これからも、ずっといっしょに。
ザ・ワースレスさん『これからもずっと、いっしょに。』をカバーしました♫
『これからもずっと、いっしょに。 弾き語りMIX』
インスタグラムにアップしたのでぜひ聴いてみてください▼
Sound Cloudにもアップしました。
さて、記事内で名前が登場するザ・ワースレスのメンバー紹介を。
ザ・ワースレスの2024年からはじまった楽しい企画
この企画の10曲目、10月の課題曲が『これからもずっと、いっしょに。』
たまプラーザテラス10周年記念ソングとして制作されたこの曲
公式サイト & YouTubeに掲載されています。
作詞・作曲者のわしみごうさん a.k.a. ミスターが綴られたこの曲の制作秘話がこちら。以下が原曲のコード進行 ▼ です。
私はミスターとsunnyさんが歌って踊ってらっしゃる下の動画を見て大好きになりました。ぜひみなさんもワクワクする原曲を聴いてみてくださいね!
ここからは個人的な今回のカバーの制作過程での思考の流れや気づきを自分のための備忘録として書き留めた文章です。
※ 文章に出てくる音楽は下記のプレイリストにまとめてみました。
ご興味のある方はぜひ音楽を聴きながら目を通してみてください。
『これからも、ずっといっしょに。』
リハーモナイズのプレイリスト
「I Got Rhythm」(1930)とこの曲から派生した「リズムチェンジ」に関連する曲だけを集めたプレイリストです。『これからもずっと、いっしょに。』と聴きくらべてみるだけでもかなり面白いと思うのでぜひ聴いてみてください。歴史に残る錚々たるジャズマンの曲と演奏が収められています。
今回はほぼリハーモナイズしていません。
自分の手癖で弾きやすいように少しだけリハモ(三和音を四和音にしたり、ドミナント7thをマイナー7thにしたり)しただけでほぼ原曲通りです。
練習用に編集した微リハモのコード進行、最後の歌詞「あなたをてらす その場所へ」に変えた譜面です(ザ・ワースレスさんが作成された原曲の譜面を上書きさせてもらっています)
というのも今回は「I Got Rhythm」と「リズムチェンジ」を勉強して弾いてみたかったんです。
リズムチェンジ
詳しい歴史的な経緯、リズムチェンジが使われた代表的な楽曲に関してはまとめられている「 jazzguitarstyle.com リズムチェンジのコード進行とバリエーション、作曲者別曲紹介」をぜひご覧ください。
ここで私が補足しておきたいことは、
「リズムチェンジ」とは「リズム」が「変わる」という言葉上の意味ではなく、「アイ・ガット・リズム」という曲の「コード・チェンジ(コード進行)」が略語となり「(アイ・ガット・)リズム」の「(コード)チェンジ」と呼ばれていて、ある特定のコード進行を指す言葉となったという点です。
ちょっとややこしいのですが、リズムではなく、コード=和音なんですね。
アメリカの作曲者 ジョージ・ガーシュインが自らピアノで「I Got Rhythm」を演奏している1931年の貴重な映像を発見しました(エグゼクティブ・プロデューサーの妻が見つけて教えてくれました)。
お兄さんのアイラ・ガーシュインが作詞を手がけてらっしゃいますね。
1930年といえばビッグ・バンドのスウィング・ジャズ全盛期。
ベニー・グッドマン、デューク・エリントン、カウント・ベイシー、グレン・ミラーといった名だたる楽団が「I Got Rhythm」を演奏したり、新たに「リズムチェンジ」の楽曲を生み出し、演奏していたようです。
ここからこのジャズのスタンダード曲「I Got Rhythm」のコード進行をベースとした「リズムチェンジ」が爆発的な勢いで広まり、循環するコード進行に数々のメロディが載せられては新曲が生まれ、現在に至るまで膨大な数のジャズ・マンに愛され続けて受け継がれてきました。今回プレイリストを編んでみてブルース、ジャンプ & ジャイヴ、ジャグ(ザ・ワースレスさんが掲げる音楽形態)、ジャズ(といってもスウィング、ジプシー、ビバップ、ハードバップ、新主流派、フリーから現代のコンテンポラリーまで)幅広く世代を超えて愛され、演奏されてきたことを知りました。
私の初「リズムチェンジ」はおそらくオリジナル・ラブ 「JUMPIN' JACK JIVE(feat.吾妻光良)」(1992)だったのではと思います。あれから30年以上経った今も田島さんと吾妻さんはご共演されているようで感慨深いです。
