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すきやき食べたい
TheWorthlessさんの『すきやき食べたい』をカバーしました。
インスタグラムにもアップしましたのでぜひ聴いてみてください。
ということでカラオケも作りました。
どなたかぜひ歌ってみてください。
※ © 著作権はTheWorthlessの作詞・作曲者のわしみごうさんに帰属します。
と公開していたら、なんと!「ザ・ワースレス」作詞・作曲をされたわしみごうさん御本人がこのトラックに乗って、歌ってくださいました♫
そんなremixのremixに名付けられたのは季節感あふれるタイトル
『すきやき食べたい-cedar pollen mix-』
スギ花粉が舞うお鼻むずむずな中、熱唱くださりありがとうございます!
ジャグ・バンド「ザ・ワースレス」さんの2024年からはじまった楽しい企画
(ちなみに先月一月は『君に会いに行こう』をカバーしました。)
2024年は!!!【ラバーズの一月一曲】 ◎ザ・ワースレスのあの曲を!ギターやウクレレやピアノやダンスや歌でカヴァーしてみよう!
2月の課題曲は『すきやき食べたい』
原曲「TheWorthless『すきやき食べたい』」はこちら
イントロでミスターが奏でる軽快なギターリフ
アウトロで双子のおふたりの(ぴーひゃらん&のんしゃらん)の楽しげなコーラス「スッキヤッキッスッキッヤキッスキスキ」に変わります。
コーラスも一緒に歌って踊りたくなる楽しい一曲です。
ミスターの「あとは好きなものを」の「を」の7thの歌い方が好きです。
2023年12月に開催された関西蚤の市でニジノ絵本屋さんが出店された際に、私は絵本『かわいいことりちゃん』の作者としてサイン会に呼んでいただいていたのですが、その際にTheWorthlessさんがはらぺこめがねさん作の絵本『すきやき』を読み聞かせと、絵本を元に作詞・作曲されたこの曲を生演奏で聴きました。
私は絵本『すきやき』の読み聞かせの時に、BGMとして演奏されていたポストロックでアブストラクトな浮遊感のある展開にものすごく心を奪われた記憶があります。そちらは『すきやき食べたい』の軽快な楽曲とまたちがう魅力があるので、ぜひみなさんもニジノ絵本屋さんの絵本ライブでTheWorthlessさんの『すきやき』読み聞かせ体験してみてくださいね!
絵本『すきやき』を見ると、コロナ禍で私のはじめての絵本『かわいいことりちゃん』を出版したときのことを思い出します。緊急事態宣言、まんえん防止法の合間をぬって、全国の本屋さんに足を運ぶ際に、ニジノ絵本屋さんからお預かりした『すきやき』、『ハンバーガー』の注文書を持って回り、本屋さんに手渡してお話ししたり(郵送でお届けしたり)していて、すでに本屋さんにはらぺこめがねさんの絵本をならべてくださっていたときには、とてもうれしくなりました。
読むだけでお腹がすいてくる美味しい絵本『すきやき』おすすめです。
ここからは個人的な今回のカバーの制作過程での思考の流れや気づきを備忘録的に書き留めた文章で(今回もとても長くなってしまったので)、興味のある方だけ音楽を聴きながら目を通してみてください。
※ 「太字」部分は文章内でご紹介している楽曲から歌詞を引用しています。
歌詞の © 著作権は各作詞者に帰属します。
※ 登場するアーティストは敬意をこめて呼称を敬称略としています。
※ 文章に出てくる音楽は下記のプレイリストにまとめてみました。
お時間のある時に聴きながらでもどうぞ。
リハーモナイズ
今回のカバーのコンセプトはこんな感じ
コーラス(サビ)の進行をGM7→G7b13→CM7→Cdimにリハーモナイズ
コーラス(サビ)のリフレインの合間に『君に会いに行こう』のカバーで思い浮かばなかったドラマティックな展開(間奏)をはさんでみる
「スッキヤッキッスッキッヤキッスキスキ」のリズムを活かしつつ新しいフレーズを考える
イントロ & サビ
「スッキヤッキッスッキッヤキッスキスキ」
ギターを弾きながらこんな感じかな?と
「スッキヤッキッスッキッヤキッスキスキ」と歌ってみつつ
イントロ & サビのメロディーを紡いでいきました。
ヴァース
ヴァース〜サビに入るまでのブルージーなところはまったくリハーモナイズが思い浮かばなかったので少しだけ進行を
G7→C7→G7→D7 から GM7→G7→C9→GM7→G7→D9 に
C7→D#7→D7 から C9→D#9→D9に
変えてみただけで、大きくは変えてはいません。
「何かの記念日だけじゃない」の後のミスターの「ドゥーン」とくるギターがかっこよくって、そこをオマージュしています。
コーラス(サビ)
G→B→C→Dから
GM7→G7b13→CM7→Cdimに
