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なぜドラゴンボールの戦闘力について考察したくなるのか

誰もが知る有名漫画のドラゴンボール。
男女問わずタイトルだけではなく登場人物までも知っている方が多い。

そのドラゴンボールにて、今もなおファンの中で繰り返されるのが戦闘力の考察。

ドラゴンボールにおける戦闘力とは、サイヤ人などの登場人物が持っているスカウターという機械で相手の強さを測定した数値のこと。

単純に数値が高いほど強く、相手との戦闘力が大幅に離れていればどれだけ頑張って戦っても勝てることはない。

初めて戦闘力というものが登場したのは主人公の孫悟空の兄であるラディッツが地球にやってきたとき。
ラディッツが持っていたスカウターで初めて戦闘力が計測される。

それまで様々な激戦を繰り広げて戦い、地球上では間違いなく一番強い孫悟空の戦闘力は当時416。
ライバルのピッコロの戦闘力は408。
ラディッツに最初に殺された一般人のおじさんの戦闘力が5だったので、おそらくそれが地球に住む人々の平均値といったところか。

それ以降、ドラゴンボールの世界ではしばらく戦闘力の数値が使われる。

ラディッツの後にベジータやナッパといった新たなサイヤ人が地球にやってくることがわかり、それに備えて地球の仲間たちは修行して戦闘力を上げる。

ベジータ襲来時のピッコロの戦闘力は1220。
一度死んでしまい、界王さまのところで修行した孫悟空の戦闘力は8000以上。

数値を見ただけで、絵柄はほぼ一緒でも強くなったことが誰しもすぐにわかるところが面白い。

その後のフリーザ編では、フリーザの名台詞である
「私の戦闘力は53万です」
という衝撃の数値まで出てくる。

それまで数千や強くても数万で戦っていたところに、桁が違う数値が出てきてとんでもない相手であることが誰しもわかる。

ですがそのフリーザ編以降、原作では戦闘力という描写は一切出てこなくなる。

登場人物は全員更なる修行を行い格段に強くなっているはずなのに、スカウターで計測しなくなる。
あまりに高い戦闘力だとスカウターが壊れてしまう描写もあったので、そもそもにスカウターで計測できる範囲では無くなったとも考えられます。

となるとファンの間で今もなお考察され続けるのは仲間たちの戦闘力。
ファンによって考察されている戦闘力は、数億や数100億から1兆などとんでもない数値になってくる。

フリーザ編から計算するとこうなるであろうという推測。
そして様々な媒体や関係者サイドの発言などからの情報。
限られた手がかりをもとに、戦闘力の数値を計算してみると数億単位の結果になっているよう。

ただ、そもそもにドラゴンボールの原作者は鳥山明先生。
極端に言えば、鳥山明先生がこうと言えばこう、こう描けばこう、考えていないと言えばそれまで。

新作のドラゴンボール超では、元々はとっくに戦闘力の数値は悟空やクリリンたちに抜かされて引退の身のはずの亀仙人が活躍し、
「もともとあれくらい強い」
の一言で戦闘力の疑問が帳消しになったこともあるほど。

これはファンがどれほど考察を繰り返しても、そもそもに答えはあってないようなもの。
それは言わずもがなファンも暗黙の了解で心得ているものではないだろうか。

でもファンは今でも戦闘力の考察を繰り返してはファン同士で議論をぶつけ合う。
そこに答えはないようなものなのに、探し続ける。
どれだけ議論を繰り返していても、「結局は鳥山先生が描いてないから答えなんてないんじゃない?」という発言は出てこない。
なぜだろうか。

きっと、ファンはその戦闘力の考察がたまらなく楽しいのかもしれない。

孫悟空の戦闘力がこれくらいで、スーパーサイヤ人になったら何倍になり、それでも勝てなかったから敵の戦闘力はこれ以上はあり、それに勝ったベジットはこれくらい・・・と、答えがない答えを探し続けている。

原作漫画を1冊ずつ読み返しながら、
アニメを1話1話見返しながら、
関係者の発言一字一句に耳を傾けながら、
正解を求め続ける。

言わば多数の学者が集まり、ひとつの疑問に対して議論や計算を用いながら解答を探し求める様子に似ている。

多数の文献や資料を広い部屋の中に山積みにし、ひとつのテーブルを取り囲むように学者たちが様々な意見を述べ考察を交える。

そんな光景がドラゴンボールファンの間にも垣間見える。

セル編での戦闘力はいくつなのか、
ブウ編ではいくつか、
スーパーサイヤ人ゴッドはどのくらいか、
悟飯ビーストだとどうなるか…。

数々の難題に立ち向かうドラゴンボールファンは、言わばドラゴンボール学者とも言えるかもしれない。
言い過ぎかもしれないが。

そのような議論が、ドラゴンボールファンはたまらなく楽しいのではないだろうか。
だから一見意味のなさそうな考察でも、誰もが意味がないなんて言わずに考察を続ける。

そのような根強い学者を生み出してしまうほど、ドラゴンボールはやっぱり面白い。


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