また「リズムチェンジ」のコード進行そのままではなく部分的に影響が入っている曲かと思いますが、上田正樹 & 有山じゅんじ「梅田からナンバまで」(1972)、吾妻光良 & The Swinging Boppers「高田馬場(Loosiana)」(2006)あたりからも同じルーツを感じとりつつ聴いていました。私がジャグ・バンドを知るきっかけとなったLittle Fats & Swingin' Hot Shot Partyもルイ・ジョーダンのカバーなどで「リズムチェンジ」な曲を演奏されていて、ライブや音源で聴くうちに私の体に染み込んでいたのかなと思います。
そんなこんなで『ザ・ワースレスのテーマ』『これからもずっと、いっしょに。』を聴いて、その中にブルース、ジャズ、ジャグ、ロックンロール、「リズムチェンジ」のエッセンスが盛り込まれているのを感じとっていました。
#ラバーズの一月一曲 をカバーしはじめて、ミスターが「音楽の伝統を現代に(立川談志師匠みたい!?)」という思いを込めて楽曲を制作されていることを知り胸が熱くなりました!京都の街角で音楽の話をさせてもらったときもその点を熱く語ってらして、さりげなく音楽の歴史のバトンをつなぐ役割を担いたいと音楽への愛をこめながら制作されているんだなと感じました。
ということで、私は今回の『これからもずっと、いっしょに。』は「I Got Rhythm」「リズムチェンジ」に注目して少しだけリハーモナイズする感じでカバーをしてみようと思いました。
リズムチェンジのようでいて
リズムチェンジじゃないです
ここまで「リズムチェンジ」を強調しておきながら、『これからもずっと、いっしょに。』は「リズムチェンジ」のコード進行でできている曲ではありません。むしろ「リズムチェンジ」を解体して再構築されています。
イントロ「リズムチェンジ」Aの一部のバリエーション(リハモ)
E→C#7→F#m→B7 が E→Fdim→F#m→B7 に変わっています。
1「たまたま〜ままでいて」は「わたしたちなら〜」「はしゃいじゃって」の「I Got Rhythm」「リズムチェンジ」の7thが続くBをリハモした引用ですね。
Ab7→C#7 を C#m7→C#m7/E にリハモ→F#7→B7
2「あしおとで〜てらすまち」は転調の展開部→1のコード進行に戻る間奏(ソロ)をはさみ→再び展開部をリピート
3「あなたをてらす〜ありがとう」は「リズムチェンジ」Aの一部をリフレインして盛り上げていきます(『ザ・ワースレスのテーマ』の後半と同じ)
という創意工夫に富んだ展開です。
リハーモナイズ
私は「リズムチェンジ」なコード進行からリハモして「I Got Rhythm」のコード進行に遡って弾いたり、「リズムチェンジ」をリハモしたバリエーションのコード進行で弾いてみました。もう自分でも何を言っているのかよくわからないので上のコード譜と「I Got Rhythm」「リズムチェンジ」のコード進行を見比べてみてください。文字では説明しきれないですが、弾いてみていただければ「あ!そういうことね!」と理解していただけるかと。
私は今回「笑っていいとも!」に小沢健二さんが出演された際の演奏をもとに、ガットギターでベースラインを弾きながら指弾きするスタイルで弾き語りしてみました。「もっと良い弾き方があるのかしらん…むらたぬき師匠(ミスターの盟友で村田食堂で活動中)に教えてもらいたいな…」とか思いながら弾いていました。
小沢健二さんの動画は以前あがっていましたが、いまはもう見られなくなってしまっていて、kumanokoさんがカバーされている動画を参考にさせてもらったり。
イントロ
原曲は E→Fdim→F#m→B7 「リズムチェンジ」Aのバリエーション(リハモ)ですね。
私はハンブル動物園(コントラバスのさーやさん、ギターのアイリッシュ・コーヘイさん、ドラムスの田嶋友輔さんのバンド)『Sunny Daze』へのオマージュで自分なりにイントロを弾きました。2014年、2015年と松陰神社のカフェ「STUDY」で小鳥ミュージアムという小鳥のアートイベントを主催した際にご出演いただき生演奏を聴かせていただいたのを思い出して。
あしおとで リズムとろ
サブドミナントのⅣ=Aで場面を変え、Key=Cに転調し、Key=Eに戻る展開!
さらに間奏のsunnyさんの熱いカズー・ソロをはさみ、再登場します。
私はリズムで場面をちょっと変えてみようかしらとスライのリズムを思い浮かべながら弾きました。『OverCare』でスライを研究した名残と、今回「リズムチェンジ」のプレイリストの1曲目に選曲したジョン・ピザレリ『I Got Rhythm』のカバーでスライの『Everyday People』(1969)のコーラス「ナーナナナーナナナナナナナー」がオマージとして聴こえてきたので、そこだけちょっとスライなリズムで弾いてみました。
上の動画のソロを耳コピしてアナライズされている動画も発見しました!
