ばん馬の牧場見学を通してvol.4
初夏の陽気と風の涼しさがマッチして心地良い。
さて、今回は本別町の本寺牧場にて見学をしてきた。
本別町は帯広競馬場がある帯広市から車で約1時間。
道中はスピードスケートで有名な高木美帆選手、菜那選手の地元でもある幕別町、ワインやドリカムの吉田美和さんの地元で有名な池田町を通る。
十勝の全体的な特徴でもあるが、畑が広がっており「平野の街」を感じる。
天気が良い日は日高山脈も綺麗にみえる。
本寺牧場には牧場見学の記録を書き始めてからは初めて訪れたが、以前にも2度程見学はしたことがある。
ここではばん馬の他にもポニーやサラブレッド、和牛の生産もされている。
牧場の隣には「肉のマルホン」という自家の肉を加工したハンバーグや焼き肉用のお肉が販売されている。
本寺牧場からは多くの名馬が輩出されている。
ばんえい記念馬のフジダイビクトリー、オークスやクインカップを勝ったミスタカシマが生まれ育っている。
牧場主の本寺政則さんも誇りに感じている2頭の偉大な母馬がこの牧場を支え、現在までの血統を繋いでいる。
まず1頭目はアグリタカラ。
アグリタカラは既に亡くなってしまったが、キクノカチドキやフレイムファイヤー、ミスタカシマ、エポナビューティー、ミキヒメスマイルなどの産駒を出しその馬たちが繁殖としても活躍している。その馬たちからジェイファイター、マサタカラなどの活躍馬が出ている。アグリタカラの子で現役馬だとダイナマイトがいる。
続いて2頭目は良姫。
良姫は現在も生きているが、繁殖馬としては引退し功労馬となっている。
しかし、現在も発情があるらしく本寺さんも困惑することがあると話される。
そんな良姫からはヤマトジャパンやマルホンリョウダイ、マルホンマユヒメ、ばんえい菊花賞、大賞典を勝ったマルホンリョウユウなどの活躍馬が出ている。
良姫の子デラックプライムからはリノメテオールやマルホンキンカ、サツキヤッテマレなどが活躍し、レイナアブソルータからはミノリヒメやフジダイショウリなどの馬たちが活躍した。
またこれらの馬たちも繁殖としての活躍を始めているところだ。
これからもアグリタカラ、良姫の系統の馬たちが活躍することが楽しみになってくる。
1歳馬たちもみせてもらった。
牧場で見えたのはコウシュハウンカイの産駒2頭と、キンメダルの産駒、キタノリュウキの産駒。
4頭同じところで過ごしていたがコウシュハウンカイの2頭が気が強く争う場面もみられた。今年デビューしたコウシュハウンカイの馬たちもそんな馬が多いのだろうか?
レースをみる限りは勝負根性のある産駒が多い印象を受ける。
本寺さんはコウシュハウンカイの産駒の特徴、これからについてこのように話す。
「今年の産駒たちは活躍しそうな馬たちが多そうではあるけど、その活躍が2歳だけなのかこれからも活躍するかが鍵になると思う。母方のタカラドーベルが早熟だっただけにそこに似る馬たちもいると思う。ウンカイも比較的早熟だっただけに隔世で似る可能性が多い馬もいると思う。長く活躍できればコウシュハウンカイに似たと言えるだろう。ばんえい大賞典以降の走りでなんとなくわかってくるかもしれない。」と本寺さんなりに分析される。
4年前に訪れた時にまだ1歳であったミノリヒメにも会うことができた。
当時は牧場の1歳の中で最も気品を感じる馬であり、とても人懐こい印象もあった。
その人懐こさは全然変わっていなかった。近づくと自分から首を前に出し甘えてくるなどとても可愛らしかった。これからは母になる予定。ミノリヒメの子どもの活躍を早くみたいところ。
牧場全体を見ながら本寺さんと血統や馬体の違いについても話をした。
「血統が違うだけで馬体や肉のつき方も異なってくる、大きい方がなんとなく競走馬として走るような気もするけど、走らせてみないとわからない。これが遺伝子の面白いところ。」
来年生まれてくる予定の馬でウンカイの2×3の馬を作ってみたとのこと。
普通に考えれば2×3はとても近いところで被り、リスクもある。
3×4くらいでちょうど良いくらいと言われるくらいだ。それでも色々研究しながらどんな馬が出るか試行錯誤していると話される。
今現在も本寺さんの生産馬が活躍しているだけに今後の活躍にも目が離せない。
23日の柏林賞にはマルホンリョウユウが出走予定となっている。少しでも良い結果になるよう頑張ってほしい。
約1年ぶりの牧場見学となったがまた違うことろでも見学してみたい。
ではまた次の見学先で。
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