ローリング・ストーンズの黒人音楽カバー【番外編】~「ブルー&ロンサム」
【ブログの過去記事】
思い出したようにやっている企画。番外編として、『ブルー&ロンサム』から何曲かピックアップしてみよう。今回は、アルバム・タイトル曲の「ブルー&ロンサム」。4曲カバーしているリトル・ウォルター物の中で唯一のスローだ。
個人的に印象深いのは、ルーサー・タッカーのギターだ。彼のひた走る指遣いと、時折り噛みつくようなウォルターのヴォーカルの絡みがこの曲の魅力の殆どだと思う。
二人に比べると、リズム隊は控えめに聴こえるので、遠近感=空間が発生しそれが味わいに繋がっている。時代の音と言えばそれまでだが、音数の少なさや強弱の差は「無音の音」を生み出すというのは確かにあると思う。
今回のストーンズのカバーを聴いて意を新たにした。ギター陣はディストーションで粘り、気合い十分のミックのヴォーカルを盛り立てている。リズム隊も前に出て厚みが生まれている。ドラマチックなブルースだ。
いささかこじつけめくが、ストーンズは「ブルー」、ウォルターは「ロンサム」に重きを置いている気がする。自然にそうなってしまう面もあるだろう。
※蛇足だが、リトル・ウォルターは乱暴者として有名だ。得てしてその手の人間は寂しがり屋が多い。感情が屈折し拳に訴えてしまう。しかし、彼の音楽は乱暴者のレッテルが嘘のように繊細な一面がある。ハープをアンプリファイドしたのも、大音量を欲したと思いがちだが、細かい表現の為もあったと思う。「ロンサム」という言葉が悲しいくらいに似合う男だ。
THE ROLLING STONES Blue and Lonesome
Little Walter - Blue and Lonesome (Take 1)
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