バッタ捕まえたよ
大学時代の友人たちと森林公園でBBQをした。
少し遅れて到着した僕は大学時代の若かりし自分をトレースするように「よう!」と挨拶を放り投げた。
火を囲んでいた友人たちが、それをキャッチして「よう!」返してくれる。そんな風景。
あの頃からの変化をピックアップするとすれば友人の子供たちがそこにいたことだろう。
子供達はみんな大きかった。
ちゃんと歩くし、言葉を交わせる。
「うわ!デブおじさんや!」指をさされて笑われた。怖いもの知らず、たくましさを感じる。
「おまえたちが痩せてるだけって考え方もできるけど、どうなん?」博愛の精神を忘れないメッセージは、クエスチョンの表情で返された。
時間が経つにつれて、心を開いてくれる子供たちに悪戯を浴びせられた。とても可愛い。
少しして、子供たちが虫取りにでかけて帰ってきた。「バッタ捕まえたよー!」窮屈そうに捕えられたバッタ。
過去に自分が犯した罪を償うように「そのバッタにもパパやママがいるかもしれないね」どうせ伝わらないことを伝えようとしてみた。
葛藤の末、その子は草むらにバッタを解き放ってくれた。そして、とても大きく泣いた。
わかるけど、わからないこと。
正しいけど、正しくないこと。
理想と現実の間、優しさとエゴの間
よく頑張ったと胸のうちで拍手をした。
BBQ。肉をジップロップから取り出して網に並べる。向き合い続けて、考え続けて、伝え続けていくのだろう。
炭は燃えていない顔をして、
静かに燃えていた。