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#Takemeouttothe
Take Me Out to The... 第52週
透は即答した。同時に、女神を連れていく場所に思いを馳せる。
(映画館かな? 美術館とか? それともテーマパークとか?)
「それじゃあ、青山君。私を――」
「私を野球に連れてって」
つづく
Take Me Out to The... 第51週
女神は照れ臭そうに頬をかいた。
「別に隠してたわけじゃないけど……やっぱり恥ずかしいね。のめり込みすぎるっていうのは」
「そこまでのめり込める結城さんの趣味って何なの?」
透は諦めずに踏み込んだ。
「……教えてあげたら、青山君は私をそこに連れてってくれる?」
「も、もちろん!」
つづく
Take Me Out to The... 第50週
それは、ともすれば冷淡ともとれる反応で、透は内心焦り出した。しかし、彼女の目は穏やかだった。
「なんか……私のこと色々見てたみたいだね」
「うん、まあ……気持ち悪いかな?」
「そうだね……ちょっとだけ怖いかも」
ホットな女神は無慈悲なまでに素直だった。だが、同時に微笑んでもいる。
「でも……そうか、分かっちゃってたか……参ったなあ」
つづく
Take Me Out to The... 第49週
透は言葉を選ぶようにして話を続けた。
「結城さんは……何て言うかいつも楽しそうにしてるから。いや、時々メチャクチャ落ち込んでたりとか、明らかに元気のない時もあるけど……そんな時でも全力で生きてるって言うか」
話しているうちに、自分でも説明のつかない感情が沸き上がってくる。
「それが……凄く不思議って言うか……羨ましいんだ。何が結城さんをそこまでさせるかは分からないけど、俺には……そういう
Take Me Out to The... 第48週
確かに、先程の女神の金銭事情分析など、会話のきっかけにすぎない。だが、自分の気持ちをどこまで伝えればいいのだろうか。経験豊富な人間ならこんな時にでもうまく対処できるのだろうが、残念ながら透はそのようなタイプではなかった。では、一体どうするのか。答えは一つしかなかった。
「結城さんのこと……気になるから。何でも知りたいって思うんだ」
すべて正直に言うしかない。
つづく
Take Me Out to The... 第47週
「聞きたいです!」
透はほとんど女神のほうへと身を乗り出していた。
「でも青山君、どうしてそんなに私の話が聞きたいの?」
「どうしてって……?」
「本当にお金の話をしたいんじゃないよね?」
女神の指摘は的を射ていた。
Take Me Out to The... 第46週
「いやいや、まったく終わっていませんですとも!」
透は早まる女神を全力で押し留めた。焦るあまり、またもや口調がおかしくなってしまったが、今はそんなことを気にしている場合ではない。
「その、結城さんの趣味……というかそうじゃないのか分からないけど……その話が聞きたいなあ!」
「ど、どうしたの青山君。急に元気になったね」
あまりの勢いに、さしもの女神も動揺していた。
「……そんなに聞きた
Take Me Out to The... 第45週
半ばやけくそになりながら、注文したコーラをあおった。
「まあでも、あれは趣味っていうのかな……」
「えっ……何が?」
突然話し出した女神に、透はついていけなかった。
「あれ? 話終わってた?」
つづく
Take Me Out to The... 第44週
彼らの飲み物はすべてソフトドリンクで、アルコールは一切含まれていない。しかし、その仕草はどこか大人びて見えた。皆こういうところから、社会に巣立っていくのだろう。透はぼんやりとそんなことを考えた。そしてこれで、また女神との会話が途切れてしまった。今日は何もかもが思いどおりにいかない。
つづく
Take Me Out to The... 第43週
「待ってました!」
早速野中が飲み物を受け取り、手際よく全員に分配していく。透も自分の分を受け取り、静かにテーブルの上に置いた。そうして全員に飲み物が行き渡った後、野中がまた口を開いた。
「それじゃ皆、今日は思いっきり楽しんでね! 乾杯!」
「「「かんぱーい!」」」
野中の音頭に合わせて全員がグラスを掲げた。
Take Me Out to The... 第42週
女神の悩みは未だに解決する見込みがなさそうだった。これを解決ーーとまではいかなくとも、話題にすれば上手く会話が進むはずだ。
「……やっぱり趣味が原因かな」
女神が呟いた言葉を、透は聞き逃さなかった。
「その結城さんの趣味って何? それが分かればーー」
「お待たせしましたー!」
いよいよ待望の話題に移りかけたとき、女性店員が飲み物を持って入室してきた。
つづく
Take Me Out to The... 第41週
そんな考えが身をもたげ、勝手に脳内を駆け回り始めた。
「そっか、それなら安心だね」
幸いにも女神は寛大であった。透はこの機に話題の方向転換を図ることにした。
「結城さんは大丈夫なの? お金がないって言ってたけど」
「うーん、私の場合はお金がないのとはまた違うんだよね」
つづく
Take Me Out to The... 第40週
女神の反応を見て、透はしくじったと感じた。大学生にもなってバイトのひとつもしていないとは、責任感のない男だと思われたかもしれない。
「でも……それだと今日はお金が足りないとかない? 大丈夫?」
「大丈夫だよ。ちゃんと親からお金もらってるしね」
口にしてから、透は後悔した。これではまるで親のスネを囓ってのうのうと生きているダメ人間ではないか。せっかく女神と話をしているのに、これでは悪い印象
Take Me Out to The... 第39週
なんとか会話が続きそうだ。
「大学生でアルバイトとかしてると、結構お金があったりするのかなって」
「……どういうこと?」
透は女神の謎めいた発言を訝しんだ。
「私ね、結構バイトしてるんだけど、全然お金がある感じがしないんだ。それで、青山君はどうかなって思ったの」
「いや……俺はそもそもバイトもしてないから……」
「あっ、そうだったの? ゴメンね、勝手に決め付けて」
つづく