日本に「ゴママヨ駅名」はいくつあるのか?
以前、「日本にポリバケツ語駅名はいくつあるのか?」という検証を行ったが、今回はゴママヨで同じような検証を行ってみようと思う。
ゴママヨとは
「ゴママヨ」は、「2つ以上形態素が結合した複合語で、その接続部分に同じ音が連続して含まれている単語」のことである。「ゴママヨ」という単語自体は、本来は「ゴマ+マヨネーズ」の複合語を略したものであるが、2つの形態素の接続部分で「ま」という音が2連続しているため、定義に当てはまる。
また、「銀行口座(ぎんこうこうざ)」は「こう」というモーラが2連続しているが、このように「接続部分に同じモーラの塊が連続して含まれている単語」のことを「高次ゴママヨ」という。
ゴママヨ駅名
最初に挙げた画像のように「山前(やままえ)」は、「ま」という音が2連続しているため「ゴママヨ」の定義に当てはまる。
ただ、人はこう言うかもしれない。
確かにそのような考え方も可能だろう。
しかし、山前という地名は、明らかに「山の前」という語源から生じた地名であり、「山」と「前」の2つの形態素からなる複合語と考えて良いだろう。
真面目に考えてみれば「港(みなと)」という日本語の単語も、語源としては「水(み) + な + 門(と)」の3つの形態素が結びついてできた複合語だが、漢字1文字で表記されることもあり、それが複合語であることは日常的に意識されることは少ない。どこまでが単純語で、どこからが複合語なのかは、決して自明ではないだろう。そこで、話を単純にするために「同じ音が2連続しているかどうか」で判定することにする。そのように判定した上で、明らかに不適であれば除外する。
また、派生概念として「ビジュアルゴママヨ」という概念がある。
例えば、富山県に「越中中川(えっちゅうなかがわ)」という駅名がある。これは「中」という文字を2連続して含んでいるが、1回目と2回目で読み方が異なるため「通常のゴママヨ」ではない。このように同じ文字が連続して含まれているが読みが異なる場合を「ビジュアルゴママヨ」と称する。
実際に調べてみる
使用したデータは「日本駅名語辞典」(第33版 2023年8月版)である。この辞書は、駅名替え歌用に筆者自身が作成した辞書である。
通常のゴママヨ
まずは「通常のゴママヨ」から。
「同じ音が2連続している箇所がある駅名」は、全部で601駅ある。そんなに!?と思われるかもしれないが、「同じ音が2連続している箇所がある駅名」だと、「大阪(おおさか)」「飯田(いいだ)」「笹川(ささがわ)」などもヒットしてしまう。これは明らかにゴママヨではないので、このような事例は除外した。
結果は以下の通り。
このように全部で164駅であった。
「東新宿(ひがししんじゅく)」や「浜松(はままつ)」など、知名度の高い駅名も多く含まれる。
ビジュアルゴママヨ
結果は以下の通り。なお、こちらについても「つつじヶ丘」のように明らかにゴママヨの定義に合致しないものを除外した。
この中で「土佐佐賀(とささが)」は通常のゴママヨにも当てはまる唯一の事例である。「佐」が漢字でもひらがなでも1文字であるためこのような状況が生じた。
高次ゴママヨ
意外と多い39駅が抽出された。
一大勢力となっているのは「高校」という語を含む駅名である。
なお、「羽前前波(うぜんぜんなみ)」と「妙高高原(みょうこうこうげん)」は前述のビジュアルゴママヨにもあてはまる。
また、漢字の区切りとズレていて「想像とは違う」と感じるものも多い。「いせ」を2回繰り返す「京成関屋(けいせいせきや)」
「いか」を2回繰り返す「国際会館(こくさいかいかん)」
「んば」を2回繰り返す「新馬場(しんばんば)」
「まい」を2回繰り返す「薩摩今和泉(さつまいまいずみ)」
などは、特にそのように感じられる。
高次ビジュアルゴママヨ
「吉里吉里」と「ほくほく大島」の2例のみ。果たしてこれは含めて良いのか判断に迷う。どちらも既に「高次ゴママヨ」で計上されているので、特筆性はなさそうである。
3音節の高次ゴママヨ・3文字の高次ビジュアルゴママヨ
念のため調べてみたが、該当する駅名はなかった。
その他注記
通常のゴママヨで計上した「東鹿越(ひがししかごえ)」は2024年春のダイヤ改正で廃止となる。
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