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ハスってんじゃねーよ

まず、この記事に辿り着いてくれた人の中には、タイトルにも使っている
「ハスる」という言葉をご存じでない方が居る…というより大半だと思うので「ハスる」というワードのご説明から。

「斜[シャ]に構える」という言葉は一般的だと思います。

①剣道で、刀を敵に対して斜ななめに構える。
②物事に正面から接するのでなく、ことさらずれた対応の仕方をする。
「 - ・えた態度」

③物事に対して十分に身構える。改まった態度をとる。 「伴蔵は蚊帳の中に-・へて待て居る/怪談牡丹灯籠 円朝」
(出典)三省堂 大辞林 第三版

「斜」という漢字は[ハス]と読むこともできて、ひょんなことから、
②「斜に構えた態度をとる」ことの動詞が「ハスる」と言われ始めました。

最初に使いだしたのは、お笑いコンビのオードリーの若林正恭さん。
彼らのラジオ番組「ニチレイ presents オードリーのオールナイトニッポン」の番組内とオードリーファンの通称「リトルトゥース」の間でしか使われていないスラングなので…
まあ、記事を読み終えた後は記憶の片隅に残しておく程度で結構です。

*それでも、「ハスる」について知りたいなんて奇特な方は、
 それなりに紹介しているブログを発見したのでコチラのリンクから。

と、前置きはここまでにして、何故今回のタイトルが
ハスってんじゃねーよ
なのかというと、僕がいま参加している言葉の企画の前回の課題、
「あの頃の感情に今、名前をつけるなら」に向けて書いた記事、

を読んだ、講座の主宰の阿部広太郎さんの感想がまさに

ハスってんじゃねーよ。

だったからでした。

嘘です。

阿部さんからの感想を読んで、
「あ、俺ってハスってるのか」
と気づいたからでした。

阿部さんからの感想を一部引用させて頂きます。

この言葉を書いて誰にどんな気持ちになって欲しいのか。
(略)
斜めにみるのはもうやめた方がいい。
その力を何に使いたいのか、
それを定めることが何よりも大切。

そうか、僕は斜めにみていたのか。

先の記事は、自分の恥部をありのまま赤裸々に書き綴った、
「ど真ん中直球」のつもりだったけど、
普通の人から見れば「斜め」で「ハス」なのか。

確かに、先の記事では読み手側が見て思うであろう感情はそこまで意識していなかったかもしれない。
例えるなら、海に向かってバカヤロー!!と叫んで、吐き出して、
自分でスッキリするものに近い。

勝手に叫んでいる「僕」を見て、
「何だよアイツ…」と距離を置く人もいれば、
「おう、ニーチャン!そんなに叫んでどうしたよ」と寄ってくる人もいる。

恥部もさらけ出して、それでも関心を持ってくれる人がいればいい。
そんな都合のいい考えで先の記事を書き殴ったのは反省ですね。

ただ、「真っ直ぐ、ど真ん中」ってどこなんだろう…?
そんな疑問はしばらく残りそうだし、
誰かに「こうだよ」と言われても納得できるかは……
すみません。分かりません。

ここまで書いて気づいたのは、僕の本性って「深夜ラジオ」みたいだなと。
表(=テレビ)に出せないことまで開けっぴろげに話して、
それをみんなでニヤニヤする。分からない人には寄ってきて欲しくないし、寄っていこうともしない、「男子校の三軍」みたいな。

社会不適合者というと過激だけど、無理に適合しようとすると息苦しい。
ありのままでいようとすると不適合者の烙印を押される。
かァ~~~ッッッ!!!社会って生き辛いですな。

自分の「本心」と、今、社会に向けている「仮面」。
25歳まで生きてやっと、「本心」と「仮面」にしっかり向き合っていく
きっかけにはなりました。

ただ、最後に。
ここまで読んでくれた優しい人へ。これだけは投げかけさせてください。

「大人になれよ」「空気読め」「周りにあわせろ」って
妥協を強いられること、誰にも得てしてあると思うのですが、
そうやって「ひとびと」の妥協と妥協が重なり合ってできた、
「ど真ん中」の世論に「あなたの本心」ってどのくらいあるのでしょうか?
あなたが立っていると思う「ど真ん中」は
本当に「ひとびとの本心」にとっての「ど真ん中」ですか?

もはや、「真っ直ぐ」「真ん中」って何なんでしょうね。

えぇ、これがハスってることについては自覚があります。
父さん、母さん。僕はまだ大人になれるには程遠そうです。

最近は居酒屋で気心知れた連中と愚痴り合いながらダラダラ呑む、
なんてことも減ったので、ついつい吐き出したくなってしまいました。

お目汚し、大変失礼いたしました。

(完)

こんな「斜め」な記事を最後まで読んでくれた人へ。
「ハスる自分」についての考察が練られた名エッセイ、
オードリー若林さんの一冊『ナナメの夕暮れ』

日常の中で感じる違和感と生き辛さに「あるある!分かる!」となりつつ、
「そうかぁ~なるほどなぁ…」と感じる・考えさせられる、
妙にエキセントリックな読後感が、ハマる人にはハマるのでよかったら。

ついでに、若林さんつながりでもう一冊。
本稿執筆時点(10/16)の一週間ほど前に文庫版が出た
『表参道のセレブ犬とカバーニャ要塞のセレブ犬』も良ければ、ぜひ。

ちなみに散々使った「ハスる」。一部ファン*の乱用・誤用が目に余るので、
若林さん自身はもう使っていないというのはご愛嬌。

* 流行り物に乗っかって騒ぐだけ騒いで、勝手に盛り上がっておきながら、
曰く、ワンクール程度で飽きて去る「ワンクールトゥース」の所為だそう。

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