マガジンのカバー画像

一日一文まとめ

70
ほぼ毎日一文ずつ更新される小説『一日一文』がまとめて読めるマガジンです。
運営しているクリエイター

2018年4月の記事一覧

Take Me Out to The... 第43週

「待ってました!」

 早速野中が飲み物を受け取り、手際よく全員に分配していく。透も自分の分を受け取り、静かにテーブルの上に置いた。そうして全員に飲み物が行き渡った後、野中がまた口を開いた。

「それじゃ皆、今日は思いっきり楽しんでね! 乾杯!」

「「「かんぱーい!」」」

 野中の音頭に合わせて全員がグラスを掲げた。

Take Me Out to The... 第42週

 女神の悩みは未だに解決する見込みがなさそうだった。これを解決ーーとまではいかなくとも、話題にすれば上手く会話が進むはずだ。

「……やっぱり趣味が原因かな」

 女神が呟いた言葉を、透は聞き逃さなかった。

「その結城さんの趣味って何? それが分かればーー」

「お待たせしましたー!」

 いよいよ待望の話題に移りかけたとき、女性店員が飲み物を持って入室してきた。

つづく

Take Me Out to The... 第41週

 そんな考えが身をもたげ、勝手に脳内を駆け回り始めた。

「そっか、それなら安心だね」

 幸いにも女神は寛大であった。透はこの機に話題の方向転換を図ることにした。

「結城さんは大丈夫なの? お金がないって言ってたけど」

「うーん、私の場合はお金がないのとはまた違うんだよね」

つづく

Take Me Out to The... 第40週

 女神の反応を見て、透はしくじったと感じた。大学生にもなってバイトのひとつもしていないとは、責任感のない男だと思われたかもしれない。

「でも……それだと今日はお金が足りないとかない? 大丈夫?」

「大丈夫だよ。ちゃんと親からお金もらってるしね」

 口にしてから、透は後悔した。これではまるで親のスネを囓ってのうのうと生きているダメ人間ではないか。せっかく女神と話をしているのに、これでは悪い印象

もっとみる

Take Me Out to The... 第39週

 なんとか会話が続きそうだ。

「大学生でアルバイトとかしてると、結構お金があったりするのかなって」

「……どういうこと?」

 透は女神の謎めいた発言を訝しんだ。

「私ね、結構バイトしてるんだけど、全然お金がある感じがしないんだ。それで、青山君はどうかなって思ったの」

「いや……俺はそもそもバイトもしてないから……」

「あっ、そうだったの? ゴメンね、勝手に決め付けて」

つづく