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窓際のおっさん84 無駄仕事ランキング(3/4) 完璧主義ほか感情労働
前回は「無駄仕事ランキング」の4位「予算作成」について、現代のスピード感に合っておらず、柔軟性が不足し、結局埒外の処理や変更手続きなどの無駄が多い現状について述べてきた。
今回は第3位と第2位について述べる。
<3位 完璧主義の仕事>
日本は完璧主義である。電車やバスのダイヤ、サービスの質、製品の質、礼儀作法や果ては会社組織における忖度まで、ミスをなくし、問題を可能な限り避ける文化である。
その他のランキングにも関わってくるのだが、質が高い反面ゆとりが全くない。
この理由には色々あると思うが、文化的側面を除けば、以下の要因ではないだろうかと勝手に思っている。
① 経営判断が下手で、利益の少ないレッドオーシャンに注力し、その中で苛烈な競争ばかりしている。
② 部下に無理をさせるクラッシャー上司ばかりが決定権を持っている。
①は、第三次産業の多い現状で、多くの人が嫌という程感じているのではないだろうか。確かに競争力や、昔からやって来た事業を継続することで、顧客のニーズを満たすことは大事ではある。
しかしそればかりでは労働力が安く買いたたかれ、価格競争によって疲弊する一方でもある。
そして値段も含めて大きな差が無い場合、安定性(普遍性と精度)、人との繋がり(あの人が営業なら買おう)、対応速度(個人の生産性)が重視され、結果として「プロとして熟練たれ」という根性論が肯定される土壌が形成される。即ち完璧主義である。
一定の業務遂行能力は当然必要だとしても、どんどん当たり前のハードルが上がっていく、一方でどんどん賃金が下がっていく経済運営にしているように思う。
②は、いつも思うのだがなんでこんな人ばかり出世させるのだろうかと思う人ばかり、出世していく現状であり、問題であると思う。
結局のところ、①とも深い関連性があって「プロとして熟練たれ」という土壌が、スーパープロフェッショナルな職人を重用してしまうように思う。
スーパープロフェッショナルは、兵士としては一面優秀ではあるが、人間理解や、一段上の戦略戦術はそれほど得意ではない人が多い。
結果彼らにチームや現場を任せた場合、提案・実行する作戦はことごとく「全社員スーパープロフェッショナル職人化計画」になってしまう。
以前、部下は思い通りにならない手足であるという論考でも述べたが、この手の上司は正しさに拘り、なんでも正解を絞りたがり、部下にも厳しく(頑固に認めなかったり、評価を下げる)、自分以外の問題解決手段をことごとく潰してしまう傾向にある。
最近は経営者も分かってきて、パワハラ防止、コンプライアンス強化の方向から登用は減ってきてはいるものの、まだまだクラッシャーは多い。
一旦頭を冷やして、もっと戦略・戦術に明るい人物を上に登用すべきである。
<2位 上司が喜ぶだけの仕事>
3位で紹介したクラッシャー上司などは特にそうなのだが、出世欲に駆られた上司、或いは自分の思い通りでなければ不機嫌になる上司を、何とかコントロールしながら仕事をするというのは骨が折れることである。
礼儀は大事な話であるが、頭を下げなければ不機嫌になったり、一々「そこまでしなくていいだろう」と思うようなつまらないルールを押し付ける人が割といる。
例えばおっさんの体験を話すと「飲み会ではお酌をするものだ」という男がいた。これぐらいなら昭和生まれには普通であり、平成生まれであっても、まあなんとかしょうがないなと対応できるレベルには思う。
ところが、お酒を注いでやって、グダグダと一人自慢話や卑猥な話をしている最中に、客先からおっさんの携帯に電話がかかってきた。
一旦切り上げ、おっさんが部屋の隅で応対して戻ると、不機嫌な面で
「酒の席なんだから電話するのは失礼だ」
などと面倒なことを言ってきた。
ここを皮切りに、職場でも更につまらない押し付けとしごきが続き、色々我慢したが、3カ月を待たずしてこの男とはすっかり不仲になった。
ところが、それでも周囲はこの男とうまくやることをおっさんに期待し続けたため、戦いは泥沼化し、おっさんは病休の上左遷、問題者は残留、当時の課長は左遷、係長もまた寂しい部署に異動と、組織は空中分解した。
最近は減って来たものの、明らかに「俺様然」とした勘違い上司を、周囲が盛り立てて擁護するケースがまだまだある。
だからこそ、古い世代や面倒くさい人間が混じっている飲み会などに、最近の若い人は絶対に参加したがらないのではなかろうか。
おっさんを無能と断じて左遷するならそれでも良いが、結局おっさんの後任もキャリアを傷つけられていたし、だれも得していない。誰も幸せになっていない。
こうした本質的ではない、上司を喜ばせるだけの仕事は、平成の時代で終わって欲しかったものだが。。。
次回に続く