窓際のおっさん 役所技術系の縦割りな現状(3/4)
前回は、合致しない基準がゴリ押しされたという縦割り組織の弊害経験について述べ、では今後どうすべきかの触りとして、
① いろいろな部署のやり方を経験した人を決定権者につける
を詳述した。
今回はその続きとして、以下の②、③を述べる。
■ ではどうするか(続き)
① いろいろな部署のやり方を経験した人を決定権者につける
② Off J T が手厚い人を決定権者につける
③ 何を優先するかをもっと明確にする
④ 型にとらわれず、批判から入らない
② Off J T が手厚い人を決定権者につける
最近は組織内での経験だけでは、問題解決に足りない案件も多々見られるようになった。一番分かりやすいのはIT関連だろう。
特に役所ではITオンチが多く、システムを外注するにしても業者に丸投げで、あとになってゲンコツ振りかざして、仕様外のことも理屈つけてやらせるといった事態が横行しているように思う(ベンダーも泣いてばかり)。
確かに、言われたことだけ(仕様書に書いてあることだけ)やれば良いかと言うと、そこは好ましくないケースも無論あるだろうが、かと言って、仕様書を煮詰めておかないのも問題である。
この煮詰める作業ができるかどうかが、Off J T の手厚さにかかってくるとおっさんは思う。
役所では未だに、役所内のみでの経験(基準)で判断し、あまつさえ手作業による書類の精度と速度で誤魔化そうとする人が多い。
技術ではこれに加えて、ゲンコツ振りかざして仕様外でもしっかり仕事をこなさせたか(しかもタダで)が出世のポイントにもなっている。ちゃんと仕様書を作ってフェアに仕事ができた人は理解されず、評価もあまりされない。
少し話が逸れるが、ある資格持ちの先輩職員(既に現役引退)が言っていたのだが、役所は資格持ちが良いように扱われる組織であるという。
筆者も同感である。普段は、手作業による書類の精度と速度、業者をどれだけ詰めたが判断基準となっている上に、きちんとやっていても、変な事務処理を押し付けられてミスを誘ってきたり、技術の花形部署ではオラオラとした態度で、仕事が甘い等と成績を下げてくる上司も居る。
内にも外にも能力不足を書類と無理な態度でごまかすきらいがあるように思う。
一方で重機の運転や、現場管理、中央省庁に提出する書類などといった、有資格者が必要な場面になると、こういう輩は頭を下げに来ることもなく、人づてにワンクッション入れて業務命令を下すといった態度を取る。
それだけなら苦笑いで済むが、人によっては「お前はこういう時にしか役に立たない」というものの言い方をする人間も居る。
なにも勉強していない人ばかりがなぜこうも偉そうで、しかも出世しているのだろうか。これも縦割り村社会の悲惨な帰結にも思う。
やや話が逸れたが、業務外の知識や技術、業務外で頑張って取得したり学んだ何かを業務での意思決定に使えれば、縦割りの弊害に振り回されず、柔軟で正しい判断を、責任や裏打ちをもって決定できるはずなのだ。
そこを重視する価値観をもっと広めて欲しいとおっさんは思う。
③ 何を優先するかをもっと明確にする
さて、仕事にはコスト、仕様など色々な条件が当然あるが、現場工事で優先すべきはやはり「安全」「労務環境」などであるとおっさんは思う。
「安全第一」という言葉があるように、安全は何よりも優先すると考えるのが現場の常識である。事故が起きれば、怪我人や死人が出れば、尊いものが失われるだけではなく、仕事も何もかもストップ、信頼も大きく損なわれて多大な損害も生じる。絶対に避けなければならない。
そうした感覚があれば、例えば安全に係る情報を残すかどうかの判断を、現場の末端職員に全部委ねるといった、前々回でお話ししたような決定は、その発想自体が無い筈なのである。
適切な人を決定権者に据えるというのも大事だが、
組織として何を重要視するか、トップダウンで繰り返し発信し続けなければ、意識が人や財産を守ることから、書類と責任逃れへの奔走へと移ってしまうように思う。
最近はコスト意識がどうのと騒いで、リソースたる費用などをキリキリに絞って、その分現場の職人に無理をさせるという仕事方法が、すっかり浸透して覆すのも難しい状況になっている。
何を優先するかと題したが、技術だったら安全を優先するという判断をもっと明確にし、繰り返すがトップダウンで繰り返し発信し続ける必要が、やはりあるのではなかろうか。