わたしの、本との付き合い方
わたしは読書が好きだ。大人になってからたくさんの素敵な本に出会った。カズオ・イシグロの「私」目線の物語が大好きで近所の図書館にあった分は全部読んだし、燃え殻さんのエッセイや小説も長風呂しながら何度も読んでいる。最近は源氏物語と坂の上の雲を並行して読んでいて、早く次巻を入手せねば、と思っていた。出先で本屋を見かけると必ず寄ってしまうし、旅行先で古本屋さんが目的地の一つになったりもする。
ただ、ある日から急に本が読めなくなる。きっかけはわからない。数ヶ月おきにそれはやってきて、2ヶ月ほど続く。無理やりこの前の続きを読もうとしても、1行も頭に入ってこない。文字の上を目線だけが滑っていくかのように感じる。だからもう本すら開かなくなる。
しかしある日突然、本が読めるようになる。「あ、読んでみたいかも」と本を開くと、内容がスルスル頭に入ってくる。しばらくするとドカドカと流れ込んでくるようになる。そして数日は没頭してしまう。
この、「あ、読んでみたいかも」と思う本はだいたい決まっている。森下典子さんの『日日是好日』か、燃え殻さんの本。『日日是好日』は、なんだか読みたくなったらまず目次を開き、なんか読みたいかもと思ったページを読む。燃え殻さんの本はいくつかあるので、なんとなく背表紙で読みたいなと思うものを手に取る。1ページ目から読むことが多い気がする。
本が読めない自分に悩んだ時期もある。わたしどうかしちゃったのかという不安、日々に楽しさを見出せない悲しさ、インプットできていないという事実に対する絶望、本を読む代わりにスマホを触ったりぼーっとテレビを眺めたりして時間を無駄にしている自分への怒り。こんなにたくさん悩んでも、結局本は読めない。
けれど最近は、いずれ本が読める日が来るとわかってきたし、ラジオを聴くという楽しみも増えたので、次に本を開くその時をのんびり待つことができている。読めるようになったら、移動中も休日もずっと本を開いている。これがわたしの、本との付き合い方。ちなみに今は絶賛待機中。そろそろ読書欲が爆発しそうな予感がしている。
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