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レコード棚を順番に聴いていく計画 Vol.92(3)


[101枚目]●フランク・ストークス『ザ・コンプリート・レコーディングス』<Pヴァイン>(11)


♪ 第一回


♪ 第二回


※本文を書くに当たり、小出斉さんのライナーノーツを大いに参考にしています。


【Disc 2】


全23曲収録されている内、今回は15曲ご紹介。28年録音の曲群である。Disc 1 はシカゴ録音の<パラマウント>作品を纏めてあったが、Disc 2 はフランクの故郷とも言えるメンフィス(正確には近郊の生まれ)録音の<ヴィクター>作品である。細かく見ると1~4と11~15はダン・セインとのコンビで、5~10はフランクのソロである。


1. Downtown Blues (take 1)


ギターのフレーズと絡み具合いにメンフィス・ブルースらしい軽やかさがよく表れている。


2. Downtown Blues (take 2)


Take 1に比べてテンポアップした感じ。Take 1は和やかな軽みだが、本テイクは締まりがあり、心地良い乗りが生まれている。


3. Bedtime Blues


「Downtown Blues」をやや緩めにしたような曲。抜群のタイム感と絡みを見せるギターに、フランクの厚みのあるヴォーカルが沁みる。ライナーによれば<パラマウント>録音に比べ<ヴィクター>は、ダン・セインのギターが前に出ているとの事だ。


4. What's The Matter Blues


この曲もギタープレイの冴えが目立つ。


5. Mistreatin' Blues


ここから5曲はフランクひとりでの録音。本曲は、軽快なピッキングを聴かせてくれる。


6. It Won't Be Long Now (take 1)


牧歌的な感覚のギターワークがほのぼのとしたムードを醸し出す。


7. It Won't Be Long Now (take 2)


take 1 より緩やかなテンポで、ノイズのせいもあり、ヴォーカルの力強さが先立っている感じだ。


8. Nehi Mamma Blues


Nehiはニーハイと発音し、一時流行ったソフト・ドリンクにもあるらしい。同飲料の広告には、スカートの丈が膝上の女性の脚が使われていた。Knee Highとの掛け言葉を成していたとの事。本人のギター一本だとヴォーカルに耳が行きがちだが、もちろんギターも味が有る。


9. I Got Mine


古いミンストレル・ナンバー。エンターテインメント性を感じる歌いっぷりだ。61年にはピンク・アンダーソンが<ブルーズヴィル>に吹き込み、ライ・クーダーのカバーもある。


10. Stomp That Thing


ソロ名義だが、ダン・セインのギターがフィーチャーされている。次の11~15は、名義上もダンとのコンビだ。ホウカム調で田舎っぽさも感じる。


11. 'Tain't Nobody's Business If I Do - Part 1


ベッシー・スミスやジミー・ウィザースプーンを始め広く取り上げられているスタンダード・ナンバー。あくまでフランク・ストークス調に貫かれている。彼の声ならウィザースプーン調でも歌えただろう。


12. 'Tain't Nobody's Business If I Do - Part 2 (Take 1)


Part 1 より少しテンポを落としているようだ。小出さんによれば 11 はチューニングがおかしいとの事だが、確かにこちらの方がギターの調べが安定しているような。


13. 'Tain't Nobody's Business If I Do - Part 2 (Take 2)


演奏的にはTake 1 より優しい感じがする。本曲の3パターンはいずれも歌詞が微妙に違う。


14. Take Me Back


パパ・チャーリー・ジャクソンやブラインド・レモン・ジェファーソン版(曲名はBeggin' Back)も有り。プリ・ブルース的な感覚を持つトラディショナル・ソング。途中でリズムに乗った語り的な展開があったり、終盤には見事な2人のギターの絡みを聴かせる等乗りの良さを感じる。


15. How Long


この曲も巧みなギターが堪能できる。ライナーによれば「Corrine Corrina」のバリエーションであるし、「How Long How Long Blues」との繋がりも気になる所と述べられている。


さて、残り8曲。ヴァイオリンのウィル・バッツとの共演等もあり、また違う感覚が楽しめる。

(つづく)

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