世界で活躍する日本人バレリーナ ~世界の頂点を極めるバレリーナたち~<後編>
前回は世界の有名バレリーナとして、現代のバレエ界のレジェンドと呼べるバレリーナ4人と、人気を誇るトップ・プリマ16選をご紹介しました。最近は、世界各国で活躍している日本人バレリーナも増え、その活躍が注目を浴びるようになりました。今回は、海外のさまざまな有名バレエ団でプリンシパル(最高位)として活躍している日本人バレリーナたち10選と、注目のバレリーナをご紹介します。
2回に分けて掲載します。 21世紀のいま、世界の頂点を極めるバレリーナたち
第1回目<前編>:
1.バレリーナにおける世界最高レベルとは? ―世界の頂点の条件、魅力:特徴や共通性―
2.バレエ界のレジェンドたち ―ギエム、アナニアシヴィリ、フェリ、ロパートキナ―
3.世界の頂点を極める人気トップ・プリマ16選 ―ザハーロワ、ヴィシニョーワ、コジョカル、セミオノワ ほか―
第2回目<後編>:
4.世界で活躍する日本人バレリーナたち ―吉田都、中村祥子、高田茜、加治屋百合子、倉永美沙、永久メイ ほか―
21世紀のいま、世界の頂点を極めるバレリーナたち
4.世界で活躍する日本人バレリーナたち
◇世界で活躍する日本人バレリーナの先駆け ― 吉田都 ―
いま世界の有力バレエ団で日本人バレリーナが活躍中だが、その先駆けが吉田都である。ローザンヌ国際バレエコンクールでスカラシップを得てロイヤル・バレエ・スクールに学び、卒業後は英国バーミンガム・ロイヤル・バレエ団を経て英国ロイヤル・バレエ団に移籍。両バレエ団で計22年間プリンシパルを務め、ギエムら綺羅星のようなスターが居並ぶ時代の英国ロイヤル・バレエ団において屈指の実力と人気を誇った。
吉田は端正な踊りと淑やかなたたずまいを持ち味とじロイヤル・スタイル”を極めた正真正銘のプリマバレリーナ。フレデリック・アシュトンの『シンデレラ』『ラ・フィーユ・マル・ガルデ(リーズの結婚)』『オンディーヌ』、ケネス・マクミランの『ロミオとジュリエット』、バーミンガム時代の恩師であるピーター・ライトの手による『白鳥の湖』『ジゼル』『コッペリア』、デヴィッド・ビントレーの『シルヴィア』など代表作多数で、ジョージ・バランシン作品他でも好演し、数々の歴史的名演を残している。1991年、英国の「Dance&Dancers」誌においてダンサー・オブ・ザ・イヤーに選ばれた。2007年には大英帝国勲章OBE受章。
キャリアの終盤は日本を拠点とし、繊細にして包容力あふれる踊りを母国の多くの観客に披露した。2017年、文化功労者に選ばれる。2019年8月、惜しまれつつ現役を退き、国内外から豪華ゲストを招いて引退公演を盛大に催した。2020年9月、新国立劇場舞踊芸術監督に就任。世界的な感染症拡大の影響を受けて芸術界が危機的状況を迎える中、新国立劇場バレエ団を名実共に日本を代表するバレエ団へと高め、確かな指導力を発揮している。観客やダンサーから敬愛を一身に集めるレジェンドにして日本バレエ希望の星だ。
吉田都
◇世界で活躍、最高位を極めた日本人バレリーナ10選
現在、世界的キャリアを誇る日本人バレリーナの名花たちを挙げよう。数多く紹介したいが、今回は世界各国の著名バレエ団の最高位プリンシパルとして大車輪の活躍をしている日本人バレリーナたちを、各バレエ団から10人紹介する(順不同)。
中村祥子(Kバレエカンパニー名誉プリンシパル)は、ウィーン国立バレエ団を経てべルリン国立バレエ団のプリンシパルを務めるなど欧州で活躍。スケール大きく情感豊かな踊りによって観る者を魅了する。高田茜(英国ロイヤル・バレエ団プリンシパル)は、吉田以来となる英国最高峰のプリンシパルを務め、古典から現代作品まで表情豊かに踊りこなす。加治屋百合子(ヒューストン・バレエ団プリンシパル)は、長年アメリカで活躍、繊細かつ魅せる踊りが映える。令和2年度(第71回)芸術選奨文部科学大臣賞受賞。倉永美沙(サンフランシスコ・バレエ団プリンシパル)は、ドラマティックな表現に磨きがかかる。2017年、バレエ界のアカデミー賞とも称されるブノワ賞にノミネートされた。