カバーをはじめる前に見ておきたかった…弾いてみたいけど超絶すぎてまったく弾ける気がしません(ジョン・ピザレリは7弦ギターを弾いてらっしゃますが、この曲では7弦はあまり使っていないっぽいです)。
間奏(ソロ)
原曲はAメロと同じコード進行でsunnyさんの熱いカズー・ソロが入る間奏。
私はコード進行を「リズムチェンジ」Aのバリエーションを入れてリハモし、ギター・ソロを重ねてみました。9月の課題曲『はじまりのうた』でギター・ソロを弾かせてもらった流れで今月はフルアコのRozeo Ladybug Mahoganyでまだ慣れないギター・ソロを弾いています。
普通のドレミファのシンプルなソロですが、もっとジャズのスケールを使ったアドリブが弾けるようにこれから練習したいなと考えながら弾きました。
あなたをてらす その場所へ
原曲は
E→C#m7→F#9→B7「リズムチェンジ」A
F#7が9thになっていてとても弾きやすいです!
私は
E△7→C#m7→F#m7→B7 「I Got Rhythm」Aにリハモしてます。
これはもう手癖で私はこっちの方が弾き慣れていたからです。
このコード進行をスウィングのリズムに乗って「ズッチャッ!ズッチャッ!ズッチャッ!ズッチャッ!」と繰り返すだけで、ザ・ワースレスさんが奏でるルーツ・ミュージックの世界に飛び込めた気持ちになれるのがとてもうれしく、全部弾くのはむずかしいなという方でもぜひここだけでも練習して歌ってみてほしいなと思いました。めちゃくちゃ楽しいです。
ということでワースレスラバーズのみなさんの #ラバーズの一月一曲 今月も楽しみにしていますよ!
リハモ科として少しでもリハモに取り組みたい気持ちがあったので手癖を元に工夫して弾いてみました。結局「I Got Rhythm」でも「リズムチェンジ」でもないようなコード進行になりましたが、今月もいろいろと調べてみてとても勉強になりました。ワースレスラバーズのtakenokoさんが先月「制作の裏側も見たい」とコメントしてくださっていたので、恥ずかしながら今回は一発録りで演奏している動画を出してみました。
もっとベースラインを動かしたかったな...とかしっかりリズムキープを..とか歌のリズムや音程が...とかいろいろと思うところはありますが...これが今月の精一杯です!
ジャズのことをよく知らないままにジャズのアレンジをするのが恐れ多い気持ちと、みなさんが #ラバーズの一月一曲 を毎月練習してアップされている姿に感化され、今回はアレンジを考えるよりも弾き語りの練習に専念し、演奏する時間が長くとれた1ヶ月でした。
ミスターがこの曲と同時進行に制作されていて、最終的に提出先を入れ替えて丸く収まったとミラクルな制作秘話を明かしてらした6月の課題曲、童話集『くまの子ウーフ』(神沢利子さん・作、井上洋介さん・絵 50周年を記念して生まれた一曲)『今日はいい日』も、そういえば最低限のリハモだけで弾き語りカバーしたなぁ。どちらもリハモの隙がない名曲という点が共通しているのかしらんと思いました。
また、今月は「ピアニストの脳を科学する 超絶技巧のメカニズム」でアルツハイマーを発症し、親しい人の名前を忘れてしまっても幼い頃から練習したピアノの曲だけは最後まで弾けたエピソードを読んで、「ヒトはなぜ歌うのか フロンティア」で認知症のおじいさんたちがビートルズの曲は覚えていて、老人ホームで慰労の演奏会を開いてみんなで歌ったりする姿を見たことや、私のアラ百の祖母が私を思い出せなくても学生時代に覚えた英語の歌をそらで歌えた場面に遭遇したのを思い出したりしていて、あらためて「音楽は魔法みたいだな」と感じ続けていて、年齢に関係なく音楽をはじめたり、演奏することにはとても意味があるなと考えていました。ブラジル・ミナスの音楽家ハファエル・マルチニ氏もご自身の母上の体験として同じようなことをインタビューで答えてらしたのも思い出し、音楽が私たちの脳や身体に与える影響について深く考えていたところでした。
脳科学的にはリズムを刻むことでセトロニンが分泌され、演奏をすることでドーパミンも分泌。また、誰かと一緒に合奏することでオキシトシンも分泌といった良い作用があるようです。個人的には今年になって小鳥音楽会というバンド活動をはじめたことも大きく、実感として音楽を奏でるよろこびがあふれてくるのを感じています。音楽はひとりでも奏でられるし、みんなとも奏でられるし、弾けなくても聴けちゃうし最高ですね。
あらためてマイペースに音楽を聴いて演奏していきたいなと思えました。
今回も長い備忘録となりましたが、最後までお読みくださりありがとうございます。
※ 「太字」部分は文章内でご紹介している楽曲から歌詞を引用しています。
歌詞の © 著作権は各作詞者に帰属します。
※ 登場するアーティストは呼称を敬称略としていたりしてなかったりしていますが、すべてのアーティストに敬意をこめて紹介しています。
※ 私はいま音楽理論を勉強中ですが、音楽学校等は出ておらず独学の最中の知識だけで記事を書いているため、楽理的におかしなことが書いてあるかもしれません。どうぞ参考までにお読みいただければ幸いです。