【現像 #4】 作品写真とは
はじめに
「記録写真」と対比する言葉と思いますが、「作品写真」といえる写真ってどんなものか、今回はその辺りを深掘りしたいと思います。
「主題、副題、引き算」
数年前、この言葉に出会いました。プロの方の言葉です。
作品写真とは、10人中7~8人が「いいね」と思うような写真で、そう思える写真を構成する要素として、以下の三要素が必要とのことでした。
・主題(視線誘導される主役)
・副題(脇役)
・引き算(不要部分を排除→主題に視線誘導)
それまで、視線誘導とかあまり考えたこともなかったし、トリミングに関しては画素が減るのが嫌だったのか、ほとんどやってませんでした。
しかし、トリミングにより引き算を行うことによって、自然と視線誘導がなされ、「ココを見てくれ」というのが明確になる、ということに気付き始めました。
以下では主に引き算を行うことによって、どのように印象が変わるのか見ていきたいと思います。
作例1
ホテルの洗面所にあるものですね。
この状態でも何が主題かは分かりますが、パッと見た時の視線誘導が弱い気がします。
石鹸ボトルの上部・右側をけずり、タオルもチラ見せ程度にし、主題の下部も思い切って切り取ってみました。
不思議と不完全なものには目が行かず、主題が目に入ってくると思います。
余談ですが、ホテルに帰ってきた時に歯ブラシがこのように整えられていたので、タイトルはあの言葉を借りました。笑
作例2
手水舎です。
撮るときも背景をどこまで入れ込むか考えてはいましたが、ボケてはいますが奥の通路がなんとなくざわざわうるさい感じがします。
ここまで切り取れば主題の龍も存在感を増して、背景も気にならなくなるような気がします。
作例3
物撮りです。楽器をテーマに選んでみました。本物のブルースハープと(4弦しかないですが)ギターを模したオルゴールです。
全部を入れ込むと、「はい、ただ撮っただけ」ですね。
フォーカスを合わせてるブルースハープを主題としたかったので、ギターの方は大胆に切り取りました。主題の方も全部を入れるとそれはそれでただ撮っただけのような感じがしたので、若干切り取ってみると、よりフォーカスを合わせたあたり("BOY"あたり)に視線が誘導されるような気がします。
作例4
水族館でのイルカショーです。
撮っているときは主題に夢中なので周りが見えてません。笑
この場合、奥の別のイルカとトレーナーが邪魔ですよね。
奥の通路含めバッサリ切り取ると、もう完璧にイルカ(主題)に視線誘導されるかと思います。
副題はトレーナーです。これがないとただイルカを撮っただけとなり、なんともつまらない写真になりますね。
主題、副題がいい感じに対をなすことでストーリー性が生まれたと思います。
作例5
レストランのテーブルに置いてあるキャンドルと花です。
主題は明確ですが、あとで切り取り方に自由度を与えるため、若干広めに撮っておきました。
ここでも主題以外を不完全にして、主題に視線誘導されるようにしました。
作例6
ホテルのルームキーですが、こんな感じに並べるとなんか作品写真が撮れそうな気がしました。
ただ、周りの机の部分の割合が広すぎてのっぺり感があるように見え、主題も小さいので主張が弱い気がします。
主題に視線誘導されるよう、そして「机の上かな」と余韻を残す程度にして周りを切り取りました。
ところで引き算のコツとしては作例5で述べましたとおり、最初から狙うにしても後から微妙な調整が出来るように、撮るときには意図的に若干広い画角で撮っておくのが良いと思います。
おわりに
いかがだったでしょうか。撮りたかった『主題』は必ずあるわけで、主題と呼応したり対比したり、その場の雰囲気を説明するような『副題』があり、主題への明確な視線誘導のための『引き算』を考えると、作品写真となりそうですね。