『鬼滅の刃』に見るお姫様
【警告】以下、『鬼滅の刃』に関するネタバレを含みます。同時に最終巻まで読んでないとピンとこないようにあえて説明不足にもしています。
昨日(2020年12月20日(日))、アニメ『鬼滅の刃』の特別編集版「柱合会議・蝶屋敷編」が、フジテレビ系全国ネットで放送された。
私は仕事もあり見られなかったし、実はあまり好きなところでもないので録画もしなかった。
しかし、さっき夜ご飯を食べながら、ふと気づいたことがあった。久しぶりにnoteに書き残しておくことにする。
10年以上前に読んだ本でふむふむと思ったことに、世界の神話の形がある。世界の神話は、地域によらず、どれも似たようなパターンをしているそうだ。
かいつまんで言うと、
・男は(男の子はと言ったほうがいいのかも)、周囲に手助けされながら成長し、やがて父を乗り越える。
・女は(というかお姫様は)、かけられた呪いを男に解いてもらい、その男と結ばれる。
大体そんな形をしているという。
「スターウォーズ」は、世界の神話を研究し(神話の研究者に相談し)その形を踏襲しているという。
『鬼滅の刃』に目を転じてみると、主人公、竈門炭治郎はまさに周囲に手助けされながら、徐々に強い鬼を倒していき、成長していく。ただし、最終的に父を乗り越えたかどうかは、微妙なところだ。作品自体のテーマが超克というよりは継承であり、そして、作者が男ではないということもきっと関係しているだろう。これらについてはまた改めたい。
ヒロインの禰豆子はどうか。禰豆子は炭治郎の妹である。
鬼にされてしまい、これはもう呪いそのものである。しかし、解いたのは、直接的には炭治郎ではない。炭治郎が解いて、そこで結ばれてしまったら、近親相関だ!(もっとも神話には近親相関もよく出てきているはずだ、くわしくは知らんが)
さらに、禰豆子は一方的に庇護される存在ではなく、ときに兄をサポートし、ときに兄よりも強い。「禰豆子さんは鬼ですから!」
単なるお姫様ポジションではないのだ。
ここは現代風だ。
古典的なお姫様ではないのは、「アナと雪の女王」もそうであり(ごめん、観てないんだけど、だいたいストーリーは把握している)、最近のヒット作の神話からの乖離、離脱は興味深い。
昨日、家に帰ってから、ツイッターのトレンド「カナヲ」を見ても、ここまでの印象は変わらなかった。
カナヲの不思議さは、アニメで見ると、どこか「エヴァンゲリオン」の綾波レイに通じるものがある。これは声優の力もあるのだろう。ぽつりとつぶやくように話す。自分の意思がどこにあるのかわからない。
今日、夜ご飯を食べながら、唐突に、蝶屋敷でのカナヲと炭治郎のシーンを多くの人がツイッターでつぶやいていたのを思い出した。
炭治郎が旅立つ直前、カナヲと二人だけでやり取りする場面。
原作を読むよりアニメで先に見たと思う。
「惚れてまうやろー」
カナヲが炭治郎に。
そして、半年以上たって、やっと気づいた。
あのシーンこそは、お姫様の呪いを王子様が解いた瞬間だったことに。
ちゃんと、こんな風に神話の構造が組み込まれているのだ。
ちなみに、蝶屋敷でヒラヒラ飛んでいる蝶は、アサギマダラ。
体内に、毒を有しているんだよ、実は。
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