レコード棚を順番に聴いていく計画 Vol.76
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[85枚目]●ジョニー・テイラー『グッド・ラブ!』<マラコ/Pヴァイン>(96)
※本文を書くに当たり、鈴木啓志さんのライナーノーツを大いに参考にしています。USオリジナル盤のラストにはタイトル曲のリミックスが収録されていますが、私が所有している<Pヴァイン>盤には入っていません。
ジョニー・テイラーが<マラコ>入りしたのは85年。本盤は共演ライブ盤を除き7作目となる。この後2作発表した後2000年に亡くなるが、03年に1枚リリースされている。67年から<スタックス>で7作、<コロムビア/RCAヴィクター>でも7作、<ビヴァリー・グレン>で1作発表した後の<マラコ>である。これだけでも凄い経歴だが、ハイウェイQC'sやソウル・スターラーズのゴスペル期まで考慮するとその偉大さに改めて感服する。しかも「外れなし」の充実度だ。ハイウェイQC's加入が53年だそうなので、約半世紀の間、高いレベルを維持し歌い抜いたわけである。
①現代R&Bに通じる感覚もあるが、ジョニーらしさも十分感じられる。③と合わせてチャールズ・リチャード・ケイソンが絡んでいる。彼は、息子のフロイド・テイラーのアルバムもプロデュースしている。②ジョージ・ジャクソン作のストレートなブルース。鈴木さん大絶賛の④は典型的なサザン・ソウル。悪かろうはずがない。これもジョージ・ジャクソン作。④も素晴らしいが⑤も秀逸。淡々としているようで実に聴き応えがある。彼レベルの歌手でなければこなせないだろう。⑥は愛娘ターシャ・テイラーとのデュエット。デビュー盤にして名盤の『ウォンテッド・ワン・ソウル・シンガー』収録曲。ターシャは03年に初アルバムを発表しているので、本盤当時は初お目見えぐらいか?インナースリーヴに写真が出ていて娘であると記されているので、まだ広くは知られていない頃だと思う。やや迫力には欠けるが丁寧に歌っている。⑦のブルースを終えて⑧からはファンキー・ソウルが続く。⑧~⑩は躍動感あるベースも特筆もの。アップテンポに於けるキレの良さと熱い迸りを感じる歌唱も又、ジョニーの魅力である。⑩はちょっと懐かしい感覚も。⑫ソウル/ブルースからは距離があるような、レオン・ラッセルの「マスカレード」。レオンの曲には独特の憂いが潜んでいて、個人的には大好きなのだが、それもあくまでレオンの歌唱が伴った場合に強く感じるようだ。たとえ、ジョニーが歌ってもスタンダード・ポップス寄りに聴こえるのは否めない。
伴奏陣はマッスル・ショールズ関係。ギターがジミー・ジョンソンとウィル・マクファーレン、ベースがデヴィッド・フッド、ドラムがロジャー・ホウキンス、キーボードがクレイトン・アイヴィー、ブッチ・ボナーという布陣である。
① Good Love
② Last Two Dollars
※Last Two Dollars Live
③ Sending You a Kiss
④ Walk Away With Me
⑤ Too Many Memories
⑥ Ain't That Lovin' You (For More Reasons)
※ Ain't That Lovin' You Live
⑦ Too Late To Try To Do Right
⑧ Whole Lotta Lovin'
⑨ You Got Me In The Mood For Love
⑩ Slide On
⑪ Body Rock
⑫ This Masquerade
(特別に)Good Love (Jeep Mix)