結局、真っ直ぐなものは伝わる
【ブログの過去記事】
ブラインド・ウィリー・ジョンソンが失明したのは7歳の時。父親の不倫に激怒した継母が、腹いせに彼に洗剤を振りかけたとか。何とも重苦しい体験だが、彼は信仰の道を歩む事で克服した。いや、その真意は不明。だが、克服せんとする強靭な思いが彼の音楽の根にあると思う。歌声がハードだが、押しつけがましくない。ストレートに伝わる。彼の信心の真剣さが有るからだと思う。
ギター・エヴァンジェリストとして終生を生きた彼。神の教えを説く毎日。だが、晩年もまた苦難だった。晩年とはいえ40代。火災で家を失う。焼け焦げた新聞紙を重ね、寝床にしていたらしい。まさに「闇夜は深く、大地は冷たく」の世界。実情はもっと悲劇的で肺炎を発症。しかも盲目を理由に治療を拒否され、最期を迎える事になる。
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スライドの名手という意見もある。それは確かにそうなのだが、彼のストレートな歌声の背後で捻るギターに、無常観・哀切感を覚える。「もののあはれ」。彼の本音か。そして、それに負いかぶさるように、また歌う。
ブルースよりゴスペルを選んだ彼。そうせざるを得なかった、自然な選択だったのだろう。
If I Had My Way I'd Tear The Building Down
Jesus make up my dying bed
John The Revelator
The Soul Of A Man
※「もののあはれ」ウィキペディアより・・・平安時代の王朝文学を知る上で重要な文学的・美的理念の一つ。折に触れ、目に見、耳に聞くものごとに触発されて生ずる、しみじみとした情趣や、無常観的な哀愁である。苦悩にみちた王朝女性の心から生まれた生活理想であり、美的理念であるとされている。日本文化においての美意識、価値観に影響を与えた思想である。