窓際のおっさん13 公務員志望者減_技官は定員割れ続出 (1/4)遅れる技術系のDXと増え続ける事務処理

 会社にいると色々ある。どうにもならない事ばかりで、禄を食むためだけにひたすら受け流して暮らしている。時には反撃してみたり、動き回って相手を撃ち落とすこともあるけれど、会社全体としては何らプラスがない。それでも一筆積み上げれば、誰かの一遇は照らせるかもしれない。そんな想いで今日も筆を取る。

 令和6年1月上旬、公務員の採用状況調査が公開されXでトレンドにもなった。定員割れが各地で発生し、特に技術職離れが顕著である。15年前おっさんが合格した際に機械技師は15倍だったが、今は多くても1.5倍と大幅下落である。現状では、公務員の人気低迷は続いていくのではないだろうか。

 今回は公務員経験のあるおっさんが、昨今の公務員離れの原因について、特におっさんの属した技術系職種のそれについて考察したい。

<最近まで出勤簿はアナログ、技術系なのに「デジタル化しない仕事」>


 某政令市では最近まで紙の出勤簿で、社員証による出退勤システムがようやく2023年に整った。非常に対応が遅い。
 通常業務でも、2000年代から使い続けているアクセスやエクセルのフォームに、毎年データベースや記入蘭を継ぎ足し継ぎ足ししたものが未だに現役で、これらは現在のOSでの正確な動作すら怪しいばかりか、多くの職員がコードやシステムの意味や仕組みを知らないこともある。サービスを受ける市民や、これから入る若手からすると、異常な状況ではないだろうか。

 また、近年のデジタル改革推進政策で、それらしい部署もでき、デジタル化が進められているものの、技術系は専門分野すぎて手がつけられないようだ。だがその状況は惨憺たるものである。以下に事例を紹介する。

① 建築設計のCADは25年前の製図ソフトに対応できる2次元の形式で発注し、納品は紙印刷も込み。職員は紙の図面を眺めながら、器具数や配管長の正誤を細かくチェックしている。

 最新のソフトならば、3次元などで当然精度も高く、現場もイメージしやすい。
また、誤って器具を余分に描画しても、エラーを介してすぐ検出できる上、計数積算も一発でできて便利ある。

 ところがこれを役所仕様に落とすと、令和に入っても、職員による目視と手入力の世界になる。一方で、近年のインフラ老朽化や、デジタル等社会要請の増大から、設備改修の仕事量自体は右肩上がりである。結果チェックは最低限で精度も低く、十分な技術的検討も出来ないまま、決裁される。

② 工事検査業務では、検査に使う書類は今もアナログである。
 業者さんは毎度分厚いファイルにたっぷり書面と写真を詰め込み、役所に提出する、役所はそれを見て点数までつけるが、その点数も年配の検査員がむむむとうなれば上がったり下がったりするかなりの人情采配である。

 また、業者さんは、かなりの時間をかけてこの書類の作成をする。近年は役所だけでなく、民間企業として技術系の現場で監督をやりたい若手も減ってきている。おそらくこうした役所のアナログ的書類と検査に一因があるとみて間違いない。

 そもそも技術系公務員は数が少なく、同じ人が何十年と同じ部署にいて業務が属人化しがちである。新しい発想が入りづらく、属人化で、なあなあ のモラル崩壊も起こっている。加えて上の世代ほど「ものづくり日本の専門家」を自称して、プライドも高く傲慢でもある。

 そしてパワハラと根性論やなども相まって、デジタル化、効率化へ移行できる準備すら整っていないように思う。

<そして雪だるま式に事務処理が増える>


 アナログ仕事と劣悪環境ではミスや抜け漏れは当然発生する。だが役所内においては、ミス後の対応は必ず以下のパターンになる。

① 新たな手続きを増やしてチェックを強化
② チェックリストを作るか、現在のチェックリストの項目を増やす
③ ダブルチェックと称してチェック者を増やす

見てのとおり全部が業務量拡大につながるものである。

「仕組みや体制を変えました」というパフォーマンスも、怒れるクレーマー市民の留飲を下げるために、多少はやむを得ないかもしれない(いや、本当は不必要だけどね)。だが30年この対応で既に現場は限界である。

 おっさんは何度もこの状況に反発したが、改善の見込みもない。それどころか

「こんなのすぐできちゃうでしょ?」

 と上司や同僚達は言う。本当にどいつもこいつも判子を突いたように同じ不機嫌顔で、同じセリフを言う。半ば「君やる気ないね」とか「能力低いね」と言っているに等しいのだが、故にみんなこの一言で黙りがちである。

 たった一件のたった一カ所の変更で、例えば担当一人の実作業はプラス5分だとしても、それを組織みんなで1日100件、3人が関わるとして1500分、年間200日として300000分=5000時間
 計算はそこまで単純ではないが、とにかく大きな量である。

 それを「こんなのすぐできちゃうでしょ?」の一言で済ますのはあまりにも軽率である。ルール作った先輩への気遣いなり忖度か、反発を恐れてなのか、事務処理はことごとく、廃止削減の方に向かわない。なぜみんな事務処理数を減らさず、逆に増やしてしまうのか。おっさんは未だに理解できない。

 自動化、簡略化の提案を、おっさんは今まで何度も提案しては却下されている。
それどころか、

上司「君はなにごとも自動化簡略化に根差すところがあり、書類のチェックが甘くなっている。」

 などと言われてしまう。因果関係おかしくないか? そして完全こじつけの同コメントとともに、人事評価Cを付けられる始末である。(以下その時の写真)

人事評価シート

 自動化簡略化して成績が下がっても、尚もそれを言い続けるのは、おっさんのような変態ぐらいしかいないだろう。どうやら改革の道は険しい。

次回に続く





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