リハーモナイズしてみました。BとG7b13は構成音がほぼ同じというかルートにGを置いてみたB/Gのような感じで、いつも手クセでギターで弾いているコード進行で歌ってみたらそのままいけるじゃんってなった感じです。
間奏
CM7→GM7→Cdim→B7→Am7→Bm7
CM7→GM7→Am7→Bm7→Cm7→C/D→D7
今回も『君に会いに行こう』のカバーで使ったⅢ7(切なコード)とⅣm7(サブドミナントマイナー)を使っています。
アウトロ
『君に会いに行こう』のカバーでもご紹介したカエターノ・ヴェローゾ『Minha Voz, Mihna Vida』のアウトロのコード進行を参考にしました。
ⅥbM7=EbM7→ⅡbM7=AbM7→ⅠM7=GM7へと解決していきます。
音楽の旅 盆踊り〜チークダンスへ
はじめはギターを弾いていましたが、なぜかBPMがだんだん遅くなります。
それはたぶん歌詞の「君といつまでも」が発端で加山雄三『君といつまでも』が浮かび、「すきやき」を囲める食卓って「しあわせだなぁ」って感じたり、「SUKIYAKI」といえば坂本九『上を向いて歩こう』か!って思い出したりしてどんどんノスタルジックなモードに突入したからです。
ヴァースのブルースも気になって君島大空『都合』や優歌団『胸が痛い』を参照してみたり、どんなアレンジにするか決めるべく、昭和の幼い頃に聴いたオールディーズや懐かしい音楽を掘り起こす音楽の旅に出ました。
ライチャス・ブラザーズ『Unchained Melody』はまだ幼い頃に映画『ゴースト ニューヨークの幻』ではじめて聴いたんだと思うのですが、いま聴いてみるとはちゃめちゃなMIX(録音技術が昔なため)で3本のマイクで録ったのかな?と想像してみたり
C(センター):歌
L(左):ピアノ、ベース、ドラム
R (右):ストリングス、コーラス
さすがな名曲だけに、エルビス・プレスリー、シンディ・ローパー、U2、ノラ・ジョーンズなど錚々たる方々がカバーされているのを知って聴き比べたりしました。
さらに新旧思い出しながらいろいろと聴いていきました。
チェッカーズ『星屑のステージ』、THE YELLOW MONKEY『JAM』、ジェイムズ・ブラウン『Try me』、サム・クック『Bring It On Home To Me』、プラターズ『Only You』、米米CLUB『TIME STOP』、忌野清志郎『世界中の人に自慢したいよ』、ちがうリズムもいいかもと同じくらいのテンポでBONNIE PINK『Heaven's Kitchen』や以前カバーした七尾旅人『サーカスナイト』も聴き返したりしました。
「これは?ブルース?シャッフル?6/8?いろんなリズムがある!」と感心しつつ、そういえば日本人はどうしてもバックビート(2拍4拍)でのれずにヨヨイッガヨイッ(1拍3拍)の盆踊りのリズムになっちゃうといわれているのをふと思い出しました。
盆踊りまで旅して『どんぱん節』なんて「ドンドンパンパンドーンパーンパーン」って実に日本人らしいオノマトペのサビで、すさまじくキャッチーだし「みんなで踊ってもそりゃ楽しいわな」と妄想が広がります。
「ならいっそもう盆踊り(チークダンスでもいいけど)な方向がよくない?」ってところまで行き着き、「すきやき」をみんなで囲んで食べて、腹ごなしに優雅にゆらゆら踊れたら最高にしあわせだなぁと方向性が決まってきました。
歌…むずかしい
原曲では作詞・作曲されたわしみごうさん a.k.a.ミスターとsunnyさんが軽やかに、そしてとてものびやかに歌ってらっしゃるのですが、実際に自分で歌ってみると「キー高いよ…」ってなって歌の録音がどうしようもなくなってしまいました…最近活躍されている人たち(King Gnu、Official髭男dism、imase 、etc)なんてもう声が高くてびっくりします。
ミスター、sunnyさん歌うますぎる…ってあらためて思いましたし、双子のおふたりも交えたコーラスが入ったらなぁとも妄想しましたが、まずは歌をどうにか録らねば。
間奏でも本当は転調を入れてドラマティックに半音あげようとしていたのですが、歌の難易度がさらにあがるのでやめておくことにしました。
で、誰かに歌ってもらうわけにもいかないし「あぁ清志郎さんが歌ってくれたらなぁ」とか小野雄大『無敵』を聴いては「こんな風に歌えたらな」と妄想しつつ、どうにかこうにか自分で歌ってみた感じです。
間奏後のコーラス(落ちサビ)はもっともっとしんみりと歌いはじめたかったのですが無理すぎて無理だったので無理でした…。
なんか変なクセで喉にめちゃくちゃ力が入る発声法に陥ってしまっているみたいで高音を意識するとすぐ喉が締まってちゃうんですね。
