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窓際のおっさん72 回りだしたインボイス制度への考察(自論)(中編) 経理も国税庁も安牌狙いで、末端の事務員が一人負け

 前回は、インボイス制度に伴う事務処理増大の裏の事情として、取引日の解釈で揉めたという話をした。
 今回はその続きとして、取引日の解釈について、おっさんが確認した、経理と国税庁ホットラインの見解について述べたい。

※ 嘘を書いたつもりはないが、電話に出た担当者や問い合わせる時期の違いによって、見解がずれるかもしれない。本投稿の解釈に責任を持てるものではないので、もし読者が仕事上で、日付を決める必要が生じた場合は、随時おっさん同様にホットラインまたは専門家の意見を仰いで決定していただきたい。

<経理の見解>

 前回述べた通り解釈ですぐ揉めるので、おっさんはまず経理部門にルールを確認した。まとめると以下のようなQ&Aとなった。

Q:請求書受領日が既に記載されているのに、項目ごとの日付は全部埋める必要があるのか。請求日は全て、添付の納品書と同じ日付なのだが。
A:その場合は空欄でも構わない。必要に応じて使ってほしい。

Q:空欄でも構わないならば、フォームから削除できないのか?
 わが社の公式請求フォームを使用しない取引先も居て、その請求書は適格請求書であると同時に、個別の取引日記入欄はない。
 そして、その取引先の請求書は何度も普通に経理で受理している筈だが、それは問題はないのか?
A:日付は請求日や、納品書の日付を確認して総合的に判断して受理している。

Q:ならばやはり必要ないのではないか? こんなに細かく日付欄があると、一個一個埋めたくなるのが恐らく人情でもあるし、実際に上司や、監査員から指摘を受け、空欄では納得が得られなかったり、それらしい日付で埋めたとしても、解釈の差で議論百出になり困ってしまう事もある。
 また、その決定に伴って、取引先にも何度も確認や再発行を依頼することになり、事務処理手間がかなり増えている。日付欄を残したいならば、せめてこんな事態にならないように、経理で一度ルールを決めてもらえないか?
A:日付は、取引先との間で個別に決するものであって、経理としての見解は出せない。空欄でも要件が整っていれば適格請求書として受け付けているが、かといってわが社のフォームから日付欄を削ることもできない。
 なぜならば、あくまで参考フォームであるが、国税庁のガイドラインにフォーム例が載っており、それを採用している経緯があるからだ。

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/pdf/0020006-027.pdf

(前回同様、上記5ページ目のフォーム参照)


Q:今見たが確かにある。事情はよく分かった。だが参考であるならば見直しも可能とは思うが、どうしても出来ないのか?
A:意見としては受け取るが、経理としても公式の請求フォームとして謳う関係で、最も安全牌のフォームを採用したい考えがある。それを覆すのはなかなか難しい。
 とはいえ、空欄提出でも、請求日や納品日とずれていても、明らかに誤りでなければ通るので、あとは各課でレギュレーションを決めて作成して欲しい。
 レギュレーションについては国税庁のホットラインがあるので、そちらで質問しながら進めて欲しい。


<国税庁ホットラインの見解>


 課ごとに個別に国税庁に問い合わせてレギュレーション決めると言うのも結構間抜けな気がするが。。。大きな組織だとそんなもんでもある。かくもホットラインに問い合わせよと言われたので電話してみた。
 そこでのやりとりをまとめると以下のようなQ&Aとなった。

Q:取引日の日付の解釈の違いがあるが、国税庁の見解はどうか?
A:解釈の違い自体は仕方がない。個別にすり合わせるしかない。

Q:例えば物を買って収めてもらうという取引について、一般的には納品された日として問題ないと思うのだが、そうであれば、請求書の日付さえあれば、参考フォームに乗っている日付欄は埋めなくても良いのでは?
A:日付自体は必要であり、空欄は好ましくない。だが、納品書が添付されていて納品日が明記されているならば、空欄であればその日だと看做せる。また「納品書参照」と記したり、月締めならば細かい日付ではなく、全て「〇月分」と置き換えても記載しても全く問題はない。

Q:取引日と請求日が大きくずれることもある。単純に相手方が請求書を送るのを忘れていた場合もそうだが、例えば取引で債権債務が発生するわけだが、相手方がその債権を他者や個人に丸ごと移譲するケースも稀にある。
 その移譲された先から請求が来た場合は、日付が随分とずれていたり、そもそも日付が曖昧で書きようがないときもある。そのような時にも日付は必要か。
A:そこまで複雑化すると、国税庁ホットラインではなく、直接インボイス制度を担当している職員や、会計の専門家(おそらく会計士のこと)に問い合わせるしかないので、ホットラインでは解答の限界になる。

<結局は決め難く、事務処理手間の増大はやむを得ないと思われる>


 流石に最後の質問はレアケースなので、生じた場合にのみ国税庁に直接かけてみようと思うが、いずれにしても、取引日については個別にすり合わせるしかないように思われる。

 また、会社内で「空欄なのはおかしい」「この日付はおかしい」などという議論になってやり直しを食らうこともあるが、ここまでのやりとりを示したところで、果たして納得してもらえるかというとかなり難しい(おっさんの経験上)。
 余計に労力もかかるし、諦めるしかないだろう(非常にしんどいけど)。

次回に続く

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