- 運営しているクリエイター
2018年7月の記事一覧
Take Me Out to The Ball Game!! 第56週
女神はそう答えると、バットを頭の上に水平に掲げる仕草をした。
「結城さん? それ何?」
「……あれ? 青山くん、知らない? 土谷選手は打席でこうやってからバットを構えるんだよ」
女神はそう言ってバットを構えてみせた。
「へえ~、そうなんだ」
何気ない調子で答えたが、透は内心焦っていた。
つづく
Take Me Out to The Ball Game!! 第55週
透はなんとかしてそちらのほうに視線を動かすまいとした。
「どうしたの、青山くん? 私に何か付いてる?」
だが、やはりホットな女神は目ざとい。視線を嗅ぎ付けられてしまった透は、咄嗟に言い訳を試みた。
「いや、あの……結城さんのユニフォームって、なんで違う名前が書いてあるのかなって」
透の指摘どおり、女神の着るユニフォームの背中には「YUKI」ではなく「TSUCHIYA」の文字が躍ってい
Take Me Out to The Ball Game!! 第54週
――多少、違った楽しみもあるが。
「今日はどんな試合になるかな? 何点取って勝つのかなあ!」
結城千尋はすでに興奮が最高潮に達しているようだった。まだ開場時間前だというのに、すでにレプリカユニフォームに身を纏い、首からは紐で繋がったプラスチック製の小さなバットを2本下げている。頭に被っている帽子にはWのマークだ。当然これは「Wyverns」の頭文字で、彼女が着る純白のユニフォームにも、金色
Take Me Out to The Ball Game!! 第53週
ここはサンシャインドーム。プロ野球球団の一つである中京ワイバーンズの本拠地だ。両翼100メートル、センター120メートル、フェンスの高さは4.5メートル。今年で開場20周年を向かえる、最大収容人員数38,500人の人工芝球場だ。一夜漬けの知識ではここまでしか明らかではないが、とにかくそういった立派な球場に、彼はやってきていた。その理由は、もちろん野球観戦に他ならない。
「楽しみだね、青山くん!
Take Me Out to The... 第52週
透は即答した。同時に、女神を連れていく場所に思いを馳せる。
(映画館かな? 美術館とか? それともテーマパークとか?)
「それじゃあ、青山君。私を――」
「私を野球に連れてって」
つづく