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シン・友情なんていちいち確認するもんじゃない。

「大丈夫? 落ちたら困るもんじゃなかった?」「わりと落ちてほしくないものが落ちた」というまゆさんと風弥さんの会話で、ステージ上が大混乱した今年のかざバ。まゆさんがステージに出るやいなやガシャーンという音が響き渡り、その瞬間にアコギに装着していた機材が外れてしまったらしい。しかもそのパーツの一部がアコギの内部という最悪な場所に入り込んでしまい「弦全部外さないと取り出せない」という説明を受けた風弥さん(絶対音感持ち)は、案の定笑顔でフリーズしていた。まゆさんが大慌てでギターを再調整している間、風弥さんとまゆさんは「今日、まゆがバースデーTシャツを作ってくれたんだけど、それが届きました。新横浜NEW SIDE BEACHに」「14時から16時の指定にしてね。だから渋谷から取りに行ってたんだよ、港北の配送センターで荷物止めてもらって」「それ実質新横浜だからね」と、直前に機材がガッシャーンした人と、それを目の前で見た人とは思えない、平和すぎる会話を繰り広げていたけれど、それを見てふと思ったのだ。高校生のときから、この二人はずっとこういう温度感なんだろうなと。

風弥さんもまゆさんも「気づけば家族の次に付き合いが長くなっていた」と言うけれど、学生時代の同級生と今でも一緒に夢を追える関係って、どれだけの奇跡なのだろう。それも学生時代のノリの延長線上ではなく、現在進行形の自分で。二人だけでも奇跡なのに、この二人とこれまた高校時代からの付き合いのベーシストReiさんも入れて、三人で昔も今も変わらず、のほほんと、ほのぼのと、それでいて真剣に夢を追い続けているのだ。それを見ると「仲間っていいなあ」と、しみじみ思わざるをえない。それは三人とずっと一緒に活動しているボーカリストの夕霧さんや、ギタリストの直ちゃんからも「奇跡的」「あの三人は一生一蓮托生なんだろうな」という言葉が出るぐらいの、日常というスペシャル。これを素敵な関係と言わずになんと言えばいいのだろう。

そういえば今年のかざバ、ちょっとしたサプライズがあった。本番当日に「風弥さん、僕呼ばれてないんですけど・・・」と、哀愁漂う美声で大真面目に電話をかけてきた人がいたと。風弥さんは当然のごとく驚いて「いいの? 別にかまわないけど、ぶっつけ本番になるよ? それでもかまわないの?」と返したところ「かまいません」と返されて話が決まり、そのまま彼はバイオリン片手にしれっとやってきた。そう、AURORIZEのヴォーカリストでヴァイオリニストの弓代星空さんである。そんな熱くも軽いノリでいきなりやってきて、あれだけの演奏二人でしてしまうんだからすごいよなあと思いつつ、一緒に音を出せなかった期間が長くても、顔と音を合わせればすぐに自分たちのペースで息の合った演奏ができるこの関係も、とても素敵だなあと。

「仲がいい」とは、相手のスタンダードを尊重できて、なおかつ相手を試さなくてもいい関係のことだと思っている。友情や愛情という気持ちは、伝えられるなら伝えたほうがいい。ただいちいち確認する理由はないような気がするのだ。愛は不加算名詞、それでいいじゃないか。数えるものでもなければ、ましてや比べるものでもない。それでいいというか、それがいいのだ私は。

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