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レコード棚を順番に聴いていく計画 Vol.28

【ブログの過去記事】

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[36枚目] ●マディ・ウォーターズ『ザ・ベスト・オブ・マディ・ウォーターズ』<チェス/MCA>(55/87)


問答無用の一枚だ。シカゴ・ブルース界の大ボス、マディ・ウォーターズの代表作中の代表作、傑作中の傑作である。オリジナル・ジャケットは、チョコレート色の肌と漆黒の空間の組み合わせが、マディの虚ろに見える表情を生かしている。本盤は、複数のジャンルのミュージシャンを取り上げたシリーズの一枚で、モノクロ写真に変わっている。オリジナルが持つディープさには届かない。

シカゴ・ブルースは、楽器をアンプリファイドし、腕達者なメンバーでバンドを構成した事で、田舎のブルースを都会的なサウンドに変えた。もちろん全く違うものを生み出した訳ではなく、田舎の感覚は残り、それが味わいになっている。 48年~54年の作品を集めた本盤も、そんな空気に満ちている。泥臭さをまとわりつかせたまま、次の時代を見据える過渡期的なアルバムとも言える。いや、考えてみればマディは最後の最後まで泥臭かった。そこが、レジェンド中のレジェンドとして敬愛されている由縁かも知れない。

①ピアノ、ハープ、ベースによるお馴染みのイントロを聴くだけで胸が躍る。唾が飛んで来そうな生々しいマディのヴォーカル。立ち込める霧のようなリトル・ウォルターのハープ。色恋というより、マディ達とリスナーの、ブルース精神の交歓を謳っている気がする。アルバム全体的にだが、サウンドが、濃い闇の中を漂っている雰囲気。マディはブルースについて、「音符と音符の間の溝を表現するもの」と言った。フィーリングと言えばそれまでだが、独特の深みは楽譜を追いかけて生まれるものとは異質であるというのは、素人でもわかる。1曲目からすんなりとその音世界へ入る。

②などで聴かれるマディのゴツいスライドは絶品。

③⑤の50年録音辺りはトラッドに攻めている。雄々しさより哀感モード。豪快な代表曲の裏地みたいなものだ。

④表現される蜂の羽音は、おどろおどろしく聴こえる。刺されたらブルース毒が回るだろう。

⑥私はこういった曲好き。ビートは跳ねているが腰がしっかり座っている。フレッド・ビロウのドラミング、またもやリトル・ウォルターのハープ絶妙。

⑦マディ・ブルースの完成形ではないだろうか。何度聴いてもドラマチックだ。単純に血が騒ぐ。

⑧⑪は、リトル・ウォルターとレナード・チェスのバス・ドラムのみのバックという変わった構成だが、マディのスライドが余計際立つ感じ。

⑨⑩のゆったりした感じも味わいがある。⑩はマディのヴォーカルとスライドの粘着度が2割増し。ハープも粘りまくる。

⑫は最も旧い48年録音だが、マディ・ブルースのプロトタイプに思える。ビッグ・クロフォードのベースのみのバックなのだが、フルバンド演奏並みの迫力がある。ベースが相当頑張ってはいるが。

①I Just Want to Make Love to You・・・ややベース音弱し


⑥I'm Ready


⑦Hoochie Coochie


⑩Standing Around Crying


⑫I Can't Be Satisfied


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