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一日一文まとめ

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ほぼ毎日一文ずつ更新される小説『一日一文』がまとめて読めるマガジンです。
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2017年10月の記事一覧

Take Me Out to The... 第18週

「そんなことよりさ、皆遅いね?」

 透は話題を変えようとした。そして自分の情けなさを実感する。何が「皆遅いね?」か。今日は勝負の時と決め、隙あらば二人きりのチャンスを窺っていたのではなかったのか。とはいえ、チャンスは活かせない時に巡ってくることもある。まさか、いきなり二人きりになるとは考えてもみなかった。

つづく

Take Me Out to The... 第17週

 透は一旦誤魔化すことにした。しかし、口を突いて出たのは妙に使い慣れない言葉だった。

「……みたいな?」

 ホットな彼女に隙は無い。透の動揺が現れた言葉尻を耳聡く聞き付けていた。そしてまた、ニヤニヤと笑う。このまま一生このやり取りを続けていきたいという思いが、一瞬だけ頭をよぎった。

つづく

Take Me Out to The... 第16週

 透はあからさまに言い淀んだ。彼の内側で起こった一連の衝動を、彼女は知る由も無い。果たして事情を話すべきであろうか。しかし、どう話せばいいのだろう。この内側に走る衝撃を表現する適切な言葉が見つからない。いや、仮に見つかったとしてもそんなことを伝えていいものか。

「別に……ただ、お腹が空き過ぎて……みたいな?」

つづく

Take Me Out to The... 第15週

 透はそんな自分が恐ろしくなった。彼女の笑顔を見るだけで、こんな気持ちになってしまうとは。今はもう、彼女が笑っていればそれでいい。そんな危険な考えが先程のむず痒い感覚とともに、頭まで駆け上って透の脳裏を支配した。

「どうしたの、青山君?」

 黙ったままの透に千尋が声をかける。

「い、いや……なんでも」

つづく

Take Me Out to The... 第14週

「調整バッチリだね、青山君」

 ホットな彼女は無慈悲だった。透をからかうようにしてクスクスと笑っている。

 人に笑われるのは、あまり気分の良いものではない。彼女の言葉選びというか、ワードセンスのようなものにも引っ掛かるものがあった。しかし何故か、お腹の下辺りから痺れるようなむず痒いような感覚が透の体中を走った。かなり奇妙な感覚だったが、悪い気はしない。

つづく