彷徨うおっさん142 未熟なアイデンティティ(6/7) 幅広い生き方で擦り合わせる
前回は、結局健全なアイデンティティの確立に何が必要か、おっさんの私見として、
① 会社と家庭以外にも複数のコミュニティを持つ
② 特技や収入源を複数持つ
③ 複数のロールモデルを探す
④ 一本鎗で生きるにしても、客観視とサポートの必要性を重視する
の4つを挙げ、そのうち①についてし詳述した。
今回は、②、③について述べたい。
<② 特技や収入源を複数持つ>
正解のない時代において、今の仕事がなくなる可能性、或いは異常な低賃金になる可能性もある。会社には何とか留まれても、中高年になってから、突如全然違う事をやらされる可能性もある。そうなると、しっかりしたアイデンティティが無ければ、あっというまに崩れてしまう。
逆に、幅広い特技や収入減を模索しておけば、脆いアイデンティティでも何とか維持できるし、幅広い価値観を取り入れる機会は同時に、豊なアイデンティティの形成につながるように思う。
例えば、インフラを支えるエッセンシャルワーカーであると同時に、エンターテイナーでもある。医療関係者であると同時に芸術家でもある。本業では事務処理ばかりやっているが、趣味の分野を生かしてライターをやっている。休みの日に、ごみ拾い、清掃、災害現場対応、お呼びとあらば即参上などと言う人も居る。
どれも人生の肥やしになりそうな挑戦である。
長く生きてきて、その経験を活かすためには、結局一定以上のコミュニケーション能力と人柄が問われる。すなわち結果的にアイデンティティが磨かれる。
結果的に(おっさんのように)複数の特技や収入減が得られなかったとしても、その過程で、人間としては成長できる。
実際に持つことを目標としつつも、それ以前に、若さがあるうちに色々な事に挑むこと自体が、良い効用になると思う。
<③ 複数のロールモデルを探す>
時々「あ、この人の人生は参考になるな。」「(内面的に)この人のようになりたいな。」という人に会う事が無いだろうか。それを可能な限り多く得ることである。しかも同じようなタイプではなく、なるべく違うタイプを探すのが好ましいと思う。
憧れでも、対等以下の目線でも構わないので、自分の人生の参考になる相手を複数見つける作業も良いと思う。これは、他者理解の練習にもなる。他者理解ができるという事は、自分の理解にもつながっていく。参考にする以上、しかも憧れだけではなく、対等以下の立場に対しても参照を実施することで、自分が一番という感覚も無くなるだろう。それも人格形成に好ましいと思う。
ロールモデル(自身の生き方の参考になる人)との出会いは、出会いの数を増やすことによって何とか獲得可能である。②とも関係する話にはなるが、一度も会うつもりのない画面の向うの人や、作家なども参考にできると思う。
また、ロールモデルを探す中で、極端な人や、困った人、友人や恋人として関わることになる人も現れることと思う。そうした人とどう付き合っていくか、あるいは付き合わずにおくかもまた、学びになると思う。結果、いろいろなすり合わせを経て、アイデンティティが磨かれるのではなかろうか。
次回に続く