苗を植える人
はじまりは、小さな苗だった。
様々な人がうずまく地方の街、
だれも気にとめなかった場、人々が
少しずつ変わりはじめる。(予定)
げんきの話
高校を卒業して以来なので、7年ぶりかな?7年ぶりに僕は生まれ故郷に帰ってきた。久しぶりに帰った故郷、それは全く変わっていた。街中は移住者によって、活気づけられて、おしゃれな街がそこにはあった。僕が育った山の方はどうなっているだろう?少しワクワクしながら、実家に帰る。唖然とした。祖父が亡くなり、手入れをする人がいなくなった里山は鬱蒼としていた。人が通る道もなく、かつて、僕が遊んでいた場所ではなかった。
何かの縁で7年ぶりに帰ってきたんだ。僕は先祖代々の土地を守るという意味においても価値があることをしたいと思った。そうだ。祖父と遊んだこの土地に色々な苗を植えよう。とりあえず、草を刈り、木を切り、いくつかの苗を買ってきて、僕はその山に苗を植えた。
僕は僕だけの理由で、苗を植えることを思いついたのだが、今では考えもしなかったことが起こり始めている。
みどりねの話
結婚して2年経つ夫がひょんなことから、生まれ故郷に帰るという。それならばと、私は仕事を退職し、彼についていくことにした。そして、理由はわからないが、山に苗を植えているらしい。彼の考えることはいつも突拍子がなく、理解不能であるが、彼なりに何かを考えているのだろう。そんな彼に、「僕の生まれた街でお店をしないか?」と言われた。山に苗を植えていたら、近所のおじさんに声をかけられて、アイディアを思いついたらしい。さらになんと、苗つながりで、小麦の種子を注文し、一緒に育てることになっていた。
彼が苗を植えてから3ヶ月が経とうとしているが、最近の私はといえば、銀行さんに融資の相談に行ったり、内装業者と打ち合わせをする毎日である。
気がつくとげんきとみどりねの周りには、同じ志を持つ「仲間」であふれていました。2人が作ったプルーンや山椒、ジェニパーベリー、小麦も実りましたが、収穫はそれだけではなかったのです。
あなたも是非、あなただけの「苗」を植えてみませんか?
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