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彷徨うおっさん140 未熟なアイデンティティ(4/7) 一本鎗な生き方の脆さ

 前回は、他者理解と調整に対する、アイデンティティの必要性について、おっさんの体験を交えつつ述べ、アイデンティティ確立が不十分だと、脆く傷つきやすく、大人の世界では非常に生きづらいであろうことを述べた。

 今回は、アイデンティティの確立が不十分な人の傾向として「一本鎗の人」の特徴を述べたい。

<狭い世界で一本槍の人に多いアイデンティティの傾向>


 アイデンティティの確立が遅れる傾向は、狭い世界で一本槍の人に多い傾向のように思う。

 あまり具体的に言うと偏見であると言われて怒られるかもしれないがあえて言う。公教育の現場職員やそれに準ずる立場にある人。一般的な会社のサラリーマンでも、同じ職場がひたすら長くて、かつ仕事が生き甲斐の全てという人。自分には家庭しかないという専業主婦(あるいはその立場が長かった人)。一つの趣味に全振りのオタク、高度でつぶしのきかない専門の世界にどっぷりの人。。。と、おっさんの経験上、思い出す限り並べてみても、いつも一本鎗の人だけ出てくる。

 一本鎗の人のアイデンティティが脆い原因は、主に2つであるとおっさんは考えている。

① 若年の頃から生き方を決めており、社会性と抱き合わせのアイデンティティではなく、自分の想いや専門性に基づく独自の不健全なアイデンティティを形成している
② 変化の少ない環境で長年生活し、社会性の獲得や、精神的に成長する機会が無かった


 ①は述べてきたとおり、そもそもの社会経験の不足による青年期の発達段階の遅れという話である。
 ②は、一時は青年期卒業程度まではそこそこ成長出来ていても、専業主婦などになって長く成人期を過ごし、他者との親密性や、非認知能力の獲得機械を失い、徐々に精神的発達段階が退行していった人などのように思う。

 仕事では、専門性は経験年数やブランクの有無が云々される面もあるが、精神面での発達についても本来は同様である。だがそのセオリーや段階について、国内ではあまり重要視されていない(ようにおっさんは思う)。
 結果、一本槍の人は、一面、高い地位や、名誉ある仕事に就いていても、調整役や管理職などをやらせるとトラブル続きで、社会において上手く成長ができない人生に陥っているのではないだろうか。

<一本鎗の人は、一本鎗だけに脆く、自己防衛にも必死でもある>



 また、一本槍の人のアイデンティティの崩壊は、自身のほぼ全ての崩壊につながることにもなる。社会性と照らし合わせつつ、仕事、立場、趣味などの具体的事象と自己の存在意義を切り離せていないので、例えば、無能と言われること、その立場を辞めろと言われること、趣味への拘りを拒絶されるといったことで、大きく傷ついてしまう。

 せめてもう一、二本持っていれば、自分にはまだこっちが残っていると言い聞かせもできるが、言うなれば後が無い状況であるため、今の自分を必死に守ろうとしてしまい、激しい感情や攻撃性が出てしまう。
 
また、その時の想いもまた一本鎗である故にエネルギーも一点集中で、怒りなどの感情は非常に大きく激しいものになりがちでもある。

 傍から見て「そんなことで何故?」と思うような激しい感情の発露を平気で行ってしまう裏には、こうした一本鎗特有の脆さと必死さ故でもあるように思う。


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