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タイム・イズ・オン・マイ・サイド
【ブログの過去記事】
※本文を書くにあたり、中村太志さんのライナーノーツを大いに参考にしています。
「タイム・イズ・オン・マイ・サイド」は、元々はインストゥルメンタルだった。アーマ・トーマスの為に歌詞が作られた経緯があるそうだ。思い入れも十分あっただろう。本盤の中でもこの曲はテンションが高いように感じる。エタ・ジェイムばりの豪唱だ。ストーンズがカバーしたくなる気持ちも解らないではない。ただ、オリジナルが注目されず、アーマの方がカバーと誤解された事もあったとか。相当な心痛だったろう。やがて、自ら“封印”してしまう。結局は、ボニー・レイットのフォローもあり、アーマ・トーマス自身も大御所になった事で、封印は解かれはした。
Irma Thomas - Time Is On My Side
Rolling Stones Time Is On My Side
本盤のボーナス・トラックは<ミニット>時代の録音で、アラン・トゥーサンが深く関わっている。当時、<ミニット>には女性シンガーが居らず、アーマのおかげで、書き溜めていた女性用の曲が日の目を見たと言う。アランの、情緒的な世界観に彩られた、ドリーミーな感覚を含んだ好曲揃いだ。 実は、この時代にもいわく付きの曲がある。オーティス・レディングが「ペイン・イン・マイ・ハート」と改題した「ルーラー・オブ・マイ・ハート」だ。曲としては同じだが、当初、作曲者がオーティスになっていた。これは抗議の結果、アラン・トゥーサン(ナオミ・ネヴィル名義)の曲である事が認められた。先に、ドリーミーという言葉を使ったが、特にこの曲はモヤッとした独特の雰囲気を感じる。それは、オーティスにも若干伝染している。そう言えば、ストーンズは「ペイン・イン・マイ・ハート」もカバーしていた。さすがに、ミック・ジャガーまでは伝染していないようだ。
Irma Thomas Ruler Of My Heart
Otis Redding-Pain in My Heart
The Rolling Stones-Pain In My Heart
黒人音楽愛好家に「ニューオーリンズを代表する女性歌手」と聞くと9割方アーマ・トーマスと答えるだろう。カバー曲の話ばかりではなく、実生活でも数々の苦難を乗り越えてきた人物だ。そして、ストーンズ同様、良い意味で、いまだに転がり続けている。
※作品レビューというより、カバー話に終始したが、オマケを一つ付け加えておくと、最後の曲が、妙にヴァンデラスの「ヒートウェイブ」に聴こえる。
Irma Thomas ~ Moments To Remember
Martha Reeves & TheVandellas - Heat Wave