窓際のおっさん62 おっさん(著者)が仕事ができない無能である理由(中編)
前回は、おっさんが無能である理由の一つとして、会社として求められる態度が足りないということを述べ、おっさんのだらしなさを暴露してきた。
今回は、実務としても全然ダメなおっさんの有り様を述べたい。
<おっさんには会社員の実務として求められるものが足りない>
仕事ができる人はミスが少ない。言われたことをクオリティを守ってしっかり実行できる。また、ルールをきちんと把握していて、言われた通りやるだけでなく、先回りして気の利いた対応ができる。
コミュニケーション能力も高く、気さくに同僚と会話をして情報共有したり、根回しや調整もきちんと怠りがない。
一方のおっさんはミスが多い。現場点検や小修繕、中大規模修繕の原因特定と準備、安全管理や技術教育といったことは得意だが、仕事の大半を占める書類仕事を大の苦手としており、精度が壊滅的である。
書類作成のレギュレーションは、都度都度の上司のお好みのままにしようという意思はあって、余程おかしなことがない限りは余計なことは言わないが、一方でルールを文面上だけで捉える癖が抜けきれず、自分で考えて、上の人にオッケーを貰えるセンスある書類の作成といった高度な対応ができない。
コミュニケーションも会社では殆どしない。指示があれば答え、訊かれれば答え、問題があれば会話をするが、無駄口ゼロである。会社での人間関係は疲れてしまうからだ。また、そんな具合だから根回しや調整はあまりできない。喜ばれたりスムーズにするために、理屈以上のことを頑張りたくない気持ちでいっぱいだ。
こうした感情労働に属する部分について、若かりし頃に一生懸命対応していた事もあったのだが、何度やっても感情労働に終わりはなく潰れてしまった。
また、人は好き嫌いで動くので、嫌われたら余分な感情労働が激増し、留まるところを知らない状態になる。加えて好き嫌いはちょっとやそっとの努力や歩み寄りではまず解決できない。これが若い自分に分かった時、おっさんの社内交流へのやる気の根はへし折れてしまった。
例えば、事務処理であれば無駄に厳しく見られ、練習と称して余分な事務仕事を押し付けられ、そしてさらにミスが嵩んで成績が下がるという負の連鎖に陥る。やはり元が嫌われていると話にならない事の方が多く、やる気が出ない。
後半は言い訳であり、好かれる努力をしないのが悪いという話に一般的にはなろうが、とどのつまりそれらができないからこそ、おっさんは無能なのである。
<実務無能の不足を認めて諦める>
甚だ自己正当化だが、実務能力について、無能無能と陰で揶揄されている人が何人かいるぐらいが、チームや組織全体としては割と丁度良いともおっさんは思う。
また、仕事に限らず、友人関係でも、恋愛関係でも、嫌われているのに好かれようとする努力は大抵実らず、たとえ態度に隙が無かったとしても、そのことが相手の嫌悪感を誘う事すらある。
つまりどうにもならないのが真実である。
そうであれば、無能と評されても、割り切って必要以上に頑張らない生き方もまた必要であるとおっさんは結論づけるところである。
<おっさんには会社員として出すべき成果が足りない>
仕事ができる人は時間内に精度よく、足りなければサービス残業までして間に合わせる。人間関係では要領よく、そして数値や形としての成果を出すものである。
例えば単純事務処理では滅多にミスがなく。複雑で長い事務処理においても、ルールや前例、チェック者の意向を精度よく汲み取って、最良の答えを出してスムーズに仕事を進めていく。
また、人間関係では普段から冗談を飛ばすなどして愛想よく振舞い、時には「こうしなさい」と強めに部下後輩を仕切って、決断力があるところを見せ、タバコやお酒、仕事外での付き合いでもヤンチャな面をちらつかせつつ、全方位にそれなりに好かれるといった具合になるだろう。
その結果、上にも下にも支持され、他の人だと「説明不足」「意欲が感じられない」「意味が分からない」といった評価で握りつぶされる案件も、
ほぼ全く同じことを言っているのに採用されて成果となり、出世していく。成果として求められるものにはこうした信頼や魅力が多分に含まれるのだ。
一方のおっさんは前述のとおりミスが多く、仕事の速度はそこそこだがサービス残業は絶対に嫌で逃げ出すタイプである。無理な場合は締切の延期や業務負荷低減を訴えて、職位の割に効率が悪いなどと無能扱いされている。
会社が嫌いなので言葉は必要以上に発せず付き合いも悪い。部下後輩に強めに行って仕切るのも性格的に好きではない。
必要な提案に躊躇はないが、いつも根回しや調整、上役に気に入られるような生き方が肌に合わずに却下され、一方でいつもいい所を、信頼され魅力的な、優秀な社員に持っていかれる。
同じ理屈で「勝ちを譲ってやっているのだ」と強がる人もいるが、残念ながらおっさんはそんなプライドの欠片すらない。クオリティそのものも低くて意欲もないので、やはりおっさんは無能で、成果が不足している人材である。