中村祥子(Kバレエカンパニー名誉プリンシパル)
高田茜(英国ロイヤル・バレエ団プリンシパル)
倉永美沙(サンフランシスコ・バレエ団プリンシパル)
小池ミモザ(モナコ公国モンテカルロ・バレエ団プリンシパル)は、現代の巨匠ジャン=クリストフ・マイヨー率いる人気カンパニーの大黒柱。高橋絵理奈(イングリッシュ・ナショナル・バレエ リード・プリンシパル)は、長年英国でプリマを務める重鎮で踊り巧者だ。平田桃子(英国バーミンガム・ロイヤル・バレエ団プリンシパル)は、英国の名門の中核として、成熟した表現力を発揮する名バレリーナ。橋本清香(ウィーン国立バレエ団ファースト・ソリスト(同団最高位名称))は、音楽の都屈指の実力派バレリーナとして息長く活躍する。近藤亜香(オーストラリア・バレエ団プリンシパル・アーティスト)は、抜群のテクニックとナチュラルな演技が魅力で、2018年、ブノワ賞にノミネート。菅井円加(ハンブルク・バレエ団プリンシパル)は、2012年のローザンヌ国際バレエコンクール第1位。常にチャレンジングな踊りで観衆を圧倒する。
小池ミモザ(モナコ公国モンテカルロ・バレエ団プリンシパル)
平田桃子(英国バーミンガム・ロイヤル・バレエ団プリンシパル)
菅井円加(ハンブルク・バレエ団プリンシパル)
◇世界で活躍、要注目の日本人バレリーナ
また、世界の超名門バレエ団において躍進するバレリーナたちを挙げておこう。
金子扶生(英国ロイヤル・バレエ団プリンシパル)は、数々の国際コンクールで受賞。美しく気品ただよう踊りが魅力で今年5月プリンシパルに昇進した。オニール八菜(パリ・オペラ座バレエ団プルミエ・ダンスーズ)は、2016年にブノワ賞を受賞。オーラあふれる華やかな踊りが人気だ。加瀬栞(イングリッシュ・ナショナル・バレエ プリンシパル)は、2014年にジャクソン国際バレエコンクールで金賞受賞。生き生きとした踊りで観客の心をつかむ。飯島望未はヒューストン・バレエ団プリンシパルを務めた。華やかでファッショニスタとしても注目を浴びる異才だ。2021年8月、新たにKバレエカンパニーへ入団し、日本での活躍も期待される。佐々晴香(スウェーデン王立バレエ団プリンシパル)は、若くして北欧の名門の最高位に。力強さとしなやかさを併せ持つ注目株である。永久メイ(マリインスキー・バレエ セカンド・ソリスト)は、名門マリインスキーにおいて相次いで主役に大抜擢。チャーミングな新星である。
金子扶生(英国ロイヤル・バレエ団プリンシパル)
オニール八菜(パリ・オペラ座バレエ団プルミエ・ダンスーズ)
加瀬栞(イングリッシュ・ナショナル・バレエ プリンシパル)
彼女たちのさらなる飛翔に期待したい。
文・高橋森彦(バレエ評論家)
(写真:アンジェラ加瀬、瀬戸秀美(光藍社過去のプログラム、公演より) 写真協力:TBS事業部)
今回は、世界で活躍した先駆者である吉田都、いま世界で活躍している日本人バレリーナたち世界各国の有名バレエ団から各1名の10選と、注目のバレリーナをご紹介しました。
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【2022年12月開催】
ウクライナ国立バレエ(旧キエフ・バレエ)
「ドン・キホーテ」(全幕)
子供無料チケットもあります! 以下URLよりご確認ください!
https://www.koransha.com/ballet/ukraine_ballet/
公演名:ウクライナ国立バレエ (旧キエフ・バレエ)
「ドン・キホーテ」(全幕)
日程 :2022年12月17日(土)~ 2022年12月30日(金)
開催地:東京、横浜、川越、ほか6都市で開催