東京が好きな理由
19歳で東京に出てきてからわたしはずっと東京が好きだった。
なんでかなんて考えたことがなかったけど、最近一つわかったことがある。
東京は、孤独でいられるから好きだ。大好きだ。
孤独になれる東京が好きだ。それでいい、と誰も言わないから大好きだ。
孤独でいい。そしてみんな孤独だから好きだ。それに尽きる。
地元にいる家族のことは嫌いではない。
けど大人になるとどんどん、どんどん大人同士の合う合わないで嫌な気持ちになることが増えた。ぶつかることも多かった。
大人だから距離を取りたいのに、土足で至近距離で怒鳴られるような嫌悪感もある。昔された怒られ方がフラッシュバックして、今になって文句を言いなくなることがある。
親から「親孝行しろ」とは流石に言われないけど、
私の親は「家族だから」とか大事にするタイプで無意識に家族の一致団結を強要されている気持ちになることに大人になってから気が付いた。
これはなかなかにしんどい。
今東京にいて、実家は九州。会おうとしないと会えない距離にいる。
最初は寂しかったけど、一人暮らしをして東京で暮らすほど東京がどんどん好きになって、実家に帰りたいと思わなくなった。あんなにひどいホームシックだったのが嘘のよう。
まだ2歳の娘には、家族だからという呪文はなるべくかけたくない。
こうあるべきだ、というわたしの昔の環境は、せっかくこんなに離れたところに住んでいるのに再現しなくていい。
今はわたしも、誰からもこうあるべきだなんて言われないし、家族だからなんて強要されない。夫も娘ももちろん家族。困ったときは味方になる、家族だから。
けどこれはわたしがそうしたいだけ。夫にも娘にも、同じように思えとは言わない。
まあ、夫からはいつまでも大事にされたいみたいなわがままは正直あるけど。笑
家族だから無理して自分を殺す必要は全くない。
田舎だからだったのか、時代なのかわからないけど、
今振り返っても窮屈だったわたしの昔。
娘には自分のおもう世界で泳いで欲しい。
いや、泳ぐというのも決めつけかな。
好きなように生きてくれ。私はなんでも聞くよ。