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ブジオスの海とさやいんげん。

リオデジャネイロからバスに揺られ東へ3時間ほど、ブジオスという町にやって来た。正式にはArmação dos Búzios、アルマキャオみたいな感じか。慣れないなーここの言葉は本当に。


ブジオスの広場では毎週木曜の夜と土曜の朝にマーケットが開かれる。小さな町のマーケットはどちらもよく賑わって町中が集まっているような気さえするほど。ブラジルはどこの町でも、まあみなよく踊ること。ステージの周りには人が集まって、入れ替わり立ち替わり演奏に合わせて踊りに来ては去ってゆく。

土曜の朝市には新鮮な有機野菜や地元のはちみつに天然酵母のパンなんかがちょうど売り切れる分だけ並んでいた。この町には地産地消の空気があって、みな小さな畑で有機野菜を育てては、自分で食べ朝市で売って生活している。値段も安いから翌日発つのについつい買いすぎてしまった。忘れちゃいけないのがタピオカの粉。ブラジルではこれをフライパンに敷いてパンケーキみたいに焼くのだ。お気に入りはチェダーチーズと荒削りのココナッツをまぶして最後によく炒めた玉ねぎをのせたもの。サラダをくるんでもおいしい。

ホステルの前に広がるビーチはとても静かで、風がない穏やかな午後には沖のほうまでじゃぶじゃぶと泳いだ。疲れたら仰向けになって漂いまたじゃぶじゃぶとやって、夕日の沈むのを待つ。少し先でウミガメの頭がひょっこりと出て、またどこかへ消えた。

ブジオス最後の夜は、残りものと朝市で仕入れた野菜がテーブルに並んだ。立派なインゲン豆は塩水で軽く茹でて、熱いうちに塩とおろしにんにくを和えオリーブオイルを垂らしてライムを絞る。ほくほくの甘いふかし芋とオリーブオイルと塩のかかったきれいなサラダ菜。まるいイガイガのきゅうりやシュシュと呼ばれる冬瓜に似た野菜はこの地域のもの。手を加えるのがもったいないほど味が濃くておいしい。小ぶりで表情豊かな野菜たちを見ると、メルボルンで育てた小さな「畑」が懐かしくなる。長く旅をしているとこういうことが恋しい。

世界は将来に備え宇宙開発に忙しいようだけど、この星を離れて人が幸せに生きることって果たして本当に可能なんだろうか。わたしは全くときめかないのだけど。

おいしい野菜にお腹も心も満たされてよく眠った。誰かのおならで少し目が覚めるけど、波の音に誘われてまた眠りにつく。

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