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吹田市「公共施設」の課題を市民が議論

「公共施設」をめぐる課題


吹田市内で11月23日に「住民にとってよりよい公共施設」をテーマにした集まりがありました。

うーん、「公共施設」と書くと、とっても堅苦しくて遠いイメージがありますね汗

具体的には学校とか保育園、コミュニティセンター、公民館、図書館…
個人や企業が所有する建物と違って、市民や利用者のための施設であり、学習や交流、文化活動の拠点となる場所と言えるかもしれません。

ところが、公共施設をめぐって、近年いくつかの問題が起こっています。

例えば、さいたま市三橋公民館の俳句サークルで秀句に選ばれた「梅雨空に『九条守れ』の女性デモ」という作品が、「政治的中立」を理由に「公民館だより」から不掲載となった事件は記憶に新しいですよね。
この事件は裁判の結果、「(掲載が)公民館の中立性、公平性及び公正性を害するということはできない」とされ、市側が作者に謝罪し、作品を掲載することになりました。

吹田市においても、施設の時間区分や料金などについて、「住民の利便性にもっと応えてほしい」という声があったり、すべての公共施設が障がい者にとって利用しやすい条件が整っていなかったりと、市民・利用者から改善を求める声があがっています。


表現活動をするためには、そもそも場所が必要!

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集まりには助言者として、関西大学法学部の高作正博教授(憲法学)が参加し、コメントとミニ講演がありました。

高作さんがまず語ったのは、「表現活動をするためには、場所が必要」ということ。

たしかに、勉強会をしようにも作品展をしようにも演劇をしようにも、たくさんの人を自宅に呼ぶことは無理ですよね。
(ちなみに我が家は、10人もお客さんが来たら大変なことになってしまいます。。。)

なので地方自治法は、「住民の福祉を増進する目的をもつてその利用に供するための施設」を設けており、自治体が施設を管理はするけど、「正当な理由がない限り、住民が公の施設を利用することを拒んではならない」としているのです。

つまり、市民が行う催し物の内容によって、国や市が利用を禁止することはできないということですね。

「目的外使用」をめぐる裁判例

高作さんは、「公用財産には、『公共用物』と『公用物』の二つの位置づけがある」と話します。

整理すると次のようなことです。

公共用物】
道路や河川、公園、海岸など直接一般人が使用できるもの。

【公用物】
市役所庁舎、学校、病院、保育所など直接には行政の用のために使用するもの。

では、行政の人以外は公用物である学校などを一切使用できないのでしょうか。

地方自治法は「その用途又は目的を妨げない限度においてその使用を許可することができる」としています。これを「目的外使用」というそうです。

例えば、吹田市内でも盆踊りや市民体育祭で学校のグランドが使われることがありますよね。これらが「目的外使用」にあたります。

そして使用を不許可にする際には、しっかりした理由がなければできないというのが裁判でも示されています。

高作さんが例に挙げたのは、「広島県教職員組合事件」
広島県の学校の先生たちが教育研究集会のために、広島県呉市の学校に使用申請を行い、一度は認められたものの「政治的な集会には貸せない」「右翼団体が街頭宣伝など妨害に来る」という理由で目的外使用を取り消した事件です。この取り消しについて、判決は「裁量権の逸脱」と認定しました。

また、調べてみると「政治的」という呉市の主張についても、判決は、「教育研究集会の要綱などの刊行物に学習指導要領や文部省の是正指導に対して批判的な内容の記載が存在することは認められるが、いずれも抽象的な表現にとどまり、本件集会において具体的にどのような討議がされるかは不明あるし、また、それらが本件集会において自主的研修の側面を排除し、又はこれを大きくしのぐほどに中心的な討議対象となるものとまでは認められない」としています。


宗教施設の見学会やヘイト団体の利用をどう考えるか


集まりでは、「公共施設を使う際は車いすが入れるトイレとエレベーターが必要。多目的トイレの中に介護用ベッドがあるかどうか」(肢体障がいの方)、「ある宗教施設が人権施設となっており、京都では研修先などになっていて、そこに行こうとしたら『神社や仏閣に行くのは宗教的だ』という話があった」(公民館に関わっている方)などの意見や報告がありました。

たしかに学校の遠足でお寺に行ったり、保育園のお散歩で神社に行ったりすることもありますよね…。どう考えたらいいのでしょうか?

これらについて高作さんからは、「特定の方々が公共施設を事実上利用できないことについては管理者の責任で改善するもの」「一つの施設が二重の性格を持つことがある。宗教施設でも文化財ということで補助金が出ることもある」と助言がありました。

また、これも最近論議になることですが、「ヘイト・スピーチ」団体の施設利用を認めるのか、どう線引きをするのかという点について、高作さんは、「明確に他者の人格や権利を侵害することはだめではないか」とコメントされていました。

私たちの利用する数々の公共施設。市民や利用者が委縮せず気軽に活用し、交流できることが、市民活動や住民自治を活性化させていくことにつながります。
「使いにくい」と思ったら、管理者や自治体に意見を伝えてみることも大切ではないでしょうか。

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