窓際のおっさん64 素人判断の横行 生兵法は大怪我の基(1/3)
2024年6月4日のニュースで、素人が錆清掃して車両83台が汚染され、1400万円の損害が出たというニュースになった。
市職員のやらかしかつ、それなりの大金ということで問題になっているが、民間ないし個人で小規模に、同様のやらかしをしている事象はもっとたくさんあるものと思われる。
https://news.yahoo.co.jp/articles/1e91f0d73090e1b7f3288a39b32c54173f07ce8f
錆の場合はさすがに誰が見ても損害だと分かるが、そうでなくとも近年は法律が厳しく、モラルも厳しくなる一方で、その法律やモラルにそぐわない、素人仕事が横行して、様々な不都合や事故が起こっているように思う。
今回は、「素人判断の増加 生兵法は大怪我の基」と題して、素人仕事の横行と、何故そうなってしまうかについて、おっさんの体験と私見を述べたい。
<日本でしばしば見られる、素人判断のごり押しという事実>
いきなりだがおっさんの体験を話す。とある市の水道局にいた頃の話。マッピングシステムと呼ばれる、市内の全水道図面を収め管理するシステムを、大きなサーバーと共に保有していたのだが、庁舎移転に伴って移設することとなった。
移設先は決まっていたのだが、色々な条件があって、具体的にどのような間取りで建屋改修を実施するべきかで問題になっていた。例えば
① サーバーは故障しないように常時冷やさないといけないので、専用のスポット冷房または、よく効く全体冷房が必須
② 室内を間仕切りするのは良いが、現状の感知器の数と位置では間仕切り後に消防法違反になるため増設が必要だった
③ LANについて、改修に伴って床下に埋め込むことになったが、あまりガチガチの床では今後の移設や増設に差し障るため、
取り出し可能にするか、少なくとも多めに取り出し場所を設けなければならなかった。
④ 2つのサーバでどちらかが事故で失われても、もう一方がバックアップを取るという体制だったが、移設に伴ってバックアップとすべきサーバを
設置年数が限られる仮庁舎にしたかった。
様々な条件がある。図面も載せたかったが古くて情報がないのと、あったとしてもnoteで後悔するわけにはいかないので文字ベースの条件だけだが、これだけ見ても、建築や情報系のエンジニアであれば、色々考えなければならないことがあると分かると思う。
ところが、担当した男とその上司たちは全員が素人で、見積もり依頼する時も、サーバを設置する目的であることは一切告げず、素人判断で単純に区画を割り、サーバが収まるスペースには一切冷房すらない設計で見積もりを取っていた。
流石にこれではサーバーも壊れるし、自火報も設置されていないからバレると大変ですよと、当時20代後半のおっさんは出しゃばった。出しゃばるとはいっても「来年コンゾー君がここの担当になるから」と言われては、口を出さないわけにはいかなかったのも事実である。
かくも、①~④を交えつつ、現地で指摘をしたのだが、結局決まったのはとんでもないものだった。
① 冷房は隣の小部屋と共用で、出力も全然不足している
② 自火報の説明の時に、設置しないなら間仕切りの上を開けるしかないが、余計なお金がかかる上に、それではサーバーが冷えないだろうと説明したのだが、血胸は①と合わせて間仕切りの上部を開放して自火報の設置省略をした
③ LANは床下にあるものを流用すればいいと雑に決定し設計すらしていない。しかし間仕切りを立てると益々線の収まりも悪く、LAN直下で取り出し困難なため、結局スパゲッティのようなLANが室内を大回りしてサーバと接続していた。
④ バックアップとして運用すべきLANと決まっていたのに、移設前はメインだったという理由だけでメインに据えた。
トンデモ設計の突貫工事で作った場所をメインにしてしまう神経が信じられなかったが、利用者がPC上で右のボタンをクリックするか、左のボタンをクリックするかだけの違いで、今までどおりが間違いないよねというあまりにもお粗末な決定方法だった。
これでお金は予算オーバーなのだという。無論そんな中ではおっさんの意見にも賛否はあるだろうが。。。
それにしても、素人判断が過ぎる状況だった。
その後、サーバーは何とか持ちこたえたものの、断線アリ、その後の移設・増設が困難で年数かけて再改修する可能性の浮上など、技術系の職員を完全に排除して強引に決めたこともあるが、とにかく何も考えていない、開いた口が塞がらない状況である。
この例だけでなく、日本中いたるところで、案外こんな状況であるのが事実と思う。
次回に続く