彷徨うおっさん97 容器リサイクルについて思う事(2/3) プラごみリサイクルは赤字 現場はどこも現状に苦慮している
前回は、プラゴミの真実と、単純にプラスチックを悪者扱いして終わってしまうことの本末転倒ぶりについて述べた。
今回は、プラスチック容器のリサイクルの是非と、焼却施設での苦慮について述べたい。
<プラスチック容器のリサイクルは高コストでかえって環境負荷も高い>
プラスチックをリサイクルするために、大量のペットボトルやトレイなどの容器が回収されているが、実はあまり機能していない。
集められたプラごみは、以前は東南アジアや中国に輸送されてそこで処理をされていたそうなのだが、綺麗なプラスチック製品として生まれ変わったものはほんの一部であることもあまり知られていない。
更に近年は、そのプラスチックゴミを海外に受入拒否されるようになった関係で、国内で処理する流れにもなってきている。しかしそううまくはいかず、収集場所には未処理のプラゴミが大量に保管されたままになっている。
早くリサイクルして経済まわせばいいのにと思うかもしれないが、再生プラ製品はコストが高く質も悪いのが現状であり、あまり大量に作成しても需要がない。むしろ赤字になってしまうだろう。
おまけに再生する過程で発生するCO2や、消費される燃料などを考えると、かえって環境負荷が高いという批判もあり、無理に回すことすら後ろ暗いのが現状でもある。
近年はそれでも、プラゴミを燃料に戻す技術が開発され、一部で話題になっているようだが、
https://blest.co.jp/about/
では、これをそのまま自動車や暖房用の燃料として利用できるかと言うと結構微妙だったりする。
機械というものは当然、燃料の性質に合わせて設計、運用されているものであり、石油プラントで生成されるガソリンが均質であるからこそ、世の自動車が問題なく動いているという背景がある。
よってここに、プラゴミから再生成した燃料を「さあエコだよ!使っておくれ!」と単純にリリースしたとしても、実際に運用するためにはいくつも課題が残っているのだ(良い技術だとは思うけど)。
こう考えると必死にプラスチックを選り分けてリサイクルを推進するよりも、焼却炉でどんどん燃やしてしまった方がかえって良いわけだ。
<焼却施設でも苦慮>
かつてごみ焼却施設に居た時のことを話す。本当はあまり言うべきではないかもしれないが、ごみ処理事業も民営化され、内情が漏れ聞こえてくるようになったことや、インターネットメディアでもとっくに暴露されていることなので、もう良いだろうと、おっさんも重ねて言う事にする。
「個人持ち込みによるごみの受入れ」というものがあちこちの焼却場にはあって、引っ越しや大掃除の時に発生した大量のごみを、一挙に焼却場に持ち込む人が沢山いる。
それ自体を良い悪いというつもりはないのだが、その時には当然、燃えるごみ、燃えないゴミ、危険物、プラゴミといった程度の大雑把な分別がされた状態で皆さんお持ち込みになる。
だがその先は、持ち込みをした人と、焼却場の従業員との間で、認識が異なるのが事実である。
どういうことかと言うと、持ち込みをした人からすれば、分別したごみは当然、分別したとおりにリサイクルに回るだろうと思っていることと思う。しかし実態としては、燃えないゴミの一部とプラゴミのほぼ全量が、燃えるごみと一緒に焼却処分されている。
プラゴミばかり集めても、焼却場で保管する場所が無いし、リサイクル業者も再生プラ事業は赤字経営ばかりで回収依頼しても来てくれない。
燃えないゴミの一部も破砕や分解をされて、プラ部分は同様の末路となる。
分別した市民からすれば「けしからん」「ならばあの苦労は何だったんだ」と思うかもしれないが事実である。
焼却場からしても、適度にプラゴミを加えて攪拌したごみを投入すれば、炉の燃焼が安定するメリットもあるし、全く考えていないわけでもなく、分別してくれたならくれたで、投入量の調整が効くという意味で全く無駄とも思っていない。
そして、容器リサイクル「法」に基づいて制定された、各自治体の「条例」によって分別が義務付けられている以上は、個人の見解で、捨てに来た利用者に対して「分けろ」「分けるな」を必要以上に進言することが、立場上おこがましいというだけである。
とはいえ、当然リサイクルされるものだと思っている市民からすると、苦い顔をしたくはなるとは思う。だが仕方がないのだ。
色々な苦情がごみ処理場には寄せられるが、焼却施設側も技術、実態、報道、法規、苦情のはざまで苦慮しつつ、今の分別体制が続いているのだということは、どうかご理解いただければと思う。