
彷徨うおっさん64 少子化の世を生きる考え(1/7) 少子化の要因と良し悪し
我が国の少子化のスタートは1970年とも言われている。おっさんが生を受けた1980年頃は、それでも今と比べると子供の数は多かった。
場所にもよるだろうが、一学年に8組とか10組などという学年もあったのだ。
だが既に少子化が進行していたというのだから、昨今の少子化が如何に深刻であるか感覚的にも分かると思う。
少子化は常々問題視されていて、国家存亡の危機だとか、経済発展の阻害要因だとか、相対的な高齢化に伴う仕事の担い手の問題だとか、年金等の破綻もよく言われている。
こうした子供がいなくなるという物理的で単純な要因に基づく変化もあるが、それだけに留まらず、心理的な面でもまた、少子化がもたらす影響というものが、あるのではないだろうか。
今回は「少子化の世を生きる考え」と題して、少子化と、そこに纏わる世の中の苦しみ、そしてその対策について考察してみたいと思う。
<少子化の要因>
非常に単純な話、非婚化晩婚化が挙げられると思う。結婚したくない、結婚したくてもできない、結婚できたけど結構歳を取ってしまって子供ができない、或いはここから子供を育て上げるのがしんどいのであきらめた(健康な子供じゃないかもしれないし)。
一先ずはこんな具合であると思う。主に経済的な要因であるとされているが、女性の社会進出(良し悪しではなく)によって、家庭内での子育てリソースが減ったこと、経済戦争が激化し、仕事の量ばかり増えて家庭と向き合う時間が減ったこと、これら自由と経済の追求など種々な要因で個人主義の時代になっていったこと、子供の教育に係る費用が膨大になったこと、時代の変化が人の変化の速度を超えて正解の見えない時代になった(結婚して生き方を固定するリスクが増大した)こと。。。
おっさんも独自に、1980年代辺りからの恋愛至上主義的文化からの男女の分断も一因ではないかと以前考察したが、かくも子供が増える要因は見当たらず、益々子供が減る要因ばかり目につく時代になったように思う。
<少子化の良し悪し>
・個人の見解
少子化=好ましくない、と、なんとなくの理由も含めて回答する人が多いとは思う。おっさんはどう思うかというと、何とも言えないところである。
少子化の要因となった出来事や社会の変化を俯瞰すると、個人の幸福の追求という一面で考えれば、それら要因によってむしろ洗練されてきたようにすら思う。
無論個人主義の激化によって取り残されて不幸になってしまう人や、経済戦争に巻き込まれて敗北を徹底的に意識される人も現れてしまったのだが、そこは深刻でない限り価値観の違いと言えるかもしれない。おっさんが能力主義において「無能」側の人間であること、そして恋愛至上主義において「非モテだから結婚と、自身の血を継ぐ子を授かることを諦めた」ように、達観が可能な面もある。
そうは言っても世の中おかしいぜと、おっさんもそれ以外の人達も、なかなか割り切れないところは多いと思うが、一先ずは、概ね自由の追求と、個人の生き方や人権を守る方向に舵を切ったことによって、良くなった部分もあると考えている。
故に繰り返すが、何とも言えないのではないだろうか。
・国家としての見解
国としては人口の減少は即ち国力の衰退でもある。経済的な面、単純労働力の面、国家の範図そのものを維持するための頭数、民族としての存亡、
こうした面で考えると、少子化は解決すべき問題になってくる。
そのためにお金をばら撒いたり、男女が結び付く何かを企画する中央・地方各々の政府・自治体の動きがあったが、今一つ効力が無い政策ばかりである。
これは、国家に所属する国民個人で言えば、自由の追求がある意味一つの幸福でもあり、願いでもあるため、全体の公平感や個々の目的の違いを追うと中途半端な施策になってしまうからではないかと考えらえる。
結婚して子供が欲しいという自由なる欲求も当然批判はできないが、自由主義においてはかえってそれが叶わなくなるという現実もある。
かと言って、半ば強制的に男女を結びつけるわけにもいかず、結果恋愛のお膳立てとしての街コンの開催や、現に結婚して子供が出来た世帯には、ささやかに(独身者から不満が出ない程度に)お金やサービスをばら撒くという中途半端な方向になるのだろう。
別の論考に譲るが、こうした動きが政治家の人気取りに利用されるようになったこともまた、中途半端である原因の一つかもしれない。扶養控除と児童手当と、子育て支援金と、それらの拡充があるのかないのか、政権変わって名前が変わっただけという現実。
一方で別の税金は増えていること、給与の手取り額自体は下がっていること、物価が上がっているといった状況で、強い政治不信も渦巻いている。
やや話が逸れたが、かくも国家運営としては問題ではあるものの、かといって、政治運営と個人の自由を守る点を考えると、有効な処方箋は今のところ見当たらないのかもしれない。
次回に続く