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きょうだい児①『姉と弟』~重度障害児子育て~

重度心身障害児の息子には姉がいる。

娘には、ただただ『弟』としてだけ見られるように、私なりに夫と悩み、相談しながら子育てしてきた。

2人は一緒にテレビを観たり、おしゃべりしたり、絵本を読んだりして一緒に過ごしている。
障害はあるけれど、『姉と弟』の関係を大切にしたかった。
姉を『弟を助ける役割』にしたくなかった。

ただ、障害があることは事実だ。

娘が息子のことで悩んでいたこともあるし、心を痛めることもあった。

例えば、学校で兄弟・姉妹がいるかどうかの話になったときに、どこまで話すかなどを考えるようだ。
人によって、話したり、話さなかったりを自分で判断していると聞いている。

小学校のときには、散歩中の息子をたまたま見かけた同級生の男子が学校で娘に対し、「お前の弟、気持ち悪い。」と言ったことがあった。
担任の先生に相談し、道徳の時間(参観日)で話してくれたが、私が納得できる内容ではなかった。
担任の先生は、障害を持っている人の説明をした後、「こちらが何を言っているか分からないような相手にだったら何を言ってもいいと思いますか?」と言ったのだ。この問いかけは私にとって、とても辛かった。
質問の趣旨は分かる。けれども、酷い質問だ。もっと言い方があると思う。
そして、これに対して、娘に息子のことを「気持ち悪い」と言った男の子が挙手して答えたのだ。
「優しくしてあげないといけないと思います。」
どの口が言ってるの?
気持ち悪いって言ったの、あなただよね?
娘もうんざりしたようだった。
家に帰ってきた娘は「あの男の子には、本当に腹が立つし、先生も言い方が悪かった。何を言ってるか分からないって!嫌なこと言われているのは心で伝わるよ。」と言っていた。


今は学校の友達と兄弟・姉妹の話になったときには、娘は自慢話をしているらしい。
学校の友達はよく「昨日、弟と喧嘩した」「お姉ちゃんに私のおやつ勝手に食べられた」など悪口を言うことが多いようだ。そんな中、娘は「うちの弟はずっとかわいい。喧嘩なんか全然しない。癒しでしかない。」と言うようだ。

実際はそもそも喧嘩になんてならないと言ってもいい。
息子が娘を悪く言うこともなければ、娘のお菓子を勝手に食べてしまうこともない。なんならデイなどでお菓子をもらうと息子は食べられないおやつを娘にプレゼントすることが多い。

友達からは「いいなあ、かわいい弟がいて。うちのと変えてほしい。」と言われ、「絶対変えませ~ん。」と答えているそうだ。


学校から帰ると、娘は一番に息子のところに行き、
「ただいま~!!ねぇね、帰ったよ~。」と言う。
息子はキラキラした目で『ねぇねだ!!』という顔をして、ニコニコしながら声がする方を向いて、「あ~~!」と答える。

息子はねぇねのことが大好きだ。
娘も弟のことが大好きだ。

姉と弟。
そのままの2人でこれからもいてほしい。

この関係性が変わらないように、私はこのまま見守りたい。





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