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イクイノックスが電撃引退した理由【妄想小説】

「これが世界が憧れる実力です!」
ジャパンカップは圧倒的なレースそのものだった。ジャパンカップを終え、検査を終えたイクイノックスに、馬語がわかる私は話しかけた。

「有馬記念?出るつもりだよ。まだ俺は走れるし、圧倒的な強さで勝ち切りたいんだ」
「そうこなくっちゃね!」
「当たり前だろ、競走馬はレースに出ることでファンに夢と希望を与える仕事なんだよ」
「確かにそうだけど…どの馬が来るかわからないレースでしょ?オッズがガッチガチになったら、それはそれで面白さは半減するよ。予想は簡単になるけどさ」
その時、一瞬であるがイクイノックスの表情が「良」から「稍重」に変わった。
「つまり…俺がまたレースに出ると、俺にバカみたいにつっこんで「最強馬券士、帯ゲット」というよくわからんやつが出てくるのか…」

「この手の輩がまた有馬で得をするということになるのか…」
「まぁ…そうだけど」
「俺に全額ぶっこめば勝てるわけで…こんなのレースじゃねぇ?」
「??????」
「これじゃ夢のレースでも何でもねぇ…。俺は「ほんの数%にかけるファン」に期待しなきゃいけないんだ。俺、やめるわ」

………

イクイノックスの引退は早く種牡馬入りさせたい人間の思いがあるかもしれないが、もしかすると、何も考えずに大金をブッコむやつらのせい…かもしれない。

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