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レコード棚を順番に聴いていく計画 Vol.51


【過去記事です】

[60枚目]●アンソニー・ハミルトン『エイント・ノーバディ・ウォリン』<ソー・ソー・デフ>(05)

アンソニー・ハミルトンも48歳。すっかりベテランの域だ。本盤は、レコード会社の消滅でお蔵入りした実質的ファーストアルバム『XTC(エクスタシー)』を含めると4枚目になるゴールドディスクだ。

オールドソウル感覚とヒップホップ感覚がほどよくブレンドされた、所謂"ネオ・ソウル"の代表格として名を成す彼は、ノースカロライナ州シャーロット生まれ。ご多聞にもれず6、7歳の時に聖歌隊の一員として歌い始める。しかし、9歳の時父親が家族の元を去り、兄と妹と共に母子家庭となる。アンソニーはそれでもめげる事なく、有名シンガーへの道を目指した。

レコードデビューを果たしてからもすんなりとは行かず、20年間で6か所ものレーベル変更を経験する。しかし、2011年<RCA>に落ち着くと、グラミー賞にも顔を出すようになる。本盤も、発表当時話題にはなり実績を上げたとは思う。しかし、それ以後さらに自らの音世界を発展させたというところだろう。

生活上や音楽界上で苦労した経験の表れという訳でもなかろうが、彼の音楽にはアーシーな感覚が漂っている。声自体も、ハスキーというより棘のある感じで、心に引っ掛かる。しかし、ただ声の魅力だけにとどまらない。曲の中で自らの歌声を丹念に重ねたり絡めたり、ある意味楽器の一部のように配置している。全体のサウンドもよく練られている。シンガーというよりサウンド・プロデューサーとしての冴えが目立つ。全体的に落ち着いたノリで、繰り返し聴ける好盤だ。私はよく知らないが、ヒップホップ系の名プロデューサー、マーク・バットソンが中心的に関わっている。タイトル曲はラファエル・サディークのプロデュースだが、良い意味で突出せずアルバム全体のサウンドの流れに溶け込んでいる。

「プリーチャーズ・ドーターズ」でデュエットしているターシャ・マクミランはアンソニーの奥方。中々ファナティックなヴォーカルを聴かせる。ソロ作もあるとの事でYouTubeで拾ってみたが正直ピンと来なかった。この辺の生かし方もアンソニーの手腕ではないか。

Where Did It Go Wrong?

Southern Stuff

Can't Let Go

Ain't Nobody Worryin'

Preacher's Daughter

Everybody

Sista Big Bones

Change Your World

Never Love Again



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