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彷徨うおっさん147 男のプライドという嘘理論(4/5) 男のプライドに対する決めつけが生んだ歪

 前々回までで、現状なぜこうも「男はプライドの生き物」と、ややもすると単純解釈されるのか。
 本来大して変わらない生き物同士が、互いの未熟な点を論(あげつら)って、双方で攻撃しあう背景には、本質的にいくつかの社会的要因が絡んでいると思う。
 というおっさんの私見を述べ、以下のとおり、それらを列挙した。

① 働かなくてもいいと考える女性の存在
② 異様にプライドの高い一部の中高年男性
③ そこに反発してきた不機嫌な中高年女性
④ 古い価値観のままでの思想の衝突と権力争い

このうちの①について詳述してきたが、今回はその続きと、更に②について述べたいと思う。


① 働かなくてもいいと考える女性の存在(続き)

 問題は、専業主婦に見えている世界と、働くおっさん達に見えている世界との乖離にある。

 専業主婦の妻は外の世界の苛烈な競争や怖さに疎い。あえて言うが、結婚がゴールなので、モテるモテないなどの恋愛脳のまま事態を語っており、モテテクの延長として「男はプライドの生き物なんだから上手に扱ってモテる女になりましょう」と言った次元にとどまって、男を単純解釈しているようにすら思う。そして、

 「そんな会社辞めちゃえば」→「自分が認められるところに行きなよ」
 「あなたがしっかりしないから」→「ここはひっぱたいてプライド刺激して立ち直ってもらおう」
 「そんな人やっつけちゃえ」→「プライドが許さないんだったら、相手を見返したらどうなの?」

 と、あくまでも自分に都合よく解釈して、旦那の首を絞めているように思う。

 本当のプライドは、仕事の小さな勝ち負けや、安易な転職などによるやりがい追求という、刹那的な行動には繋がらない。
 妻と子を守るという大きな使命。5年、10年でも耐えるときは耐えて、何とか自分の人生を充実させたいと考える慎重さが伴って当然だ。
 男は、頑張って、最後は幸せな人生だったと思えるような生き方をしたいだけで、刹那の子供じみたプライドなど、捨てなければ上手に生きられないのも確かなのだ。

 社会生活を送る中で、無論小さなことで一喜一憂はあるにしても、その大きな目標や維持すべきものは、一家を支える男ならほぼブレることはない。安っぽいプライドという言葉で語ってはならないからこそ、世の中は生きづらいのだ。

 なのにこのタイプの女性は「プライドに拘って面倒くさい」などとイラつくばかりである。こうした、温度差の大きいズレた意見や、プライドに対するズレた認識で尻を叩かれる状況に、男は辟易している。 

 もし、専業主婦が好ましくない立場で、女性も可能な限り働くべしという価値観の世の中であれば、軽々しく安いプライドで動くことが如何に無謀か、そしてその無謀な価値観で尻を叩くことが如何に残酷な仕打ちか、少しは理解できるようになると思うのだが。。。


② 異様にプライドの高い一部の中高年男性


 こうした専業主婦体制の時代を生きてきた男もまた、毒されたのか、或いはそれ以外の要因か、現在中高年になって、すっかりプライドの生き物として、型にはまった価値観になっているように思う。

 彼らは仕事一筋で今まで過ごしてきた人達が多い世代である。仕事はつらい、家庭でも理解が無い、満たされないから仕事で頑張るしかない。結果、彼らは、会社でしか存在意義を示せない、脆い心を持ってしまったように思う。

 彼らの一部は現役引退後、会社に嘱託などで戻って、未だに上役のような顔をして、若い人の仕事にケチを付けたがる人も居る。
 街に出れば大きな声でクレームを垂れ流したり、周囲に説教や浮遊電を垂れて、自分の存在意義を示すのに忙しい。

 若い人からすると、滑稽である。そうまでして会社員時代の栄光に縋り、ああも不器用な形でまで、他者に爪痕を残したいと考えているのだろうか。

 だが、このような態度に出る世代は非常に目立つ。また、割と元気で人口も多い。結果、彼らが男代表のような雰囲気を出しており、それを見た人達が、
「男はプライドの生き物」という偏った解釈を示し、それが定着してしまっているようにも思う。


 本質的には、年功序列の終身雇用、家のことは妻に任せてずっと会社という、偏った価値観での存在意義でしか、自己表現ができない人達なのだ。
 一面優遇されていた面もあるかもしれないが、他方で男らしさという価値観と役割を長年押し付けられ、歪んでしまった哀れな世代でもある。 

かくも①と合わせて、

 クッキリした性別役割分担の時代がそこそこ長く続いてきたため、根底として「男は~」「女は~」議論に陥りやすく、そこに「プライド」「共感」といった分かりやすく都合の良いワードが結び付いて、雑なカテゴライズと理解が広まっているように思う。


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