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漫画万歳!(32) ~花田少年史~

先日、ショパンコンクールが開催され、日本人の入賞が話題になりました。ショパンコンクールと言えば、モーニングで連載した「ピアノの森」(一色まこと作 講談社全26巻)でしょう! 週刊誌での連載を楽しみにしていた最後の作品のような気がします(その後、週刊誌を買わなくなっちゃった)。ピアノの森を読み返そうかと悩んでいたところ、同じ作家の「花田少年史」を読んでいないことに気がつきました。よく名作だという評判を目にしていたので買っちゃいました。
 
「花田少年史」は、「ミスターマガジン」(講談社)で1993年から連載、全5巻(4巻+番外編1巻)がモーニングKCから出版されています。1995年には、講談社漫画賞を受賞、アニメ化、映画化されながら様々な賞を受賞し、作者の代表作として評価されています。
 
物語は、どうしようもない悪ガキ、花田一路(イチロ)が車にはねられて、後頭部を9針縫い(そのせいで丸坊主になる)、奇跡的に助かったものの、幽霊が見える体質となってしまったところから始まります。いやぁ、一路の悪ガキっぷりが、ちょっと笑えないくらいひどくって、「おれは鉄兵」を時々思い出しておりました(わかる人います?)。
 
そんなとんでもないいたずらっ子のもとに、成仏したい幽霊たちがいろいろお願いごとをしにやってきます。最初のうちは、亡くなった方が恋人や家族に悲しまないでとメッセージを伝えたりするなど、ホロっとくる心温まる話もあるのですが、幽霊もいろいろいるものです。恐妻家でフルチンすっぽんぽんで現れるおじいさんやドスケベながり勉の無理難題は、一路がかわいそうになってきます。下品で喧嘩ばかりの家族とのギャクや亡くなった方のメッセージを伝えたり、しっかり泣いてしまうような切ない話もあり、性根は心優しい一路のよさがじわじわっとくる物語です。

MOTHER BRAIN MONTHLY REPORT(2021年11月号)より


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