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推しに殺される

今回の「言葉の企画」の課題、
「あの感情に今、名前をつけるなら」をテーマにnoteで記事を書いてみる。というもの。

うーん。何を書こう。
名前をつけたい「あの感情」の目星ならいくつかある。

土日を控えた金曜夜の高揚感・全能感「バナナムーン・ハイ」とか、
名前はまだ無いけど、
Web先着申込の受付開始時間直前のドキドキ、とか、
早起きした休日をうっかり二度寝して昼を余裕で過ぎてた絶望感、とか。

でも何かヌルいなと、思って。
自分至上、気持ち悪い自覚のある、惨めな、ダサい感情に目を向けてみることにした。

前置きはこのくらいにして。では。

推しという存在。

あなたには「推し」はいるだろうか?
アイドルや二次元に限る必要はない。
アーティストでもスポーツ選手でも構わない。ジャンルに拘らなくていい。

「身近な人」を推す、という素晴らしい感性を持っている人もいるだろうが、今回は取り合えず、「タレント」に絞っていきたい。

今回取り上げる感情は「アイドル」を推しての話。

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推す原動力なんてのは複数ある。
「かわいい(かっこいい)」「あ~お金使いたい」「現場(=ライブ)が最高で」
人それぞれ理由は色々あると思う。

僕の理由は上記では「かわいい」や「ライブが楽しいから」があるが、
その他に「なんだか応援したくなる」がある。

数年前に炎上した某議員の投稿だが、まさにソレ。

アイドルとは別軸でプロ野球は横浜も推しているが、結構近い感情がある。

ベイスターズが勝つと嬉しいし、負けると悔しい。
だから応援する。そんな感じ。

アイドル然り。
推しているアイドルを応援する。活躍する。
色々なメディアで見かけるようになる。楽しい。
大きなハコでライブをする。人が大勢集まって盛り上がる。楽しい。

最近はアレがアレしている為、大規模なライブができておらず。
10月頭も大阪で実施予定だったライブが中止になって悲しかったりもする。

でも、「推す」ことで、結果的に「楽しい」というエフェクトが
自分に返ってくるので、趣味の一つとして「推す」ってのは割と有意義。

「応援して、一緒に成長していく気がする」とまでは言わないが、
秋〇康 大先生の掌で転がされながら、近しい充実感があるのもまた事実。

でも、いくら推しても、人生は好転しないよね?

ここ数年。時折こういう自嘲的な感情になる。

彼女らはこんだけやってんのに、俺は何してんのかな…
というもの。

突然、和田アキ子さんかMr.シャチホコさんが現れて、

「君はなにをされてる方なの?」

という声も聞こえてくることも無くはない。


大体こうなるのはライブが終わった後。
「あ゛~、今回のライブも最高だったなぁ~!」
「来年はツアーかぁ…行けるといいなぁ!」


で終わっていたのが、これまで。 学生時代~社会人なりたてまで。
ここ数年はこれに続き、

「に、しても明日は仕事かぁ…」
「俺は一体なにしてるのかなぁ……なんだかなぁ…」

という自責の、哀しみの感情が、
ライブ後のアドレナリンが抜け出した「賢者モード」のタイミングで湧き出すようになった。

何者でもない「ぼく」が、
スターたちの光に焼かれる、ということ。

多分こういうことなんだろうなと思う。

なんか、物凄い自分が惨めに思えてくる。

自分と同じくらいの年の人たちが、
(気づいたら、年下が多くなってきた、という闇には今回は触れない。)
なんちゃらアリーナとか、なんちゃらドームの舞台に立ち、
何千、何万人もの前でパフォーマンスをする。魅了する。

ライブ後の顔は達成感か充実感に溢れたような満足そうな顔をして。

そりゃ僕らみたいな一般人には想像のつかないくらい、
過酷なレッスンとか、グループ内競争とかも乗り越えているのでしょう。
満足そうな顔に見えて、実は悔いもあるかもしれない。

(残業自慢とかする連中が、未だに勤め先の広告代理店には多いのですが、
そういう「頑張ってるアピール」しない、というのも推しポイントかも。)


……それに比べて、僕の仕事は何なんだろうか。
あんなに達成感に溢れたような顔なんてしばらくしてないなぁ…
今の仕事に熱中できてるのだろうか?そもそも熱中したいと思ってる?
だいたいさぁ、今やってることに何の価値があるの? そもそも…



なんて考えて、自分が凄い、もの凄い、「惨め」に思えてくる。

「照らす側の人」を羨むだけで、何もできない自分、という現状を
自分で自分に突きつけてしまう、自傷行為に走ってしまう。

別に「推す」こと自体は一切悪くない。
変に自分で自嘲的になって、自分で首を絞めている自覚もある。

それでも、どうすればここから抜け出せるのか分からない。

灯りに集まる蛾の如く。

「推す」こと、そのものは楽しい。
早くライブも再開して欲しい。
そう、別にトータルではプラスなのだ。

少しネガな感情が入ってしまうけれど、
やっぱり「推す」ことは楽しいし… 
だから、「光」についつい吸い寄せられてしまう。

それがたとえ、殺虫灯の光だとしても。

「推しに殺される」のか、はたまた「殺されに行く」のか。

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