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ベーグル店にて

私にはお気に入りのベーグルの店がある。
パン屋さんで端っこに置かれがちなベーグルが、その店は専門店なので見渡す限りベーグル!そして、そのたくさんの種類のベーグルから好みのものを選ぶのがとても楽しみなのだ。
昼頃には売り切れてしまう人気店なので、SNSで売り切れになっていないかの確認をしてから訪れることにしている。

今日は用事を済ませたときには12時近くになっていたため、売り切れ覚悟でSNSをチェックすると、「今日はいつもより多く焼いています。お好きな時間にお越しください」との書き込みが。

車を走らせて、スムーズに店の前に着いた。
後ろに1台の車がいたため、駐車する時間を待たせるのが申し訳なかったので、まず店の駐車場スペースに車を横付けした。
後ろの車が通り過ぎたらバックで駐車するつもりだったが、その車は動かない。
様子を見ていたがやはり動かないのでさっと駐車させてもらおうと思ったとき、後ろの車の方向指示器がチカチカと点灯し始めた。
なんと、後ろの車も同じお店に入りたかったのだ。
心の中で、ごめんなさいとつぶやきながら駐車、後ろの車も続いてスムーズに駐車した。
ベーグル店に入るのが同じタイミングになった。
恰幅の良い男性がくしゃっとした顔で、
「ごめんね、ウインカー出すのが遅かったね。」
と声をかけてきたので、
『いえいえ、こちらこそ失礼しました。』
と答えた。

そう話しながら店に入ると、その人はベーグル店のオーナーと知り合いだったようで軽く挨拶を交わし、ベーグルの写真を撮らせてほしいと声をかけた。ベーグル店のオーナーは快諾し、撮影が始まった。
スマートフォンで写真を撮っていたが、私が写りこみそうになったため、
『どうぞ、先に撮ってください。』
「悪いね。ありがとう。」
『おいしそうに撮ってくださいね?』
「難しいなぁ。」
と、話していると、店のオーナーが声をかけてきた。
「この人ラーメン屋してるんですよ。あの大きい橋の近くにある、知りませんか?うまいですよ!」
『行ったことはないけど、あるのは知ってます。え、あのラーメン屋さんの店主さんなんですか?』
「そうよ~。また食べに来てよ。」
『うわぁ、行かせてもらいますね。』
と、会話が終わるころ、ベーグルの撮影も終わった。
「知り合いにどんなベーグルがあるのか見たいから写真送ってって言われてさ。」
「宣伝ありがとうございます。まだまだオープンしてから間もないですからね。たくさんの人に知ってもらわないと。」
2人が会話をしている間に明日の朝ごはんに食べるベーグルを家族分厳選した私は会計へ進んだ。
会計時にNYベーグルを使ったサンドウィッチを注文できるので、自分のおひとり様の昼ごはんにスモークサーモン、オニオン、トマト、ケッパー、ネギクリームチーズを挟んだサンドをお願いした。
注文してから作ってくれるので、私も再び会話に混ぜていただきながら完成を待ち、店を後にした。
買いたいものを買えたウキウキした気分と店でのやりとりに心もほっこりして、鼻歌交じりの帰り道となった。

家族が帰ってきたら、週末にラーメン屋さんに行こうって提案しようかな。
ラーメン好きの主人が喜びそうだ。
朝ごはんのベーグルには、紅茶とコーヒーどちらが合うだろうか。
ベーグルサンドを「最高!」と言いつつ頬張りながら、もうすでに次の日の朝ごはんと週末の外食のことで悩んでいる。
なんという食いしん坊な私。
天高く馬肥ゆる秋、ほどほどにしておかねば。


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