本当は声を張らずもっともっともっと身軽に脱力して歌いたかったんです。どれくらいかっていうと落日飛車『Vanilla』くらいに柔らかく優しく。
ちゃんとお腹から優しく歌えるようにボイス・トレーニングいきたいな。
学生時代の合唱部のみなさん、音楽業界時代に担当させてもらったヴォーカリストのみなさんに本当に申し訳ない気持ちになりながら歌いました。
歌…むずかしい。
弦楽への憧憬
ハイエイタス・カイヨーテ『Get Sun』でアルトゥール・ヴェロカイが職人技で弦の編曲を施してらして、弦楽って優雅で美しくってかっこよいなと憧れを新たにしていました。で、思い立って、今回のカバーではカルテット編成のストリングスを入れてみました。聴いていただきたいポイントはそっちの方で、私の歌じゃないなと思い、歌にはなるたけ後ろに後ろに下がってもらい、カルテットやリズムが前に出てくるミックスを心がけました。
そもそもリミックスとかって歌が後ろにいたりラジオボイスっぽく処理がなされていたり、はたまた使われていなかったりもするので、その方向で調整してみるしかないかな…とプロデューサーの自分が歌い手の自分をなだめすかしながら制作を進めていきました。
弦は演奏者の方々に入っていただくと「表情や表現の力や幅や繊細さがまったく変わってくるんだけどな」とを妄想しつつ、今回はストリングス担当の自分がプラグインを使い鍵盤で弾きました。プロデューサーの自分に「そこなんかちがうくない?」とかいわれ「どこすか?」とかいいながらフレーズを作っていきます。ヴィオラの自分に「内声動いてみて」とかいいながら「こうすか?」って具合に試していきました。
ユートピアMIX
それとちょうどこの2月はフィッシュマンズばっかり聴いていて、フィッシュマンズの本を読み漁ったりして、少し宙に浮いている気分だったんです。盆踊りの影響かVIDEOTAPEMUSICなんかも聴いてみたり、寒い冬から春めきを感じはじめる季節の中、音楽の旅に出ることで南国の真夏っぽい雰囲気に浸っていました。
そんな制作中に妻に聴いてもらったところ「もっと湯気っぽい感じは?」と気分にぴったりのアイデアを出してくれて「それいいね」って採用し、「すきやき」の湯気っぽい音を足したりして、DUBっぽさのあるミックスに変化していきました。
あとは今回もレコーディング、ミックス、マスタリングまでしてみてエンジニアさんってあらためてむちゃくちゃすごいな…!と痛感しました。ぜんぜんイメージ通りに進まず「ZAKさんにミックスしてもらえたら…」とか妄想しつつ…本当に満足できるところまで自分だけで辿りつくのは難しそうだったので、なんとか落ち着けそうなところに軟着陸した感じです。
ということで今回のカバーは歌詞にちなんで「ユートピアMIX」と呼ぶことにしました。世知辛くなくって甘辛い「すきやき」を囲める幸せな桃源郷の世界っていいですよね。
ひよこがみたにわとり
間奏のストリングスをアレンジしていた時に何度も何度も頭に浮かんできてしまうフレーズがあって「なんなんだろうこれは…」と不思議に思っていました。
ずっとずーっと奥にしまわれていた記憶まで辿ってみるとTM NETWORK『THE POINT OF LOVER'S NIGHT』のBメロのメロディーだとはたと気づいてとても驚きました。34年も前のことでもうすっかり忘れてしまっていた曲です…。メロディーをパクりたくはなかったので、浮かんでくるメロディーを避けるように避けるように注意してフレーズを紡いでから、あらためて曲を聴き返してみると「あぁこの曲も小室進行(VIm→IV→V→I)か」とか「ギターはB'zの松ちゃんじゃなくって…?デュランデュランのウォーレン・ククロロだったのか!」と気づきました。
あとはイントロ&サビのベースラインも「なんか聴いたことあるなぁ」と思ったら「高野寛『ベステンダンク』か!」と気づき、ソラシドドシラソと下降するところをレミファ#ソと上昇してみたりして変えていきました。自然と染みついた音のならびがそれとなく出てくるものだなと感慨深かったです。この曲はトッド・ラングレンのプロデュースなのでなんか「ユートピア」にもつながっていますね。
「三つ子の魂百まで」?「ひよこがみたにわとり」のように幼い頃に衝撃を受けたものはこんなにも尾をひいて身体に残っているんだなと思いました。
結局、鳥の話にもどって今回のカバーのお話も終わりです。
こんな力の入りぐあいでこの #ラバーズの一月一曲 企画に毎月チャレンジできないかもしれませんが、またカバーができそうかなとひらめいたときには参加してみたいです。
来月はどんな課題曲が発表されるのか楽しみですね!
みなさんの #ワースレス #ラバーズの一月一曲 個性があふれていて素敵です。今月もみなさんの作品とても楽しみにしています。