
幸い、クライアントさんの中に皮膚科の先生がいらっしゃって、学会を筆頭にセミナーの受講などについても、積極的に発信されている、ということがありまして、そこから新薬などの新しい情報を仕入れられるという状況ではありますが、バイト先のクリニックで、「ちょっとこれは対応できない」、みたいなのがちょこちょこ散見されるようになってきてます。
今でこそなんとかなってますが、10年後、15年後、これがまかり通ることはない可能性があります。
ですが、なんでもプラスに捉えるのが起業家にあるべきマインド。
私は「これは、いつまでも“お医者さんごっこ”を収入の逃げ道にしていてはダメで、本業を育てろというフラグである」と考えるようにしております。
もう一つ、この記事の前身である『【医師は副業!?】好き勝手してんのに「ぜひウチで働いて!」嘆願される理由をマーケティングの視点から解説』では、
と見出しを使用しましたが、まさにこのとおりで、今でもこのスタンスで業務を遂行しております。
そんなスタンスで仕事に臨む医師はそう多くない。差別化できるであろう、と。
あの時、
とも、書きました。確かにオファーを受けたその時はそうだったでありましょう。
が、なぜ一部で続かなかったか。それは言うまでもなく、先方に、私よりも、経営者目線において“勝手のいい医師”が見つかったからに他なりません。
と、書きましたが、私、あえてその詳細には触れていませんでした。
実はこれ、診療現場にいるスタッフ(看護師・事務員さんなど)にとって、そのように振る舞っただけで、実は必ずしも経営者に都合のいいようにはしていないわけです。
なぜか? 私が、相手が望む内容を提供する、と決めているのはあくまでその場の診療内容のみと決めているからです。
雇う側はできるだけローコストで、たくさん働いてほしいわけです。それがいいか悪いかは関係なく、経営上、当たり前の話です。
そもそも勤務時間、日程、給与について、こうも「異質」な働き方を選んでいる以上、雇う側の望みを100%叶えることはムリゲーであることは、最初からわかっていることなのです。
最近、医師が同業と感じられない一方、事務長や経営者サイドは「自分寄り」と見てしまう傾向が強まっておりますので、そこは割り切って考えられるようになってきています。
とにかく現場の人間が「こういう人に来てほしい」と思っている人物像と、経営者が「こういう人に来てほしい」と思っている人物像は必ずしも一致するとは限りません。
なので、日雇いのみで収入を得たい、と言っている時点で、現場には気に入ってもらえるのに、経営陣には渋い顔をされる、なんて、別に私にとっては珍しい話でもなんでもないんです。
フリーランスを続けている身分としては、その辺りは極めてドライに受け流し、「ダメなものはダメ」と毅然と対応するのみ。今のところ、ではありますけど、自分の心構えや、この方向性に変わりはないです。
先方がどんな調子の良いことを言ってきたとしても、それはあくまでその時、その瞬間の話であって、それがそのまま続くであろう、とは言っていない(はず)ですし、自分も続いたら続いたで嬉しいし、続かないならそれはそれ。
良くも悪くもそれが「フリーランスであるということ」です。
「失ったご縁に執着しない」のは人間関係と一緒
スピリチュアル系の人間では決してないですけど、某施設とトラブって行かなくなった後に、その施設の最寄駅のホームでとある事件が起きていたというのをニュースで見たときは、震えました。
もしかしてもしかすると何か見えないものが私を守ってくれたんじゃないか、って。
「常勤・定期非常勤が見つかった」ということで、募集がかからなくなることも、もちろんあります。冒頭に挙げた、体良く3パターンに転んだ3施設のうちの一つ、私にとって「平日の大口クライアント」さん的なポジションだった医療機関が、10月から平日に常勤の先生がいらっしゃる、ということで、平日1日業務の募集がスパッとなくなってました。なのでもしかしてもしかすると、私にも10月に何かムーブメントがあるのかも(!?)といったフラグかもしれないじゃん、と捉えていました。
そちらの医療機関ではその後、11月から、週1回、平日半日の業務のみ、募集が「復活」していたので、半日なら半日で、楽チンでありがたい。これは午後、本業に専念しろというフラグであろうと前向きに捉え、こちらはこちらで条件がある日にちに応募するという、今まで通りのお付き合いが続いています。
通常だとその辺りの不安定さが怖いから、みなさん「常」勤や「定期」非常勤に目がいくのでしょうが、10年もフリーランスをして、複業に手を出してると、正直、このあたりの感覚は完全にマヒってきます。
この程度じゃ動じない。むしろワクワクしてもいる。
だって、書くネタは明らかに増えてきているし、経験上、大体こういう時って、次なるステージが用意されてることが多いんだもんw
「こんな楽しいことばかりなら、もう少し早くこの生活に踏み切っていればよかった」
その気持ちに変わりはございません。
もうね、人間関係や色恋沙汰と一緒。縁のあるところはあるし、ないところにはないのw
そして、一つ、関係が途絶えても、次から次へと「ご縁」は現れる。
前回、人生の節目における人間関係の断捨離について、書かせていただきましたが(『「与えるだけ」の人間関係は「切ったって」いい』参照)、日雇いアルバイトでも全く一緒。
人間関係同様、ご縁がプツッと切れたところで、じゃあ、いかほど困るのか?といったところで、そこまでにはならないのがほとんど。その辺りの心構え的な部分の違いは、起業家マインドのある人とない人の違いかもです。
注意が必要なのは「日雇い」の募集がここまで途絶えないのは東京ならではの現象だということ。
日本各地でのワーケーションも視野にいれ、一応、全国で検索してはいるのですが、現状、他は大阪・京都・神戸にちらほらあるのみで、東京ほどの数はありませんので、実現には至っておりません。
というか、医療現場でもっと凄惨な現場見てるじゃん。それに比べれば全然ヤワなことばかりだと、私は思っています。フリーランスで長く続けよう、というならこのくらいのマインドセッティングが普通じゃないのかな、と。
この調子ですと、今後もまた興味深いネタが頻出してくるだろうと想像いたします(笑)ので、一つ一つを楽しみつつ、こちらでもご報告できればと思います。
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