読了のおっさん33 特別編 子供に読ませろ おっさん推奨未来情操漫画選(後編)
前回に引き続いて、子供におすすめの漫画を紹介する。今回は3位から1位とまとめである。
3位 鋼の錬金術師
ファミリー向け、アニメあり(原作準拠のが良いかも)、蔵書は気に入ったら
非常に有名な作品。高校生以上だったら同じ作者の別の作品「銀の匙」をお勧めしたいところだが、より子供向けと言う事になるとこちらだろう。
近代ヨーロッパに近い設定の世界観で、錬金術と呼ばれる、歴史上では科学の従兄分のような魔法に近い技術が存在し、その使い手が主人公。
錬金術の禁忌を犯して、主人公のエルリックは、四肢の一部と大切な弟の肉体を消失してしまい、それらを取り戻すために錬金術の奥義と謎を追う。
軍隊にも所属し、各地を旅して活動し、異民族との邂逅と摩擦もあり、目的に向かって懸命に生きる姿は、人間ドラマとして非常に良い。
また、錬金術を使うに当たっての倫理観や、超生物による人間支配と言った重いテーマがちりばめられており、色々と考えさせられる。
いいテーマや知識が詰まっているが、子供にも何とか理解できる範囲と描き方である点が好ましい。
2位 名探偵コナン
ファミリー向け、アニメあり、気に入ったものは蔵書オススメ
これもあまりにも有名な国民的漫画・アニメ。主人公は高校生で、体が小さくなると小学生として振舞う。推理もので殺人の描写もあるが、事件現場以外では全体に少年誌らしく、流行りの出来事や芸能の話題、スポーツやゲームなど親しみやすい日常のシーンが続き、コミカルな展開もある。
推理の内容もしっかりしていて、現代の日常との関連性の他、毒物やギミック、兵器等に関する考証もしっかりしており、知識としてためにもなる。
また、本筋のストーリーでもある、黒ずくめの男の組織の秘密が、巻を追うごとに徐々に明らかになってゆき、事件の真相に近づいていくと同時に、主人公らの人間関係も色々な形で進展を見せる。これら長年の読者も喜ぶ展開が今も続いている。
長期連載で巻数も多いが、それだけ色々な年代に刺さり続けて幅広いファン層を獲得している。アニメも有名で音楽も非常に良く、映画は何作品もある。
テーマや内容もさることながら、家族で見ても、誰と一緒に見ても良いという間違いのない作品であると思う。
1位 大長編ドラえもん
ファミリー向け、アニメあり、蔵書オススメ(でも最近は意外と図書館にも禁退出として蔵書がある)
あまりにも有名な国民的漫画・アニメの大長編。大長編と言うのはアニメで言うと映画作品に該当し、原作者もそのつもりで漫画を描いている。
過去の世界、魔境秘境、パラレルワールド、地の果て、空の向う、海の向う、宇宙など、巻によって舞台は全く違うが、1巻のボリュームを使って、良く知っている5人の少年少女とドラえもんが、力を合わせて活躍する展開はエンタメとして最上級である。
大長編の特徴は、高いメッセージ性と舞台背景に伴う知識と教養への興味喚起だろうと思う。時にハラハラドキドキであるが夢のある展開で、宇宙や自然、人類史や科学技術、そして環境問題を筆頭に社会問題への問題提起にも踏み込んでいる。
最近の映画ドラえもんは原作ではないので何とも言えないところがあるが、所謂旧ドラにはこうした明確なメッセージ性があって、それを子供にも分かりやすく染みるように表現している。
よもや、おっさんがお勧めするまでもなくランクインだろう。
<最後に>
漫画というものは、子供が小さい頃は大人が勧めることもあると思うが、結局は学校でお友達同士の情報交換で読むもの、子供が書店等で自ら興味を持って読むものなど様々であり、それらが逆に親に伝播するという性質を持っているように思う。
そして子供は成長と共に、親があえて勧めなかったきわどい作品も勝手に手に取ってそこから学んでいく。社会、歴史、闘い、性愛など幅広く。そう考えるとあえて選んで与えるという必要はないのかもしれないが、やはり小学生ぐらいからは親がまとめて買って(或いは所有しているものを貸し出すという形で)子供に漫画そのものを伝えるという効果的な場面があるように思う。となるとその時に見せる作品をどうするか、やはり迷うものではなかろうか。
結局親の趣味が反映される場面でもあるが、漫画というものは不思議で、誰に何を貸してもらったか、誰がどの作品を好きだったかも一生覚えている。この面からもやはり何を勧めるか迷うところではあると思う。