人は人知を超えた完璧超人が好きなのか〜久保建英は神童なのか〜
私は小中高の12年間、サッカーをやってきました。
プロに憧れることもありましたが、小学生の時に原口元気選手(現ハノーファー)のいるチームにボロ負けして諦めたことを今でも思い出します。
時は経ち、代表選手の多くが海外でプレーするようになりました。中でも、レアルマドリードへの入団が決まった久保健英は連日メディアを賑わせています。
しかし、その過剰とも言える「天才」「逸材」という持ち上げ方が気になりり、考えてみました。(天才ということは同意ですが)
サッカーマガジンではないので久保健英についての説明は簡易的になります。
・久保健英レベルの18歳は存在するのか
まず、レアルマドリードに所属する日本人となると、存在します。下部組織ではありますが、中井卓大は、現在15歳で9歳の時から所属しています。
中井卓大も大いに話題になりつつあり、代表にも招集され始めました。
世界規模となると、ブラジルのヴィニシウスが18歳でレアルデビューを果たしレギュラーに定着しています。フランスのエムバペは17歳で当時所属していたモナコの最年少ゴール記録を塗り替えています。そのエムバペはW杯でも10番を背負い優勝し、今最も市場価値が高い選手です。(2億ユーロ:約248億円)
二人とも共通して「神童」と呼ばれ、世界のトッププレイヤーの仲間入りを果たしています。
少なからず、世界を見ると18歳で活躍している選手は存在しています。
更に、日本代表デビューを果たした久保健英ですが、市川大祐は更に若い年齢でデビューを果たしています。市川の時にどれほど騒がれていたかはわかりませんが・・。
・「天才」で片付けることなかれ
久保は確かに天才かもしれません。
今の雰囲気だと、久保を批判=なんだかとても悪いことのように感じます。
イタリアのガゼッタ・デロ・スポルトもスペインのマルカ紙も、イギリスのBBC、ドイツのビルドなど、各国のメディアはどんなに優れて実績のある選手でもプレーが悪いと批判する。その代わりに、良いプレーをすると褒める、といった基本構造になっています。
それに付随し、サポーターも容赦なくブーイングをします。選手を個人として尊重し、ある意味で批評をしているので、厳しくも暖かい目で育てるような感覚を覚えます。
その点、日本のメディアでは有名選手を批判する報道はほとんど見られません。スター選手は何をしてもずっとスター、というスタンスです。
国柄もあるので、どちらが優れているという話ではありませんが、個人として見るからこその批判(もしくは議論と言っても良いかもしれません)が行われる訳で、彼はすごい!天才だ!と言っていて終わるのでは話として内容がありません。
「世界で活躍する日本人」「神業」「○○年に一度の天才(アイドル)」など、賛美しやすいようにカテゴライズする傾向が近年で特に感じることが増えた気がします。
褒めること、期待することはもちろん良いですが、その先にある個を見ることも、必要な場面があるのではないでしょうか。期待に押しつぶされる可能性や天狗になってしまうことも有り得るでしょう。
天才だって、神童だって、人間なのです。